「対立解消」のテクニック:より良い、より強いチームを形成するための10のスキル 

「対立解消」には、チームが学ぶべきことがたくさんあります。そして「対立解消」のテクニックは、チームのコミュニケーションと仕事の質を高め、その過程でより長く続く絆を生み出すのに役立ちます。

先日のブログでは、「対立解消」のプロセスについて説明しました。「対立解消」は、攻撃性を抑えてその場の感情を和らげ、チーム内の対立を解決に導く強力な方法です。また、対立の双方が、両者にとって実行可能な解決策を見出すことに焦点を当てるものでもあります。

「対立解消」は、そのプロセス自体がチーム内の対立を緩和するために利用する価値がありますが、チームに様々な状況で利用できるスキルを教える上でも有益なものです。これらの「対立解消」のスキルは一見の価値があるので、今回はそのうち、特にチームに役立つ10個のスキルについて見ていくことにしましょう。

「対立解消」のおさらい

おさらいですが、「対立解消」は議論や対立を、双方が納得できる合意、理解、条約などの最終目標に導き、敵対関係を効果的に終わらせることを目的としています。この最終目標を念頭に置くことと、そもそも最終目標があることが、「対立解消」の中心です。

「対立解消」の目標は、以下の通りです。

  • すべての関係者が合意できる解決策を生み出すこと
  • この解決策を見つけるために、できるだけ早く作業すること
  • 対立の当事者間の関係を改善すること

このような目的を達成するために、「対立解消」では対立する双方が集まり、問題を話し合って解決策を導き出すために、次のようなプロセスを用います。

  1.  対立を認識する 
  2.  両者間でコミュニケーションをとる
  3.  対立を理解する
  4.  可能な解決策のブレインストーミングをする
  5.  第三者(調停人)を利用する
  6.  代替案を検討する
  7.  プランに同意する
  8.  合意事項の影響を監視する
  9.  責任を通じて、チームメンバーを合意に従わせる

「対立解消」のテクニック

さて、「対立解消」とは何か、「対立解消」のプロセスはどのようなものかを今一度確認したところで、チームが課題に対処するとき、あるいは新しいアイデアや問題解決方法を見つけようとするときに役立つ「対立解消」のテクニックやスキルについて説明します。

1. 「冷静になること」に集中する

最も有用な「対立解消」技術の1つは、対立や課題に直面しても冷静でいることです。対立が発生した場合、「対立解消」は事態の段階的な収束と平和的かつ合理的な解決策を見つけることを促します。動揺は単に、状況を悪化させるものでしかありません。

このテクニックは、対立している当事者たちだけでなく、周りの人たちにも有効です。激しい議論や対立が続いていると、つい興奮してしまったり、どちらかの味方に回ってしまったりすることがあります。しかし、対立の解決には客観的な観察者である外部の人間が必要です。チーム内で対立やストレスポイントが発生しているのを見たときは冷静になり、双方を落ち着かせるようにするのが一番です。

これはチームが大きな課題に直面し、多くの不安や心配を抱えているときにも有効です。このような状況でも、冷静さと客観性を保つことで、チームを前進させ、生産的な解決に導くことが可能となります。

2. 共感する:議論するために聞くのではなく、理解するために聞く

「共感」は、チームが学ぶべきもう1つの主要な「対立解消」のテクニックの1つです。以前、感情的知性の観点から「共感」についてお話しましたが、なぜ共感がチームにとってより信頼でき生産的な環境を作るために不可欠なのでしょう。

「対立解消」では、事態がエスカレートすることを防ぎ、理解を得るための方法として、「共感」が主に重視されます。なぜなら、怒りや動揺を感じているメンバーは「自分の意見を聞いてほしい」「自分の意見には価値がある」と思っていることが多いからです。自分の意見が無視されたり、自尊心が脅かされていると感じているからこそ、そもそも暴言を吐くのです。

