5つの「チームの意思決定スタイル」とその最適な使い方

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チームの意思決定にはいくつものスタイルがあり、自分のチームに最適なもの、あるいは目の前の問題を解決するために最適なものを選ぶことが重要です。ここでは大きく5つのチームの意思決定スタイルをご紹介し、その長所と短所を確認していきます。

これまでに意思決定に関するブログシリーズで見てきたように、意思決定には多くのことが関係しています。脳がどのように情報を処理するか、意思決定で達成したい目標は何か、意思決定後にどのような評価指標を用いるかなど、考えなければならないことはたくさんあります。また、意思決定によって、より分析的な方法を使ったり、より創造的な方法を使ったりと、異なるアプローチが必要になることもあります。

しかし、チームにはもう一つ重要な側面があります。結局のところ、チームはさまざまなメンバーで構成される組織なのです。そのため、チームとして意思決定を行う際には、メンバー全員の利害を効果的に調整するための適切な方法を見つけることが重要となります。

当然のことながら、一人ひとり考え方や性格が異なるように、チームも考え方や内部の力学が異なります。適切な意思決定スタイルを見つけるには、チームを知り、彼らにとって何が最適なのかを理解することが必要です。しかし、それにはある種の柔軟性も求められます。すべての意思決定スタイルが、すべてのケースで上手くいくわけではないのです。

チームの意思決定のスタイルは無数にありますが、このブログでは5つの主要なアプローチに焦点を当てます。これらのアプローチはチームの意思決定におけるジャンルやカテゴリーのようなものです。これらは広範であり、さらに多くの特定のスタイルを包含していますが、これにより、より一般化された方法でチームの意思決定スタイルについて話をすることが容易になります。

5つの意思決定スタイル

1. 命令型

「独裁型」とも呼ばれるこのチーム意思決定スタイルは、基本的に一人が単独で意思決定を行うことを意味します。他の人の意見は一切聞かず、意思決定者はその決定をチームの他のメンバーに伝えるだけです。

「命令型」は厳しいもののように聞こえますが、特定の状況や文脈では有効な場合があります。もしチームが危機に瀕しており、迅速な意思決定が必要な場合は、この「命令型」の方がより迅速にチームを動かすことができるでしょう。

また、専門的な知識や経験が必要な問題で、その決定がチームの他のメンバーに大きな影響を与える可能性が低い状況でも「命令型」が有効な場合があります。多くのチームが日常的に行っているのは、基本的にこの方法です。チームのメンバーは、一般的に、チームの他のメンバーと協議する必要がある問題や課題が発生するまでは、自分の仕事に関する命令決定を任されていると言えるのです。  

長所:

  • 素早く、即座に行うことができる。
  • 危機に直面している際に有効である。
  • チーム全体の注意を必要としないタスクや、専門的な知識や経験を必要とする問題に効果的である。

短所:

  • チームメンバーが取り残されていると感じたり、反発することがある。
  • チームメンバーの意見や感情が考慮されない場合がある。
  • 決定する人の能力と効果に大きく依存する。

2.  協議型

協議型チーム意思決定スタイルでは、一人の人間が意思決定の責任を負うことに変わりはありません。しかし、まずチームの他のメンバーと話し合うという行程が追加されます。これにより、意思決定者は他のメンバーの考えや気持ち、態度をある程度把握することができるのです。

このスタイルもまた、意思決定者の性格やリーダーシップスタイルに大きく依存しています。決定者が純粋にチームの他のメンバーの意見や考えを集めたいと考えているケースもあるでしょう。そして、他のメンバーの意見に耳を傾けることで、実際に意思決定に影響を与えていることを仲間に示すためという場合もあり、チームメンバーの気持ちを盛り上げることにも繋がります。

もちろん、「協働型」が既に決定していることを隠して見せかけだけのものになっている場合もあります。このような場合、「協働型」は「命令型」と同じような反発を生むことに繋がりかねません。「協働型」のチーム意思決定スタイルをとるチームでは、チームと意思決定者の間に信頼関係を築き、実際のコミュニケーションが行われていることを確認することが重要です。

長所: 

  • チームメンバーは自分たちの意見を聞いてもらっていると感じ、納得することができる。
  • 責任を明確にすることができる。
  • 「命令型」の迅速さをある程度維持することができる。

短所:

  • 単に「命令型」の隠れ蓑になってしまう。
  • 意思決定者の信頼度、コミュニケーション、リーダーシップスタイルよって、効果が左右されてしまう。  

3. 民主型

「民主型」のチーム意思決定スタイルは、投票によって意思決定が行われるものです。一見簡単そうに見えますが、このチーム意思決定スタイルには多くの落とし穴があります。メリットは当然、全員の位置づけを把握できること、チーム全員が平等に参加できること(一人一票)でしょう。

しかし、投票がうまく行われなかったり、事前の合意形成が不十分だったりすると、少数意見や不人気な案を封じるために投票が使われることがあります。また、投票が行われると、その決定は提案者だけのものではなく、グループの一般的な意思に帰属することになるため、責任回避に繋がってしまうという側面も忘れてはなりません。

