アンガーマネジメントとは:怒りっぽい人のためだけじゃない!ストレス社会で心を軽くするコツを学ぶ

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「アンガーマネジメント」みなさんご存じですか?聞いたことはあるけど具体的には良く分からない…という方が多いことと思います。

1970年代のアメリカで、自然発生的に形成された「アンガーマネジメント」の概念。犯罪者への矯正プログラムなどとしても活用されている一方、社会不安の増大に呼応する形で、現在は一般的にも幅広く普及しています。しかし、日本ではまだ認知度が低く、「怒りっぽい人だけのためのもの」というイメージが強かったり、怪しいセミナーの類だと考えている方も少なくないのが現状です。

しかし近年、コロナ禍もあり、今まで以上にさまざまな重圧に晒されている現代人にとって、自身の感情と向き合うことでストレスに対処することができるツールとして、「アンガーマネジメント」に注目が集まっています。

そこで今回は「アンガーマネジメント」という概念を、分かりやすく紐解いてみたいと思います。是非参考にしてみてください。

怒りで後悔しないこと

「アンガーマネジメント」の世界では、「アンガー → 怒り」そして、「マネジメント → 後悔しないこと」と訳されています。

つまり「アンガーマネジメント」とは「怒りの感情で後悔しないこと」。ここは誤解している方が非常に多い点なのですが、決して「怒ってはいけない」という意味や、「怒らない人になる」ということが目的ではないのです。そして「怒りの感情で後悔」には、「怒って後悔」と「怒らなくて後悔」の二つが含まれます。

では、具体的に「怒りの感情で後悔」した例を挙げて、その意味を考えてみましょう。

私が友達の誕生日パーティーに参加した時のことです。ある友達が「タバコ吸いに行くから、ワタルも付いて来てよ」と言ってきました。最初の何度かは付いて行きましたが、私は内心「僕タバコ吸わないしな…。他の友達との話を毎回中断するのも嫌だから、一人で行って欲しい」と思っていたので、数回目の時に「今、話も盛り上がってるし、一人でタバコ吸っておいでよ!」と言ったんです。するとその友達は「お前って本当に空気読めないよね」と何度も繰り返し説教してきました。流石にイラッときた私は、衝動的に「じゃぁ僕、パーティーに参加しなければ良かったね」と強く言い返してしまい、一瞬その場の空気が凍りついてしまったのです。折角のパーティーだったのに、一時の感情で雰囲気を壊してしまい、あの時あんな言い方しなければよかったと未だに後悔しています。

では逆に、「怒らなくて後悔」にはどんなことが考えられるでしょう?インバイトジャパンのスタッフに聞いてみたところ、一人が以前の職場でセクハラやパワハラに遭っていた時の話をしてくれました。怒りとまではいかなくても、早めに不快感を言葉で伝えることができていれば、相手の行為をエスカレートさせることなく、違う結果になっていたのではないかと思っているとのことです。今でも当時のことを思い出しては辛くなる、というのであれば、確かにそれは怒らなくて(言えなくて)後悔した経験と言えるでしょう。

これらのエピソードのように、人間は怒っても後悔するし、「なんであの時言わなかったんだろう」と怒らなくても後悔する生き物です。後悔しない選択ができていれば、誕生日パーティーも前の職場も、楽しい思い出として終わっていたかもしれません。

上手に怒れる人になる

ではどうしたら良いのか。「アンガーマネジメント」は、怒らないことや、怒らない人になることではないと言いましたね。そう、怒っても良いんです。但し「怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らないようになること」。これが重要です。

上手に怒れるというのは、「人を傷つけない」、「自分を傷つけない」、「物を壊さない」という3つを守って、自身の怒りを言葉で表現するということです。

人や自分や物を傷つける行為が健全ではないことは、言うまでもないでしょう。しかし、人が安易にこれらの手段を使ってしまうのは、言葉で表現する手段を持っていないから、あるいは自身の感情や衝動を正しく理解できていないからなのです。自身の怒りを言葉で表現し、上手に怒れるようになるためには、まず理解する所から始める必要があります。

怒りのメカニズムを理解する

人間というのはとても不思議な生き物で、同じ出来事でも全く気にならない時と、すごくイラッとする時があるものです。

例えばあなたが自動販売機で飲み物を買おうとしているとします。お金を入れてボタンを押したのに飲み物が出てきません。あなたは「あれ壊れてるのかな?困るけど…まぁ仕方ない」と思いました。しかし、同じ出来事に遭遇した別の日のあなたは「なんで出てこないんだよ!」と自動販売機を蹴り飛ばしたくなるほどイライラしてしまいました。さて、同じ出来事なのに、なぜこうも違うのでしょうか。

実はこれ、その時のあなたの中にあるマイナスの感情や状態がそうさせているのです。「午前中に上司に怒られて『辛い』し、『悲しい』。それに加えて『空腹』だし、残業続きで『疲れた』し、『眠い』…。」など、そういったマイナスの感情や状態が自分の中にあればあるほど、怒りを大きく燃え上がらせるイライラのエネルギーに変わっていくのです。

つまり、怒りが爆発しないようにするためには、自身の中にあるマイナスをこまめに発散させたり、息抜きをすることが重要になります。とは言え、人に怒りをぶつけてストレス発散をするのは厳禁です。美味しいコーヒーを飲んだり、好きな音楽を聴いたり、身体を動かしたりと、簡単に自分の機嫌を取ることができる手段を複数準備しておきましょう。

