クリエイティブ・シンキング(拡散思考)とロジカル・シンキング(収束思考):両者の関連性とチームが知っておくべき重要な理由

クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングは、通常相反するものと考えられていますが、この2つの間には実は意外と多くの繋がりがあります。この2つの考え方の関係を理解することで、チームの枠を広げ、より生産的な思考をすることができるのです。

「クリエイティブ(創造的)」という言葉を聞いたとき、あなたは何を思い浮かべますか?アーティストやミュージシャンなど、自分の頭で考えた独自の作品を創作する人でしょうか。彫刻や詩を書くなど、感情のはけ口となるようなクリエイティブな趣味を持つ人でしょうか。あるいは、グラフィックデザイナーや写真家、コピーエディターなど、デジタル社会のためにオリジナルの「コンテンツ」を制作する現代の「クリエイター」を思い浮かべるかもしれませんね。

「ロジカル(論理的)」という言葉を聞いたときはどうでしょう?学校の数学や理科の授業で見るような厳格なルールや証明、唯一の正解などを思い浮かべるかもしれません。データアナリストや弁護士、会計士など、給料は高いが、考え方や行動の仕方で精神的に追い詰められる仕事を思い浮かべる人もいるでしょう。

私たちはクリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングを並列に並べる傾向があります。一方は自由で束縛されない野性的なものであり、もう一方は冷たくて硬いけれども正確なものという印象です。

これは私たちの心やアイデンティティについての考え方にも焼きついていると言えるでしょう。一般的に言われる「左脳/右脳」モデルという考え方が根強くあります。クリエイティブな人は「右脳」の人、合理的で論理的な人は「左脳」の人というように、脳の中でそのような機能を持つ部分があると言われているからです。

しかし実際には、疑わしい科学に基づくだけでなく、すべてが同時に作用していることを確認するという、脳そのものの要点を取り違えて閉まっています。また、創造性と論理性をそれぞれ別個のものとして捉えているのも、誤解されている点です。

今回のブログ記事でご紹介するように、クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングは大きく関係がないわけでも、対立しているわけでもありません。むしろ、効果的な思考を行うためにはどちらも必要なものなのです。そして、チーム全体として独創的な思考や新しいアイデアを繁栄させるためには、クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの両方が融合している必要があることを教えてくれるでしょう。

クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキング:どんなものなのか?

まずは少し話を戻して、クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングとは実際にどのようなものかを、最も一般的な思考方法のモデルにしたがって説明しましょう。後ほどこれらを分解していきますが、ひとまず、両者の簡単な紹介から始めます。

クリエイティブ・シンキング(創造的思考/拡散思考)

クリエイティブ・シンキングとは、一般的に「既成概念にとらわれない思考」を意味しており、日本語では主に「創造思考」や「拡散思考」と訳されています。つまり、クリエイティブ・シンキングとは、物事を行う、物事を生産する、あるいは物事について考える新しい方法を考え出すことを意味しており、その核心は、独創性と革新性にあるのです。

創造的な趣味を実践してアートや音楽、文章を制作したり、新しいプロセスや方法を思いついたりと、クリエイティブ・シンキングを実践する方法はさまざまあります。

最近のブログ記事でも紹介したように、クリエイティブ・シンキングは、問題を異なる視点や他の文脈から見ること、そして通常の問題へのアプローチ方法に従わないこと、つまりラテラル・シンキング(水平思考)に依存していると言うことができるのです。

ここに、クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングがそれほどかけ離れていないことを示す最初のヒントがあります。実は、ラテラル・シンキングにもロジカル・シンキングは含まれているのです。ただ、問題の見落とされている部分に焦点を当てたり、自分の思い込みを検証するためにロジックを使うのがその特徴と言えるでしょう。

ではそれを頭の片隅に置いて、次はロジカル・シンキングを見ていきましょう。

ロジカル・シンキング(論理的思考/収束思考)

ロジカルシンキングとは、論理、推論、分析を駆使して問題を解決する方法であり、日本語では主に「論理思考」や「収束思考」と訳されているものです。問題を「(可能な限り)客観的に」見ることで、合理的な結論を導き出し、最も効果的な解決方法を見出すことを目的としています。

ロジカル・シンキングは通常、感情や物語よりも客観的な事実やデータに基づいて行われるものです。これらのデータや事実を理解するために、ロジカル・シンキングをする人は通常、ロジカル・シンキングに基づくプロセスや方法を繰り返し使用し、洞察や意味を探ります。

しかし、このようにロジカル・シンキングの中にも既に、創造的な空間が存在しているのです。事実やデータはそれだけでは語れないので、インサイトを得るためにはある程度のクリエイティブ・シンキングが必要とされます。また、論理や理屈に基づいた分析であっても、より良いプロセスや方法を考え出すには、ある程度の創造性が必要なのです。

