職場におけるさまざまな思考スタイルのモデルは、チームがより良い仕事をし、より良いものを生み出す方法を学ぶのに役立ちます。
「チーム」とは、異なる種類の人々を組織し、同じ目標のために団結させる、実に素晴らしい方法です。そして、「最高のチーム」は異なる才能、スキル、経験を持つチームメンバーを集めることで、より多くの創造性と成功がもたらされることを理解しているものでもあります。
しかし、チームメンバーごとの違いは行動や意見だけに出るものではありません。問題を分析し、解決策を導き出す方法も、人によって異なるのです。
前回のブログでは、最も一般的な思考法の種類をご紹介しました。このように、さまざまな思考法や問題に対する見方、解決策を見つける方法があることをご理解いただけたと思います。
しかし、前回の冒頭でも述べたように、多くの人が無意識のうちに複数の思考法を駆使しており、チームで思考する場合、(状況や役割によって異なるタイプの思考に傾くのは当然としても、)全員を「創造的思考者」「抽象的思考者」「具体的思考者」という排他的なカテゴリーに分けることは難しいでしょう。
このブログの記事を書くために調査をしていたところ、Mark Bonchek氏とElisa Steele氏が開発した、「職場におけるさまざまな思考スタイルのモデル」に出会いました。このモデルは思考のタイプを見る上でとても興味深いものであり、チームがさまざまな思考法のバランスをより良くする上で、もう少し実用的なものであるかもしれません。そして、どうすればチームがさまざまなスタイルの思考を受け入れることができるのか、いくつかの教訓を与えてくれるのではないかと考えました。
そこで、今回の記事ではこのモデルを分解し、その潜在的な利点は何か、そしてチームビルディングやより効果的なチーム作りにどのように利用できるかについて、私自身の分析を紹介します。
チームにおける思考のスタイル:モデル
まず、Bonchek氏とSteele氏のモデルはフォーカス軸(アイデア、プロセス、行動、または関係)と志向軸(大局志向または詳細志向)という2つの軸に基づいたものであり、その中から、8つの明確な思考スタイルが浮かび上がってきます。具体的には、エクスプローラー(探検家)、プランナー(立案者)、エナジャイザー(活力をもたらす人)、コネクター(結合する人)、エキスパート(専門家)、オプティマイザー(最適化を図る人)、プロデューサー(製作者)およびコーチ(教育者)の8つです。
軸1:フォーカス軸
「フォーカス」軸は、あなたが特に興味のある問題や領域、あるいは惹かれる傾向にあるものを取り上げています。つまり、以下のようなもののうち、あなたはもともと何を考えるのが好きなのか、あるいは何を考えるのが得意なのかということです。
- アイデア…問題や概念に焦点を当てること。
- プロセス…計画、システム、組織に焦点を当てること。
- 行動…AからBへ移動するために必要なステップに焦点を当てること。
- 関係…人と人との繋がりや、それをどのように改善するかということに焦点を当てること。
軸2:志向軸
上記のように、志向軸は自分の見方やアプローチの仕方、傾ける視点に関係したものであり、以下の2つの極に分かれます。
- 大局志向…これは全体論的思考と同じで、問題やアイデアをより一般的にとらえ、より大きな文脈、場合によっては他の問題やアイデアとの関連で位置づけようとすること。また、状況を俯瞰してみるという意味もある。
- 細部志向…問題を掘り下げ、特定の具体的な問題とその解決策に深く焦点を当てること。
8つの思考スタイル
フォーカス軸と方向軸の2つの軸を組み合わせると、モデルの8つのスタイルが出来上がります。視点とフォーカスの領域がどのように相互作用するかで、あなたがチームの中でどのような思考法をする人になる傾向があるかが明らかになるのです。
1. エクスプローラー思考(大局志向、アイデア重視)
エクスプローラー思考の人は、新しいアイデアを考え出し、問題に対して新しい思考方法を生み出すことを楽しみます。その名の通り、古いやり方やアイデアに固執するよりも、新しい道を切り開き、既成概念にとらわれない思考法を好む人たちです。