怒りの発生源を知る

さて、怒りの大きさは自身の中にあるマイナスの感情や状態に左右されるというお話をしました。では次に、そもそもなぜ「イラッ」とするのかを考えてみましょう。例えば部下から「電車が遅れて会議に遅刻します」と連絡があり、腹が立ったとしましょう。この時あなたが怒っているのは①後輩という人物に対してなのか②人が遅刻するという出来事に対してなのか、どちらでしょう?答えは人によって分れる点かもしれませんが、アンガーマネジメントの観点から言うと、実はどちらでもないと言われています。

あなたが怒っているのは「自分の理想が裏切られたから」です。もう少し簡単に言うとあなたの中にある「〇〇であるべき」が裏切られたからとも言えます。この場合に関して言えば、「会議は必ず出席すべき」「余裕をもって家を出るべき」「もっと早く連絡すべき」「他の交通手段を試すべき」といったものが考えられるでしょうか。つまり、この「べき」が多ければ多いほど、「イラッ」する機会が増えるということです。

もちろん社会生活を送るにあたって、絶対に持っておいた方が良い「べき」もたくさんあるでしょう。しかし中には、手放しても良い、あなたが抱えなくても良いはずの「べき」もあるものです。「この『べき』は本当に必要か?」と取捨選択をすることによって、自身にとって本当に大切なものの優先順位が明確になっていくでしょう。

怒りは自然な感情であり、必要なものであることを理解する

ここまでお話しすると、「怒りの感情なんてなくせたら良いのに」と思う方もいることでしょう。ですが私たち人間は、怒りをなくすことも、捨てることもできません。なぜかというと、怒りには非常に重要な役割や機能があるからです。

怒りの感情は「防衛感情」とも言われており、身を守るための役割を果たしています。犬や猫を想像してもらうと分かりやすいですが、動物は外敵から子どもを守る時に怒りを表し、同時に「闘うか逃げるか」の準備をします。それと同じように、人間も自身の身の安全や家族、財産やプライドなど、「大切なものを守るため」に怒るのです。

怒った時、体が熱くなったり握りこぶしに力が入ったりしますよね。その時、大切なものを守るために、身体は無意識のうちに「闘うか逃げるか」の準備をしているのです。ということは、怒りの感情がなくなると、大切なものを守る準備ができないということになってしまいます。

また、たまに「私、本当に怒らないんです」という方もいらっしゃいますね。しかし、もしかしたらそれは、自身の感情に鈍感になっているのかもしれません。或いは「普段は本当に穏やかだけど、怒ってしまうと手が付けられない」というように、本人も気付かないうちに溜め込んでいるしまっているタイプの方もいらっしゃいます。顔や口に出す必要を感じないほど小さな心の揺らぎをよく観察し、自身の感情を丁寧に扱ってあげることで、何度も思い出してしまうような苦い記憶を作ってしまう機会を減らしたり、自身にとってより有益な時間を増やしていくことができるようになるでしょう。

さて、怒りは人間にとって自然な感情の一つであり、必要なものであるということがお分かりいただけたことと思います。だからこそ、怒りを無くすのではなく、有効に活用できるようにコントロールする術を身に付けることが重要なのです。

怒りの連鎖を断ち切る

人はストレスを感じたり、誰かに怒られたりした時、家族や友人など、周囲の人にその怒りをぶつけてしまうものです。そして怒りをぶつけられた側はそれに対して怒りを感じ、さらに無関係のスーパーの店員などに怒りをぶつけ、またその人たちは…というように、怒りは連鎖していきます。先程、「人にストレスをぶつけて発散するのは厳禁である」とお伝えしたのは、怒りを連鎖させない為にも非常に重要なことなのです。

では、例えば人に怒りを向けられた時、自分だけが我慢して耐えれば良いのかというと、そういう訳でもありません。アンガーマネジメントの興味深いポイントの一つに、自身の怒りだけでなく、他人に怒りを向けられた時の対処法まで学べるという点があります。人によって「当たり前(べき)」だと思う基準がどれ程違うものなのか、そしていかに曖昧なものかを知ることにより、「きっとこの人にはこういう『べき』があるんだ」「こういう状況だからこの人はこの場面で怒るんだ」と納得できたり、(我慢ではなく)受け流すことができたり、あるいはコミュニケーションの行き違いを認識して、お互いに歩み寄るという選択肢も出てくるようになるでしょう。

最後に

今回は、アンガーマネジメントの概念について大まかにお話ししてきました。怒りは人間にとって大切な感情の一つであり、仕組みを理解して、上手く表現する事が重要であるという点をご理解いただけたら幸いです。

インバイトジャパンでは、謎解きを用いたチームビルディングアクティビティの他にも、学びや気づきにフォーカスしたワークショップも多数ご用意しています。「アンガーマネジメントワークショップ」ももちろんその一つ。ワークショップでは、今回お話しした内容をより具体的に掘り下げ、さらにすぐに使える、自身の怒りの感情をいくつかのステップに分けてコントロールする、実践的な方法をご紹介します。

自身の怒りの感情と上手く付き合い、怒りの感情で後悔しない選択をすることで、より健康的な生活を目指しましょう。お問合せお待ちしております。