奇妙に思われるかもしれませんが、チームの意思決定スタイルとしての投票は、議論の最初など、重要度が低いときに上手く機能します。こういった状況では、投票はチームメンバーの最初の考えを測り、「場の空気を読む」といった効果を発揮するのです。

長所:  

  • 全員が平等に参加できる。
  • 明確な結果を得ることができる。
  • 意見を把握するのに適している。 

短所:

  • 責任を回避するために使用されることがある。
  • チーム内での対立を作り出したり、少数意見を疎外したりする可能性がある。
  • 時間がかかる。

4. 合意形成型

「合意形成型」のチームの意思決定スタイルとは、チームメンバー全員が、納得できる意思決定に合意することを意味します。これは、メンバー全員にとって最適な選択ではない場合もありますし、実際には誰も満足しない決定となってしまうこともあるでしょう。しかし、チームメンバーはその決定が相手(対立意見や少数意見)をあまり動揺させない最善の方法だと感じて同意するのです。

「合意形成型」は、多くの意思決定のゴールとして歓迎されることが多いのですが、デメリットもあります。ひとつは、先に述べたように、必ずしも全員が「合意形成型」の決定に満足するとは限らないことであり、これにより、チーム内の納得性に問題が生じる可能性があります。

さらに、効果的なコミュニケーションが行われないと、チームメンバーの真の意見を考慮した合意形成が行われない可能性があります。つまり、合意形成を急ぐあまり、重要な批判や不人気と思われる意見がかき消されてしまうことがあるのです。

長所: 

  • 包括的かつ参加型である。
  • 共通のコミットメントを作成することができる。
  • 意見を共有することができる。

短所:

  • 時間が掛かる。
  • 誰も喜ばない決断に至る可能性がある。
  • 意見が対立する可能性がある。

5. 協働型

「合意形成型」と「協働型」の意思決定スタイルの違いは僅かなように見えて、実は非常に大きなものです。「合意形成型」では、「誰もが納得できる合意」を得ることを目標としますが、「協働型」の目標は「誰もが前進できる決定」を得ることです。このスタイルはチームとして一緒に前進することを目的としており、この決定をそのプロセスの1つの足がかりとしています。

「協働型」とは、チームが単に「合意形成型」を得るためだけでなく、全員が自信とインスピレーションを感じる決定に到達するために協力することを意味します。チームメンバーが自分たちの望む意思決定を行うために、基本的にはより創造的なプロセスとなります。もちろん、これには多くの共感と信頼が必要ですが、特に意見や批判をオープンに共有するという点では、多少の対立も生じます。 

もちろん、チームの意思決定スタイルとして「協働型」を取り入れる場合は、事前に強固な基盤を持つことが必要です。また、問題の深刻さによっては多くの議論を必要するため、非常に時間のかかるプロセスでもあります。しかし、チームビルディングのようなアクティビティを通じてチームワークと人間関係を強化することで、より迅速な意思決定が可能になるでしょう。

とは言え、チームの本質に関わる問題であるならば、「協働型」が最も賛同を得られるため、いい選択肢となるでしょう。また、新しいアイデアや道を切り開くことを目的とした創造的な意思決定にも、当然ながら「協働型」が適しています。

長所:

  • みんなが納得できる決断をするために、チームをまとめることができる。
  • 全員の意見と感情を大切にすることができる。
  • 将来の意思決定のために、より良いチーム環境を構築することができる。

短所:

  • 非常に長く時間が掛かることがある。
  • 強力なチーム基盤が必要である。
  • 混沌としてしまう可能性がある。

どの意思決定スタイルがチームに適しているかを判断するには?

上記のチーム意思決定のスタイルのうち、どれが自分のチームに合っているのかを考えるには、次のように自問自答し、振り返ることが大切です。

・これはどのような決定?

これはチーム全体に関わる重大な決定なのか、それともすぐにできる簡単な決定なのか?この決定はチームが大切にしていることと関係があるか?を考えましょう。

 ・チームからどれだけのコミットメントが必要?

チーム全体が関与する必要があるのか、それとも数人のコミットメントがあればいいのか?それとも、誰のコミットメントも必要としない決定なのか(その場合は、おそらく自分一人で決定できるものでしょう)。

・問題はどのような構造をしている?

それは明確に定義されたものか。そのパラメーターを知っているか。その問題について十分な情報を得ることができているか。問題を解決するための目標も、同様に明確になっているか。決定後の結果を測定することができるか。

・対立の可能性はある?

この決定は議論中または議論後に対立を引き起こす可能性があるか。その対立を抑えたり、管理することは可能か。誰かが仲裁に入る必要があるか。発生した対立によって影響を受けるのは誰か。

・ チーム環境はどのような構成になっている?

チームは階層的な構造なのか、それとももっと流動的な構造なのか。支援的、または包括的なチーム環境なのか。コミュニケーションや対人関係のスキルは高いのか。チームとして一緒に仕事をすることが多いのか、それとも一人で仕事をすることが多いのか。

これらの質問は、意思決定プロセスに関して、あなたのチームとその内部構造について考えるきっかけとなることを目的としています。意思決定には多くのことが必要です。ですから、自分のチームの能力はどうなのか、どこを改善すれば良いのかなどを、正直に話すことが大切なのです。