感情的知性が高いチームを作る6つの方法:チームをより共感力が高い、成功しやすいものに変えるには

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私たちはこれまで、高い感情的知性を持つチームがより成功し、より良いパフォーマンスを発揮するということについて、たくさん話してきました。そのようなチームは対立を管理し、決定を下し、創造的で意欲的なチーム環境を作り出すことに長けているという内容でしたね。

その理由は明快で、チームメンバーの感情を把握することで、チームのムード(雰囲気)に影響を与え、その土台となる構造をより強固なものにすることができるからです。また、自分たちが関わっている外部の集団の感情もより意識することができるようになるため、より大きな成功に繋がるという点もお話ししました。

しかし、感情的知性が高いチームの議論の議論に関しては、実際にそんなチームを作るにはどうしたら良いのかという疑問が残っています。感情的知性が高いチームの基本的な理論はお分かりいただけたと思うので、次はそれを実現する方法を考えていくことにしましょう。

このブログでは、より感情的知性が高いチームを作るために必要なステップをご紹介します。先週ご紹介したモデルをもとに、あなたのチームで使える主な実践的教訓をいくつか抽出していきますので、是非お役立てください。

おさらい:感情的知性の中核となる要素について

まず、感情的知性が高いチームについてご紹介した、主な考え方(5つの要素)をおさらいしましょう。

  • チームメンバー個々の感情に気付くこと
  • チームメンバー個々の感情に影響を与えること
  • チーム全体の感情(=ムード / 雰囲気)に気付くこと
  • チーム全体の感情に影響を与えること
  • 外部のチームやグループの感情に対応すること(境界を越えた関係)

感情的知性には、「気付く」と「影響を与える」という繰り返しのパターンがあることを覚えておいてください。チームメンバー個々の感情、チーム全体の雰囲気、あるいはグループ外の人々の感情など、さまざまな感情に気付くことができれば、その感情にもっとポジティブな影響を与えることができるようになるということです。

では、これらの特性を念頭に置きながら、より感情的知性が高いチームを作るためのステップをご紹介します。

より感情的知性が高いチームを作るためのステップ 

1. 感情についてもっとオープンになる 

チームの感情、そして境界を越えた関係の感情に気付くための基盤を作ることを目指して、感情的知性の高いチームを作るための第一歩となるのは、よりオープンになり、より共有することです。

コミュニケーションは互いを理解し、共通理解の基盤を作るための最良の方法です。以前は多くのチームや組織が、感情についてオープンに話すことをためらっているものでしたが、今は時代が変わりました。精神的な健康と心理的な安全は、どちらもチームの成功と回復力にとって重要であるということが分かっており、感情についてオープンで正直なコミュニケーションをとることが必要とされているのです。

またこの2年間で、ストレスや不安に関するコミュニケーションがチームにとっていかに重要であるかを多くの人が目の当たりにしたことでしょう。ですから、すべてのチームにとって、気持ちや感情に関する会話から逃げないことが大きな目標になるはずです。人の気持ちを理解することは、共感と信頼の構築に繋がり、ネガティブな感情を、モチベーションや成功への意欲といったポジティブな感情に変えることができるようになります。

2. 対立を管理する

もちろん、感情や感覚を共有することで、より多くの対立が発生するのではと懸念されることもあるでしょう。確かにそれは起こりうることです。しかし、対立は必ずしも悪いことではなく、むしろ、問題を指摘するために必要な場合もあります。もし対立が起こらなければ、否定的な感情が膿み、より悪い方向に進んでしまうということもあり得ます。この違いは、感情的知性のあるチームは対立や衝突がありながらも、それを管理された状況下で行うことができるということです。

管理された対立とは、対立が対人関係に影響を与えないように縮小させることを意味します。これはどういうことでしょうか?例えば、ある製品の販売方法について、二人のメンバーの意見が異なって対立した場合、二人は自分の提案に思い入れがあるあまり、感情的になってしまうこともあるでしょう。そして、どちらも相手の提案が選ばれることで、選ばれなかった自分はチームから個人として否定されたと感じるかもしれません。