2. プランナー思考(大局志向、プロセス重視)
プランナー思考の人は、解決のための全体的なプロセスを考え出すことが得意です。この思考スタイルは、システム、制度、方法をよく理解し、仕事を成し遂げ、チームを組織的かつ効率的に保つための(より良い)システムを設計することができます。
3. エナジャイザー思考(大局志向、行動重視)
エナジャイザー思考は、大局的な思考と、行動や物事を成し遂げることに焦点を当てた思考をミックスしたものです。このタイプの思考は目標を達成するためにチームとそのリソースを動員する方法を検討するもので、モチベーションを高め、チームが従うべき魅力的な「ビジョン」を作成することを含みます。
4. コネクター思考(大局志向、関係重視)
コネクター思考とは、人間関係やチーム全体の結びつきを強める方法について考えることです。このタイプの思考を持つ人は、社会的な関係を容易に察知し、チーム全体の絆を強める方法を考え出すことができます。また、チームの社会的構造を揺るがすような問題や課題がある場合にも、それを認識することができます。
5. エキスパート思考(詳細志向、アイデア重視)
詳細志向とアイデア重視が組み合わさると、エキスパート思考になり、特定の分野や領域について高度な知識を持つようになります。そのためには、その分野についてできるだけ客観的であろうとし、人に教え、知識を共有しようとする能力と意欲も必要です。
6. オプティマイザー思考(詳細思考、計画重視)
オプティマイザー思考は、特定のメソッドや方法を改善する術を検討することに注力します。この思考スタイルの人はプロセスやシステムのどの部分を改善すれば、チームがより効率的に、あるいは生産的に働けるかをピンポイントで指摘することが得意です。
7. プロデューサー思考(詳細志向、行動重視)
プロデューサー思考は、多くの可動部品を含む与えられたタスクをどのように完了させるかを考えることに重点を置いています。また、この思考にはプロジェクト全体を通してどのように勢いを維持するかを理解し、任せることができることも含まれます。プロデューサー思考を持つ人はタスクやプロジェクトを完了させる方法を理解することに長けています。
8. コーチ思考(詳細志向、関係重視)
コーチ思考は個人の才能の育成に大きく関わっています。個々のメンバーの才能や強みを察知し、指導者、教師、トレーナーとして一対一で対応することができる能力です。
この思考スタイルのモデルは、チームでどのように活用することができるのか
このモデルには、個々のチームメンバーにとってもチーム全体にとっても、複数の利点があります。このモデルは多くの異なる思考方法を簡単に認識することができ、組織化できる「スタイル」に分解することで、個人が自分の内なるスキルや才能をより認識できるようにする他の種類の性格タイプモデル(例:マイヤーズ・ブリッグスなど)にも似ています。
ですから、このモデルからさまざまな思考スタイルを学ぶことは、自分自身の思考方法を知り、チームにおいてどのような役割を果たすのがベストなのかを学ぶのにも有効です。同様に、チームにとっても、チームメンバーのさまざまな思考方法を知り、その思考スタイルをチームの目標達成プロセスの中でどのように位置づけるのがベストなのかを学ぶことが有益であるということは明白でしょう。
また、異なる思考スタイルを知ることで、それぞれの思考スタイルの間で適切なバランスを見つけることができるのも、チームの利点です。エクスプローラー思考の持ち主ばかりが集まったチームは、創造的なアイデアをたくさん生み出せますが、それを実行に移す術を持ち合わせません。同様に、エナジャイザー思考の人が多いチームは、競争やリーダー争いに明け暮れるチームになってしまう可能性があります。
そこでチームはよりバランスのとれた環境、つまり多様な思考法や仕事のスタイルを奨励し、創造性や新しいアイデアを刺激するような環境を作り出すために、さまざまな思考スタイルについて考える必要があるのです。チームの多様性を意識することで、その潜在能力を真に引き出すことができるでしょう。