座って他のメンバーの意見を聞くことで、相手の気持ちを理解し、チーム一丸となって問題解決に取り組むことができる環境が整います。  

3. 仲裁する:機転を利かせて指摘する

「対立解消」の過程では「仲裁」が重要です。「仲裁」とは、会話が手に負えなくなったり、さらなる対立に波及したりしないようにコントロールすることを意味します。生産的な対話ができるように、感情をクールダウンすることとも言えるでしょう。

「仲裁」から学べる「対立解消」技術の主な一つは、機転を利かせてポイントを押さえることです。簡単に「話す前に考える」と言い換えることもできるでしょう。これは対立の当事者だけでなく、外部の観察者や第三者である仲裁者にとっても重要なことです。

チーム内で機転を利かせることは、会議をより生産的で安定したものにし、メンバーの感情を意図せずに傷つけることがないようにするために役立ちます。これは、自分の言動が相手の感情にどのような影響を与えるかを意識する、「共感」のもう一つの側面です。  

4. 問題を解決する:人を攻撃するのではなく、問題に取り組む

おそらく、最も実用的な「対立解消」手法の 1 つは、問題の解決と関係があるものになります。ある意味、「対立解消」のプロセス全体が基本的に問題解決の手法とも言えるでしょう。互いに対立する2つの立場があるとして、それをどうまとめるか。つまり、お互いを攻撃することに焦点を当てるのではなく、問題を攻撃することに焦点を当てるのです。

もちろん、チーム内で議論(時に激論)を交わす場合、この手法は対立の発生を防ぐのにも有効です。しかし、対立を「逃げ場のない対立」ではなく「解決できる問題」として捉えることは、実際の対立そのものを風化させることにもなります。

このように、ドロドロした状況や人間関係ではなく問題自体に集中することは、チームが何らかの問題に直面したときに有効なテクニックです。何に焦点を当てるべきか、どの問題が最も重要かをチームが知っていれば、長期的に見ればそれほど重要でないはずの問題で時間を無駄にすることはなくなるでしょう。

5. 先を読む(フォワードシンキング)

問題の解決と関連しているのが、「先を読む」という「対立解消」のテクニックです。なぜなら、短期的な劇的状況や喧嘩、駆け引き、あるいは一見良さそうだがチーム全体の未来に貢献しないようなアイデアに時間をとられることが減るからです。

「対立解決」においては、未来志向で考え、対立が解決できる状況を想像することが目的となります。対立することよりも重要なのは解決そのものなので、現在の泥沼にはまり込むのではなく、先を見通す力を働かせることを志向しましょう。

6. 「ファシリテーション」を行う:適切な質問をする

また、チームにとってより実践的な「対立解消」のテクニックのひとつに、「ファシリテーション」というものがあります。「 ファシリテーション」とは、意思決定や新たな解決策を見出すために、人々を適切な空間へと導くことです。そして、そのためには、何よりも適切な質問をすることが必要となります。

「対立解消」においては、両者が不平不満にとらわれることなく、解決策を見出すことに集中できるような適切な質問をすることで、解決に導くことを意味します。「ファシリテーション」自体は、チーム、特に会議やブレインストーミングの場でも多く活用されているものです。そのため、チームを重要なことに集中させ、前進させるための適切な質問の仕方を学ぶことは、非常に価値のあるスキルなのです。  

7. 戦いを選択するタイミングを見極める

この「対立解消」のテクニックは、自己認識と、何が本当に重要かをより意識することに関係しています。個人レベルで考えると、「チームで働く」ということは自分のエゴをある程度捨て、チームのために妥協することが必要です。もちろん、腹の立つこともあるでしょう。しかし、自分にとって本当に大切なもののために戦うべきときと、単に傷ついたエゴのために戦うべきときを分別できるメンバーがいることは、チームが正しく機能するために重要です。 