このような状況において、感情的知性が高いチームはこのことを理解し、その根底にある感情も理解しています。そのようなチームは、両案をできるだけ融合させるか、あるいは却下された案のアイデアを将来のプロジェクトに残すような解決策を見出すことに取り組むでしょう。あるいは、意思決定のプロセスを可能な限り透明化し、オープンにすることも重要です。

対立を管理する方法は、チームの文化や関係者の性格によってさまざまです。しかし最終的に重要なのは、管理された対立はそれらを無視するのではなく、問題への解決策を見つけることです。対立への対処を先延ばしにするのではなく、信頼と理解に基づいて前進する道を見出す方法を検討するということです。 

3. フィードバックの方法を提供する

対立を管理し、対立を緩和することと関連しているものとして、フィードバックを与えたり、受け取ったりする方法を提供することが挙げられます。フィードバックの仕組みや、肯定的・否定的な批判を伝える方法を持つことは、感情豊かなチームを作る上でも非常に重要です。なぜなら、人々がどのように感じているかを意識することができ、対処されていない潜在的な問題を指摘することができるからです。

フィードバックの方法の提供には、さまざまなやり方があります。1対1のチャットや「チェックイン」もあれば、グループでのディスカッションやアクティビティという形も有効です。例えば、SWOTチャートのような、フィードバックを与えるためのガイド付きアクティビティが役に立つ場合もあるでしょう。

フィードバックの機会を増やすもう一つの簡単な方法は、意思決定をよりゆっくりと行うことです。意思決定の前に全員に声をかけて意見を聞き、物静かなメンバーにも発言の機会を与え、意見を共有できるようにしましょう。

しかし、フィードバックを与えること、そして受け取ることは、チーム文化の一部であり、規範となるべきものです(下記参照)。フィードバックは双方向のものであり、個々のチームメンバーもまた、自分がどうすればより良くなるかを知らせ、自分が尊重され、大切にされていると感じるためのフィードバックを望んでいることを忘れないでください。

このように、公式・非公式のセッションを通じて定期的にフィードバックを行うことで、テーマ全体だけでなく、個々のメンバーがよりコミュニケーションを取りやすくなり、感情的な意識を持つことができるようになるのです。

4. 感情のはけ口を見つける

フィードバックの仕組みを充実させるとともに、感情のはけ口を増やし、ストレスに対処する方法を見つけることが、より感情的に優れたチームを作ることに繋がります。これまで何度も強調してきたように、チームや仕事において感情は自然なものです。成功したい、チームの一員でありたいといったポジティブな感情もあれば、当然、ストレスのようなネガティブな感情もあるもの。

この2つのタイプの感情は、チーム全体の感情状態にプラスの影響を与えることができるようにするために、それぞれ「はけ口」を必要とします。そしてチームビルディングアクティビティは、ポジティブな感情のはけ口として最適な選択肢です。なぜなら、チームビルディングアクティビティはチーム全体の精神を高め、チームメンバーが一緒に何かを成功させ、達成することに集中するためのものだからです。

また、適切な方法で実施すれば、コミュニケーションをオープンにして、メンバー間の信頼を高めることで、集合的な負の感情を解消する方法としても活用することができます。

それと同時に、チームは個人のネガティブな感情に気付き、そのはけ口を見つける手助けをすることも求められます。メンタルヘルスのためのリソースを提供し、チームメンバーが困難な状況にある時は必ず耳を傾け、理解することがその方法の一つです。

また、仕事のスケジュールをもう少し柔軟にし、運動や創作アクティビティ、趣味などを通じてストレスを発散できるようにすることも大切です。また、休憩時間の設定に柔軟性を持たせたり、誰かが落ち込んでいる時に理解を示したりすることで、ネガティブな感情を解放する時間を少し増やすことができます。

このことは、ハイブリッドなワークスタイルの台頭により、ますます重要なポイントとなりつつあります。旧来(コロナ禍以前)の「24時間働く」というワークライフアンバランスが崩れつつありますし、在宅勤務を経験してもっと柔軟な働き方をしたいと思うようになった人も多いのではないでしょうか。

5. 強固な規範を確立する

チームの「規範」と「行動」を強固で一貫したものにすることは、感情的知性の高いチームを作る最も効果的な方法でしょう。「規範」とはチームの構造と文化の一部であり、全員が参加することで、その「行動」が自己強化されるような、決まったパターンのことです。

