先週末に、日本で行われた仕事と飲酒文化に関する調査についての記事を目にしました。それによると、回答者の60%以上が同僚との飲み会は「必要ない」と感じているとのこと。日本には同僚との飲み会の文化が根付いているので、最初はこの結果に少々面喰いましたが、結果としてはあまり驚きはしませんでした。
パンデミックの影響でこれまでの様々な常識が覆され、同僚との飲み会も、他の生活様式同様に変化を余儀なくされました。何かを定期的に行う習慣がなくなると「それって必要だったっけ?」と疑問に思うことがありますよね。今後規制が解除され、あらゆるものが再び開放され始めた時に、こういった疑問は特に興味深いものになるでしょう。では人々が「元通りにしたい」と思っているものは何でしょう?また、「意味がなくなった」と思い手放すことになるものは何でしょう?
同僚との飲み会は、チームビルディングやインバイトジャパンが現在行っていることと実は関係があります。今までの日本の企業文化として、チームビルディングの多くは(そういう意識で実施していた訳ではなかったにしろ)同僚との飲み会が中心となっていました。そして現在、最近このブログシリーズでも何度か取り上げているように、パンデミックの影響で多くの企業が「従来のような飲食店での忘年会」を今年も実施しないことを決めてるようです。寂しいと思う一方、もしかしたらこれはお酒や食事だけに頼らず、別のイベントや人間関係を深める方法を試してみる良い機会なのではないでしょうか。
今回の調査で私は多くのことを解明することができました。そこで今回の記事では、日本における同僚との飲酒文化と、それが複数の要因によってどのように変化しているか、また、チームビルディングをより包括的なものにするためにはどのようなアクティビティであればそれに代わる可能性があるのかについてお話ししたいと思います。
「飲み二ケーション」とその不満点
前述したように、日本には昔から「同僚と酒を飲む」という文化が根付いています。忘年会や新年会などの季節ごとの飲み会や、入社・退社時の飲み会などは有名かつ大きなもの。さらに困難なプロジェクトを完了したり、難易度の高い目標(顧客獲得、イベントの成功など)を達成したりした後には、多くの会社や社内のチームが独自の打ち上げパーティーを開催します。加えて「何でもない日にも同僚と飲みに行く仕事終わりのビールが好きだ」という人も、以前はよく見かけたものです。
一緒にお酒を飲んだり、パーティーをしたりすることをチームビルディングの中心に据えることは、必ずしも間違っているわけではありません。世界中の文化において、アルコールは社会的な潤滑油であり、人々が心を開いて新しい友人を作るのを阻む抑制を取り除くのに役立つことが知られています。日本語にも「飲み二ケーション」という言葉がありますね(「飲み」と「コミュニケーション」を組み合わせた造語)。
「飲み会で腹を割って全てを打ち明け、翌日には何事もなかったように振る舞う」というジョークがあるように、「飲みニケーション」という概念が同僚との飲み会の文化を支えてきました。それは70年代から80年代にかけてアメリカのビジネス理論家たちが、「飲み会は日本の緊密で高機能なチームワーク文化を支える一つの側面である」として賞賛していたほどです。
しかし実は、そんな「飲み二ケーション」もパンデミックが起こる前から少しずつ減少していました。その理由はいくつか考えられます。1つは「会社の飲み会」が若い世代にとって、あまりにも儀式的で魅力に欠けた、古いオフィス文化の遺物のように見られるようになったことです。今、多くの人が会社の飲み会に行くことについて話す時、そこには少なからず義務感や煩わしさの存在が感じられます。
もう1つの理由は、包括性の欠如ではないでしょうか。全ての人がお酒を楽しむわけではなく、お酒を飲みたいと思うわけでもないので、お酒を中心としたアクティビティから取り残されていると感じる人も多いでしょう。また、特に「大量のお酒を飲まなければならない」というプレッシャーは、場合によっては同調圧力やハラスメントの一種とみなされることもあります。
「大いなる再評価」
しかしパンデミックが発生して様々な活動が制限されたことで、多くの人が飲み会を含む社会生活の様々な側面を再評価し、見直しているようにも思います。