そしてチームレベルでも、この「対立解消」のテクニックは非常に重要です。チームは何がチームにとって重要かを知り、本当に必要なときだけ戦うようにしなければなりません。ほとんどのチームは無限の資源を持たず、しかし達成したい目標があることでしょう。そのため、どの課題に挑戦して、どの課題が無駄、或いはメリットがないのかを見極めることが、チームにとって大切なスキルなのです。

8. 「クリエイティブ・シンキング(拡散思考)」を受け入れる:すべての物事には交渉の余地がある 

「対立解消」の主な学びの一つは、「正しい方法で考える限り、すべての対立は交渉可能である」ということです。落ち着いて相手の話に耳を傾け、相互理解のプロセスを踏むことで視点を変えれば、新しい解決策が見えてくる。それが「クリエイティブ・シンキング(拡散思考)」のプロセスです。

「クリエイティブ・シンキング」を取り入れるという「対立解消」の手法は、一般的な問題に対する考え方と、新しいアイデアを練るという具体的なプロセスの両方に存在します。「どんな対立も交渉の余地がある(あるいはどんな問題もどこかに解決策がある)」と考えるようになれば、心を解放してよりクリエイティブに考え始め、新しい道筋を模索することができるようになります。

プロセス面では、「対立解消」は理解に基づいて一緒に解決策をブレインストーミングすることに重点を置いています。一人でやってもダメだし、他の人の意見も聞かずにやっても、同じ過ちを繰り返すことになるからです。クリエイティブな解決への道には、頭を使い、新しい視点に耳を傾け、問題の全体を理解し、複数の解決策を考えることが必要です(デザイン思考のプロセスに似ています)。   

9. 交渉する:対立する利害のバランスを取る方法を学ぶ 

「対立解消」のテクニックとして次にご紹介するのは、おそらくほとんどの人が「対立解消」といえば思い浮かべるであろう「交渉」です。「対立解消」は実際、企業間だけでなく、国家間など多くの交渉で使われています。

ここで強調したいのは、複数の利害をバランスよく調整することの重要性です。チームはさまざまな個人で構成されており、時には衝突することもあるでしょう。ですから、目的はある利益を他の利益より優先させたり、あるメンバーの考えを他のメンバーの考えより優先させたりするのではなく、両方を許容するような解決策を試みることであると意識せねばなりません。

そのためには、チームにとっても個人にとっても、何が重要かを絞り込む必要があります。

10. 「結果に対する責任」を重視する 

「対立解消」のテクニックのリストの最後は、チームとチームメンバーの「結果に対する責任(Accountability)」を保持することです。チームメンバーに責任を持たせるということは、必ずしも罰を与えるということではありません。むしろ、チームメンバーはその言動に基づいて信頼されており、もし彼らが約束を破ったり、損害を与えるような行動をとれば、その信頼は失われることを理解していることを意味します。ですから、罰の代わりに、より公平で、より多くのケースに適用できる「結果」に焦点を当てることが重要です。

「対立解消」において、最後に対立する双方を結びつけるのは、結果に対する責任と信頼です。そもそも「対立解消」に合意するためには、当事者である2人(或いは二つの立場)が「自分は責任を持つ」ということを互いに信頼する必要があります。ですから、チームにおいて責任と信頼の確保は最も重要であり、学ぶべき素晴らしいテクニックなのです。

最後に

以上、チームが学び、使うべき「対立解消」のテクニックをリストアップしました。これらのテクニックはすべて、インバイトジャパンのアクティビティやプログラムなど、チームビルディングを通しても学ぶことができます。私たちのサービスは、コミュニケーション、問題解決、意思決定のスキルを高め、チーム内の共感と信頼の強化をサポートします。是非ご活用ください。

あなたのチームが現在深刻な対立を抱えているかどうかにかかわらず、チームビルディングはこれらのテクニックを実践し、将来の破壊的な対立の発生を食い止めるための素晴らしい方法なのです。

チームビルディング完全
ガイドブック

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。