前回述べたように、規範は以下のようなさまざまな起源から発生します。

  • 正式なリーダー
  • 非公式ななリーダー
  • 組織構造と正式な文化…ポジション階層、会議スタイル、業績評価指標など 
  • 非公式な文化…同僚との関係、同調圧力、社会的ヒエラルキーなどの
  • トレーニングおよびメンタリング

規範を確立するということは、これらすべての原点に何らかの形で対処するということです。リーダーシップは、チーム内の感情を認識し、生産的に対処する方法を理解することに協力する必要があります。しかし同時に、その根底にある構造や組織文化にも対処し、必要であれば変えていくことも必要です。例えば、感情について議論する方法を変えたり、チームメンバーにどれだけ柔軟に休みを取らせるか、といった形が考えられるでしょう。

「非公式」に分類される起源の方が少し対処が難しいのは、毎回同じになるとは限らないからに他なりません。非公式なリーダーであれば、支援の手を差し伸べ、仲間に入れてもらうだけで良いのです。また、チーム内のネットワークが大きくなっても、チーム全体でのフィードバックセッションやチームビルディングアクティビティを通じて、人々が共に話し、考えるようにすることで対処することができます。 

そして最後はトレーニングやメンタリングですが、これらはチームが規範を直接形成するために最も力を発揮する場所です。メンタリングとトレーニングの重要性は過小評価されるべきものではありませんし、私たちもこれまで、その重要性を繰り返し強調してきました。

感情的知性が高いチームの文脈においては、メンタリングは次世代のチームメンバーや、いずれ指導的役割を担うことになる人々の文化を形成するという効果を秘めています。彼らに感情をより意識させ、集団の感情にポジティブな影響を与えるためのツールを与えることが重要なのです。

また、トレーニングは感情認識、健康、オープンなコミュニケーション、対立管理などに関する情報をチーム内で広く共有するための手段にもなります。さらに、共に学ぶ機会を提供することは、チームメンバーとの距離を縮めるという副次的な効果もあります。

6. 効果的な「境界を越えた関係」を維持する

次は、感情的知性が高いチームの最後の要素である「境界を越えた関係」に注目しましょう。チームは自分たちのことだけを考えていれば良いものではありません。本当に効果的で成功したいのであれば、チームは何らかの形で広い世界に手を伸ばし、交流する必要があります。それは単に他部門との交流かもしれませんし、地球の裏側にいるクライアントとコミュニケーションを取るという場合もあるでしょう。

このような関係を築き、維持するためには、上記で学んだことを活かして、手を差し伸べることが大切です。自分のチームの感情を理解することで、相手チームの感情にも意識を向けることができるようになるはずですが、内向きから外向きへのシフトは思った以上に難しいものです。

しかし、先にお話しした原則を、国境を越えた人間関係に適用することは可能です。まず、他のグループにもそれぞれの感情状態やムード(雰囲気)があることを意識しましょう。そして、オープンな対話と一貫したフィードバックを通じて、そのグループとの関係を改善するように努めてください。問題がある場合は、理解と妥協によって解決するようにしましょう。

さらに、これまで築いてきた規範を振り返り、相手とのコミュニケーションの取り方、相手との付き合い方、実際にその基盤が形成されているかどうかを確認し、形成された仕組みをどう改善していくかを考えていくのです。 

最後に

人間関係には、時間、忍耐、一貫性が必要です。そしてそれは個人だけでなく、チーム内の人間関係にも言えることです。メンバーは多くの時間を一緒に過ごすので、チームは自然に形成されるのが当然と思われがちです。しかし、ここで見てきたように、感情的知性はその関係構築のプロセスを改善し、チームをより効果的にするための強力な方法を提供してくれるのです。

感情的知性が高いチームは、問題を解決し、対立に対処し、他のチームと関係を築くことができるため、チームをサポートし、さらに成功に導くことができます。しかし、そのようなことをしなくても、上記のステップを踏むことで、チームメンバー全員にとって、より健康的で公平かつ安全な環境を作ることが可能なのです。この環境は、チームメンバーを育て、チームが最も得意とすること、つまりスキルを結集して素晴らしいものを生み出すことを可能にします。