チームとして「集中」する:プロセスを愛することを学ぶ

チームで力を合わせるとき、最も重要なことのひとつは、取り組んでいることのプロセスを、そして一緒に仕事をするプロセスそのものを好きになることです。

「集中力」というと、部屋の中で一人で作業をしたり、瞑想しながら一生懸命考えたりと、深い集中をイメージすることが多いのではないでしょうか。つまり、「集中力」とは静寂と孤独を必要とする個人的な作業であると考えられがちです。

これは部分的には正しいことでしょう。しかし、特にチームとして「集中」するに関して言うと、多くのことが無視されていると言わざるを得ません。

「チームとして集中」する

前回の記事で説明したように、「注意を払う」ということは、作業に集中するだけでなく、より大きな目標や考え方を意識することでもあります。そして、特にこの2つの段階のように多くのタスクが関わる場合、他の人が一緒に働くことによって、私たちは一人よりもさらに「集中力」を高めることができるのです。

その典型的な例がブレインストーミングです。チームメンバーで行うブレインストーミングは、正しく行えば、一人で考えるよりもはるかに良いアイデアを出すことができます。なぜなら、チームメンバーが互いにアイデアを出し合い、議論を通じて互いのアイデアを検証することができるからです。

しかし、すでに述べたように、ただ集まってアイデアを出し合うだけでは、必ずしも「チームとして集中する」ことにはつながりません。複数の人が一緒に仕事をすることのメリットを活かすためには、もっとやるべきことがあるのです。

「チームとして集中する」ためのポイントは、「一緒に仕事をすること」「目標を決めること」「そのためにどう動くか」というプロセスを楽しむことにあります。個々の仕事や役割に目を向けるのではなく、そのプロセスを楽しむことで、チームはより強く、より一体となって、目標に向かって着実に進んでいくことができるのです。

そこで今回のブログ記事では、「集中力」とは何か、特に「チームとして集中する」ことに関して深く掘り下げていきます。また、チームワークや仕事全般のプロセスを楽しむという考え方、そしてそれがチームだけでなく個々のチームメンバーにとってどのような意味を持つのかについても触れていきますので、ご参考にしてください。 

人はどのように集中するのか?

前回は「集中力」と「注意力」の3つの層について分析し、大きく分けて「タスク」「目標」「思考」に分類されるお話ししましたが、そこでの鍵は「何にフォーカスしているか」という点でした。

今回はもうひとつ、ピントを合わせる方法について考えてみましょう。もっと簡単に言うと、「どうやってピントを合わせるか」ということです。

「集中力」とは、集中することではなく、決断することであるとよく言われます。つまり、何かをやると決めたら、一般的にはそれに集中しやすくなるということであり、逆に何かを決めたくないときこそ、集中できないと感じるものなのです。

しかし、「集中力」にはもう一つ、「臨場感(presence)」という考え方に関連する側面があります。私たちが集中するのは、目の前の仕事やアイデア、目標にフォーカスしているとき、つまり、その瞬間に完全に入り込んでいるときです。しかし、「臨場感(presence)」が十分でないとき(他のことを考えたり、スマートフォンの新機能を気にしたり、完全にコミットしていないとき)、私たちは集中を失い、気が散ってしまうのです。

この観点から、「集中力」を「判断」「行動」「意識」の3つの機能に分解して考えることができます。 

1. 決断

決断することは、注意を集中させるための鍵の1つです。例えば、皿洗いをすると決めたとき、あなたは他のすべての選択肢を無視することを選択したことを意味します(後述するように、これは必ずしも集中することを意味するものではありません)。そうすることで、目の前の「皿洗い」というタスクに集中することができるのです。

一つのことをする、あるいはそれに集中すると決断するという行為自体も、所有権と責任感を生み出すという意味で重要です。1つのことをやると決断することで、それが自分の人生や存在の一部となり、自分のために決められたり、外部から課されたものとは対照的になります。

これがチームの場合、チームが何を重視し、何をするかを決めるための意思決定が不可欠であることは明らかでしょう。しかし、ここにはもう1つ重要な学びがあります。それはみんなで決めて、意思決定のプロセスをできるだけ集団的にすることで、チームメンバー全員が、チームの成長と発展に対してより個人的に関わり、責任を感じるということです。

2. 行動

何かをしようと決めたら、「集中力」自体は高まるかもしれませんが、何よりも不可欠なのは、実際に「行動」することです。ここでいう「行動」とは、作業や仕事だけを指すのではなく、目標設定や思考など、より認知的なレベルの「行動」も含まれています。

実際に「やる」のは意志の力、つまりモチベーションに起因していると言えるでしょう。そして、何かをしようと「決断」することと、それを実際の「行動」に移すことの間には、必ずしも明確な区別や間があるわけではありませんが、境界線は薄いとしても、確かにそこに存在しているのです。

