感情的知性の高いリーダーになるために:リーダーとしてのあり方を変える6つのステップ

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感情的知性が高いリーダーは、さまざまな理由からチームにとって有益な存在と言えます。チームの他のメンバーがどのように考え、感じているかを見極めることができ、チームの文化や環境をメンバーのニーズに合わせてよりよく形成することができるからです。また、状況に応じてチームのビジョンやメンバーのモチベーションの向上方法、あるいは指導方法を調整することができます。

感情的知性に関する本シリーズをご覧になっている方なら、何も驚くようなことはないでしょう。しかし、なぜリーダーにとって感情的知性が重要なのかについては説明しましたが、それが実際にどのように作用するのかについては、あまり触れてきませんでした。 

そこで今回のブログでは、より感情的知性が高いリーダーになるための簡単なステップをいくつか紹介します。このリストは自分のスキルを高めたいと考えているリーダーにとって有益であることは言うまでもありませんが、より良いチームメイトや将来のリーダーになる方法を学びたいと考えている人にとっても役立つと期待していますので、是非お役立てください。

以前にもお話ししましたが、リーダーシップは、正式なリーダーや役職に就いている人だけが持つものではないことを忘れないでください。どんな肩書きを持つ人でも、リーダーシップのスキルや、感情豊かな優れたリーダーになるための方法を学ぶことができるのです。

1. 自分の行動と、それが他人に与える影響を意識する

感情的知性とリーダーシップの両方において、最前線にあるのは「気づき」です。そしてこの意識は、自分自身に関するものだけではありません。自分の行動が他人にどのような影響を与えるかを意識することは、共感や他人を理解するための基礎となります。リーダーは日頃から人に影響を与えることに積極的に取り組むことが求められているため、これは特に重要なことです。

私たちは、リーダーシップというと、積極的に行動し、独立心旺盛であるというイメージを抱きがちです。また、「物事を成し遂げる方法を知っている」という理由で、リーダーの悪い行いを正当化することさえあります。

しかし、私たちはそのようなリーダーシップのあり方や、その根底にある価値観を問い直す必要があります。リーダーは独立した存在でもなければ、チームを「コントロール」しているわけでもありません。むしろ、「チームの一員として」チームを導き、リーダーシップを発揮しているのです。そのため、自分の行動が他のメンバーにどのような影響を与えているかを意識する必要があります。

  そのひとつが自己内省であり、これはリーダーにとって非常に重要なことです。また、他人の話に耳を傾け、自分のしていることに相手がどう反応するかに気づくことも忘れてはなりません。このように、自分自身と他者に対する二重の意識を持つことで、より理解力のある、感情豊かなリーダーになることができるのです。 

2. 感情の使い方を意識する

感情的知性にとって、気づきの裏返しとなるのが影響力(または管理、調節)です。自分の感情や他人の感情に気づくことができれば、自分の感情を調整したり、他人の感情にポジティブな影響を与えることができるようになります。

しかし、これは人によっては不快な領域に入るように思えることもあるでしょう。自己管理は良いのですが、他人に影響を与えるというのは、相手をコントロールしようとしているようにも聞こえます。とは言え、実際私たちは皆、ネガティブにもポジティブにも、自分の感情で他者に影響を与える力を持っていますし、それを理解することは、自分の感情の使い方に広く気づくことの一部なのです。そしてこのことを理解することは、自分の感情の使い方に気づくことを意味し、感情的知性を持ったリーダーを育てる上で非常に重要なことです。

感情は強力なものであり、リーダーはそのことと折り合いをつけなければなりません。感情的知性を持つリーダーは、感情を利用してチームを高揚させ、メンバーを鼓舞し、動機づけ、指導します。一方、感情的知性のないリーダーは、逆に感情を刺激したり、罰したり、チームメンバーをコントロールするために使うといったことが起こり得るでしょう。

ということで、最初のステップは、自分の感情を振り返り、社会的な状況でそれをどのように使っているかを考えることです。自分がどのような感情を使うのか、どのような場面でその感情が出やすいのか、それに対して他の人がどのような反応をするのかに注目してください。

私たちは無意識のうちに感情を使っていることが多いので、このレベルの意識を持つことは、自分のリーダーシップスタイルを確立するのに役立つだけでなく、他の人がネガティブな感情で他人に影響を与えようとしている時に気づけるようにもなるでしょう。

3. チームの他のメンバーとの調和を保つ

感情的知性を持つリーダーであるということは、つまり、自分がチームの中に存在することを認めるということです。先にも述べたように、リーダーはチームの上や外に存在している訳でもなければ、チームを「コントロール」している訳でもありません。このことを理解することは、ある意味、チームの他のメンバーと調和するように自分の感情を自己調整することでもあります。怒りや悲しみ、憤りなどをコントロールし、感情を適切かつポジティブに振るうことを心がけましょう。