ロジカルの中の創造性とクリエイティブの中の論理性

したがって、ロジカル・シンキングとクリエイティブ・シンキングは、私たちが考えている以上に絡み合っているというのが真実なのです。ダ・ヴィンチ、モーツァルト、フランク・ロイド・ライトなど、多くの創造的な思想家は非常に論理的な人でもあります。実際、芸術家は自分の考えを表現し、伝えるために、ある程度論理的な思考をする必要があり、詩、絵画、作曲、デザインなど、あらゆる創造的な仕事は、ある形式とプロセスに依存しているのです。

同様に、ロジカル・シンキングにもある程度の創造性が必要です。アインシュタインやダーウィン、ニュートンのようなロジカル・シンキングをする人を思い浮かべてみてください。彼らは論理や数学など、合理的な思考に長けていました。しかし、彼らの研究は斬新で、新しい科学者や数学者にインスピレーションを与え続けています。ロジカル・シンキングにはある種のエレガンスがあり、それは優れた科学論文やよく書かれた数学的証明を読むたびに明らかになるものです。それは理屈だけでなく、創造的な仕事も含まれるからであると言えるでしょう。

だからこそ、私たちはクリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングそれぞれから連想されるものを捨てなければならないのです。クリエイティブ・シンキングは芸術や感情だけを意味するのではありませんし、ロジカル・シンキングは数学や数字だけを意味するのではありません。

どんな問題でも、解決するためにはある程度のクリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの両方が必要です。クリエイティブ・シンキングは、自分の限界を押し広げ、現状にとらわれない発想を得るのに役立ち、ロジカルシンキングは、その発想を検証したり生産したり、他の人に伝えられるようにするためのプロセスを策定するのに役立ちます。

先ほど、ラテラル・シンキング(水平思考)について少し触れましたが、重要なため、ここでもう一度取り上げておきます。ラテラル・シンキングは、クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの両方を支えるものであり、視点とそれが状況によってどのように変化するかを重視しているものです。そのため、問題に対する自分の視点や立ち位置を理解することは、論理的に問題を理解するためにも、新しい解決策を探すためにも非常に重要になります。 

これがチームにもたらす意味と、チームにできること

このように、クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの両方を用いることによって、互いを補強し合いながら、個人としてもチームとしても、思考力を高めていくことができるようになります。この2つの思考をうまく融合させることができれば、提示するアイデアも、チームで引き出す視点も、より効果的に課題に対処し、新しいアイデアを生み出すことができるチームになるはずです。

1. 異なる視点を求める

さまざまな視点をうまく組み合わせることで、チームの問題解決能力を創造的かつ論理的に高めることができます。チーム内に多くの視点を持つことで、よりバランスのとれたアイデアが生まれます。また、新しい視点を模索することで、チームの思考の限界を超え、より優れた、より正確な方法を導き出すことができるのです。

2. 好奇心旺盛である 

好奇心は、まさにすべての思考の基本です。人は世界に好奇心を抱くと、その世界についてもっと考えたいと思い、探求し、新しい理由やアイデアを探そうとします。そして、好奇心はクリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの両方に新たな出口を提供するものであり、非常に重要なものです。

チームには新しい取り組みや解決すべきことが必要ですが、好奇心の観点から問題に取り組むことで、新しい視点から眺めつつ、自分を見失わずに済むでしょう。また、好奇心が旺盛であればあるほど楽しいものなので、すべてのチームにとって良いことだらけなのです。 

3. クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの両方をチームに探求させる

ロジカル・シンキングとクリエイティブ・シンキングの境界をなくし、チームのマインドセットを広げるには、チームメンバーにクリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの双方を探求させることが重要です。ブレインストーミングで新しいアイデアを考えさせるだけでなく、結果を分析し、プロセスを重視するよう促してください。

4. 思い込みにとらわれない

ここで強調したいのは、「特定の思考法や特定の性格のタイプについての仮定は、ほとんどの場合間違っている」ということです。どのような思考法にも価値があり、私たちは無意識のうちに、常にいくつかの思考法を使っています。つまり、こういった思い込みを捨てれば、自分自身やチームメンバー、そして仕事を新しい視点で見ることができるようになるのです。 

5. ホリスティック・チーム・ビルディングに挑戦する 

「ホリスティック(全体論的)・チーム・ビルディング」とは、さまざまなスキルセットや思考スタイルにチームで挑戦するチーム・ビルディングのことです。インバイトジャパンがご提供するようなチームビルディングのアクティビティは、思考力、コミュニケーション力、意思決定力を試すようにデザインされています。また、パズル(謎解き)をベースに、創造的な発想で解決策を考え、論理的に正解を導き出すことも重要とされます。つまり、スキルや視点を組み合わせて、一緒に仕事をすることが大切なのです。

チームビルディング完全
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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。