したがって、「集中」すること(特にチームにおいて)の目的は、多くの場合「決断」と「行動」の間の間隔を縮めることと言い換えることができます。パーソナルフィットネスの世界の言葉を借りれば、「心と体の結びつきを強めて、その移行をスムーズにする」ということです。

3. 意識

最後の段階として、「集中力」とは自分が何をしているのかを「意識」することです。今一度、皿洗いの例で説明してみると、自分が何をしているのかを意識していないと、洗い残しがあったり、怪我をしたりする可能性があるでしょう。また、自分の失敗を意識しなければ修正することもできないでしょうし、失敗したことにさえ気づかないこともあるかもしれません。

つまり、その作業に集中していないことになり、皿洗いをするという目的を達成することができなくなってしまいます。このように、「意識」はその瞬間に起こっていることを意識し、「臨場感(presence)」を助けるだけでなく、その後の私たちの成長や考え方、つまり、今後の「集中力」を決定するものなのです。

「チームとして集中」する場合、この「やっているとき、考えているときの意識」が何段階にもなっています。個々のメンバーが自分の仕事を進める上での意識やメンバー同士のやりとりの中での意識、そしてチーム全体としての意識です。

3つの機能を連動させる:集中すること=プロセス

もちろん、この3つの機能が連動していることが理想的な状態です。先ほど、「決断」と「行動」ができるだけスムーズで連続的であることが望ましいと述べましたが、同様に、「決断」や「行動」をしている間も常に「意識」することで、3つの機能を同期して使えるようにしたいものです。この3つの機能の間に摩擦があればあるほど、私たちは集中力を欠き、何か別のことをしてしまう可能性が高くなります。

これらのことを同時にバランスよく行うのは難しいと思われるかもしれませんが、これら3つの機能を同時に働かせる方法はちゃんとあります。それは「プロセス」と呼ばれるものです。 

「プロセス」は基本的にこれらすべての機能を1つにまとめたものです。「プロセス」は(多くの場合、基準や目的を示すことによって)「決断」や迅速な「行動」を容易にし、何が起きているのかを常に意識できるようにします。

しかし、「プロセス」は習慣やルールと混同されがちなものでもあります。習慣やルールは「プロセス」に影響を与えるものではありますが、まったく同じものではありません。例えば、文章を書いたり作曲したりするときの「芸術的創造プロセス」を考えてみてください。このプロセスは人によって異なるでしょうが、習慣を作ることやアイデアを濾過すること、芸術の実際の技術(技巧)に敬意を払うことなど、似ている点がたくさんあります。 

そのため「決断」、「行動」、「意識」が一体となった、自然な流れが生まれます。この流れこそが、「集中力」の本質なのです。そして、「プロセスを愛する」ことを学べば、どんなことにも簡単に集中し、成功することができるようになるのです。

チームにおける「プロセス」

プロセスは個人にとって有用なものであることは間違いありませんが、「チームとして集中」するためにも有効です。チームであれば、一緒に仕事をするためのプロセスが自然とできあがっていくもの。しかし、各メンバーのスキルや考え方の多様性に基づいたプロセスを意識的に作ることで、チームが最も重要なことに集中するためのプロセスがより効果的になります。

目標を議論したり、タスクを効率化したり、あるいはすでに使っているプロセスを見直すなど、「プロセス」はどんなレベルの「注意」にも使えるということを覚えておきましょう。

このように、「プロセス」はチームをまとめ、注意を集中させるために不可欠なものといえます。複数の意見や背景、視点を1つの枠組みにまとめ、素晴らしい成果を生み出す、チームのバックボーンとなるものなのです。

そして「プロセス」において重要なのは、「反復的」であるということです。つまり、何度も何度も繰り返される必要があるのです。繰り返し行うことで、先ほどお話した習慣やルール、あるいはチーム内における一定の文化が形成されていきます。

チームワークの成立プロセス

「プロセス」が何にでも使えるのであれば、チームとしてチームワークに集中するためにも使うことができるはず。インバイトジャパンのようなチームビルディングの目的は、実はそこにあるのです。チームを普段の生活から引き離すような課題を通して、チームワークのプロセスで何が起きているのかをチームに意識させます。つまり、どのようにチームが一緒に決断し、一緒に行動し、一緒に考え、一緒に成長しているのかに気づかせるのです。

チームワークが成立するプロセスは、他のプロセスと同様に、チームがそれに集中し、注意を払うのに役立ちます。ですから、もしチームワークやより強力なチーム環境の構築に集中したいのであれば、最善の方法は「チームが実際にどのように協力しているか」というプロセスに目を向けることです。そしてそのプロセスを改善し、繰り返すことで、チームワークと成功のレベルに永続的な影響を与えることができるのです。 

チームビルディング完全
ガイドブック

Add Your Heading Text Here

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。