チームとの調和とは、チーム全体の雰囲気を把握し、問題が起きないか注意することでもあります。そのためには、メンバーの声に積極的に耳を傾け、フィードバックを収集し、他のメンバーのニーズを考慮することです。

  チームとの調和を図るには、交響楽団に例えるのが良いでしょう。指揮者は前面に出て、一見すると「コントロール」しているように見えますが、実際には指揮者は、さまざまなパートからなるオーケストラの他のメンバーを「導いて」いるのです。チームリーダーと同じように、指揮者は各奏者の状況を把握しなければなりませんが、目標は調和のとれたホールを作ることであり、指揮者だけの意志の表現ではありません。

4. 安全なチーム環境と文化を積極的に創造する 

先ほど述べたように、感情的知性を持つリーダーは、チームにとって安全で生産的な環境を作り出すことができるものです。チームは、よりオープンで創造的かつ、精神的な不安からの解放を感じられる、心理的に安全な環境で最もよく成長します。基本的に、チームメンバーは尊重され、評価されていると感じることと、新しいアイデアを生み出すために自分の考えや感情を共有する能力を持つ必要があります。

しかし、このような安全な環境を実現するためには、チームの感情的なニーズに敏感な、強力で積極的なリーダーが必要です。チームによっては、良い行動の模範を示し、メンバー全員にとってより感情的になりやすい環境を作るための新しい規範や行動を作り出すために、より積極的な取り組みが必要な場合もあるでしょう。

リーダーとは、影響力を持ち、やる気を起こさせ、導く存在です。ですから、新しい環境づくりのプロセスにおいて、リーダーは非常に重要な存在であることは言うまでもありません。特に、感情的知性を持つリーダーは、チームメンバーのニーズに耳を傾け、新しい規範を確立し、チームの労働文化を向上させる方法を模索することが求められます。これはチームとの調和を保つことと密接に関係しており、さらに反省と積極的な改善を加えることにも繋がるでしょう。

例えば、感情をオープンにする、燃え尽き症候群に対応する努力をする、休暇を柔軟に取れるようにするなど、チームの環境を形成する新しい規範や行動を作り出すことは簡単なことではなく、忍耐が必要です。しかしこのような変化は、リーダーが「影響力を与え、模範を示すことによって、チームを形成する自らの役割を認識すること」から始まります。

5. 対立を恐れない

感情的知性のあるリーダーにとってもう一つの重要な教訓は、「チーム内の対立から手を引かないこと」です。感情的知性とは、すべての対立を避け、何があっても妥協を強いるということではありません。むしろ対立は、前に進み、問題を明るみに出すために(特にしばらく長引いていた問題を解決するために)、しばしば必要なことなのです。

しかし、重要なのはそのような対立を管理し、どちらの側の感情も損なわないような解決策を見出すことです。そのためには、対立の解決と緩和が不可欠ですが、クリエイティブシンキングも重要であることを指摘しておきます。対立をゼロサムゲームと捉えるのではなく、新しいアイデアを生み出す機会として、また協力し合うための手段として捉えるべきなのです。

しかし、「管理された対立」を実践するには、感情をよく理解し、対立が対人関係にまで波及しないように努力する必要があります。対立を避けようとするのではなく、管理された対立を実践することは、チームをより感情的に健全にし、またあなたをより感情的知性が高いリーダーにするのに役立ちます。

6. 「繋がり」に集中する:すべてを負担しようとしない 

感情的知性の高いリーダーに関する最後のポイントは、注意点です。 感情的知性が言う、「感情や思いやりといったリーダーシップ」は、防ごうとしていることの極端な逆を引き起こす可能性があります。誰も気にしないチームリーダーではなく、リーダーが関わりすぎ、聞きすぎ、チームのすべての感情を引き受けてしまう可能性があるということです。

チームリーダーがチームの不満やニーズ、感情をすべて受け止めて吸収しなければならないと感じると、不健全な関係が生まれます。そうなると負担が大きくなり、疲弊や燃え尽き症候群に繋がりやすくなるでしょう。そうならないためにも、感情豊かなリーダーは、チーム全体の唯一のパイプ役になろうとするのではなく、チームメンバー同士を繋ぐことに重点を置く必要があります。

つまり、チームリーダーの究極の目標は、チームが一丸となって問題解決に取り組み、互いを感情的に理解しあえるよう、その環境や文化の形成に貢献することなのです。チームが互いに信頼し合い、支え合える環境が整っていれば、チームリーダーはすべての問題や悩みに耳を傾ける必要はありません。

これは本来、感情的知性をチームの他のメンバーに広めること、つまりチームメンバーがより感情的知性を持ち、お互いを理解するよう指導し、訓練することを意味します。また、人間関係、コミュニケーション、信頼を強化するようなチャレンジを通してチームビルディングを行い、チーム内に強固な結合組織を確立することも含まれます。つまり、感情豊かなリーダーになるための最良の方法は、チームを可能な限りネットワーク化し、繋がりを持たせることなのです。