多くの人が一人で過ごす時間を増やし、それを楽しむか、少なくともその状況を受け入れる方法を学んでいます。また多くの労働者は、これまでのように社交的になったり、オフィスで政治的なことをしなくても、多くの仕事をこなすことができることに気づいていることでしょう。これらは全てパンデミックをきっかけとした「大いなる再評価」の一環であり、人々は自分の人生や本当にやりたいことについて考えるきっかけになっています。
こういった変化は必ずしも悪いことではありません。停滞は変化の前兆であり、より有益で人々のニーズに応えるような新しい構造を前向きに生み出すきっかけにもなり得るでしょう。もし6割の人が「飲み会は不要」と感じているのであれば、それは飲み会では意図した効果が得られていないことを示しています。しかしそこで古いものがなくなったことを嘆くのではなく、新しいものを一緒に作れる!とワクワクしたいものです。結局それがチームの最大の目的なのですから。
新しい繋がり方を見付ける
パンデミックが起こる前から、私たちインバイトジャパンは、チームが様々な方法で繋がりを持つことを奨励してきました。特に私たちはそれを「日常」という観点から見ています。チームビルディングのアクティビティは、チームメンバーが「日常」から抜け出して、一緒に何か新しいことを体験する(しようとする)ものであるべきだと考えているのです。飲み会は特に日常的なものになりがちですが、いつもと違う何かを取り入れることによって、チームに刺激を与える新鮮な体験に変えることができるでしょう。
パンデミックや度重なる緊急事態宣言以降、多くのチームが繋がりを築くためにあらゆる新しい方法を模索せざるを得なくなりました。しかしそれは本当に難しいことであり、チームが新しいことを実践する姿を正確に想像するのがいかに困難かが分かったという人も多いことと思います。古い習慣はなかなかなくならないものですからね。
しかしリモートワークやハイブリッドワークの増加は、私たちに新たな課題と同時に新たなチャンスをもたらします。課題の一つとしては、誰もが離れ離れになって孤立してしまい、個人的な繋がりを築くことはもちろん、全体を繋げるためのイベントを企画することが難しくなってしまったことが挙げられるでしょう。
しかし一方で、新しい職場環境の要求に応えるために通信技術は爆発的に進歩しており、繋がる方法は以前より多くなっています。生産的で魅力的なチームビルディングセッションを行うために、同じ部屋に一緒にいる必要はもはやありません。私たちのオンラインチームビルディングイベントでは、時には異なる大陸からの参加者が一緒に作業することもありますが、2年前よりもその環境は圧倒的に安定したものになりました。
今、チームビルディングの必要性はより明確で重要なものとなっています。チームメンバーの多くがそれぞれの世界で生活し、仕事をしているため、チームは全員をまとめるためにはより多くの努力しなければなりません。しかし私が思うに、チームがすべきことは変わらず「自分たちの目標は何か」そして「その目標を達成するためにはどのアクティビティが最適なのか」を再確認することです。自分たちのチームがどのような価値観を持っているのか、そしてそれをさらに強化するにはどのようなイベントが適しているのか。そして全員がチームビルディングのプロセスに参加していることを実感できるような包括性について、真剣に考え始めるべき時なのではないでしょうか。
最後に
「職場の飲み会」が完全になくなるとは思いませんし、そうすべきだとも思いません。しかしこの再評価と変化の時期は、チームが人間関係を構築し、コミュニケーションを強化するための様々な方法を発見する新たなチャンスになることでしょう。その結果、オンライン、短いアイスブレーキング、アウトドアなど、あらゆるタイプやスタイルのチームビルディングが共存し、そして全てのチーム、全てのチームメンバーが、チームビルディングが提供する成長と変化の素晴らしい可能性を真に活用できるような風景が生まれることを願っています。
インバイトジャパンは、未来に向けたチームビルディングアクティビティの開発に取り組んでいます。オンラインから対面式まで、また屋外での街歩き謎解きから屋内での出張型謎解きまで、チームの目標を活気づけ、コア・バリューを強調するための様々なアクティビティを用意しています。詳細については是非お気軽にお問合せください。