多くの企業で入社前の年の秋から冬にかけて行われる内定者研修。内定者の不安を解消したり、入社後に必要なスキルを習得してもらう目的で行なわれます。
この記事では、内定者の抱える問題と内定者研修の目的を踏まえた上で、内定者のエンゲージメントを高める楽しく盛り上がる研修アイデアをご紹介します。
内定者の抱える問題
内定者の約8割は、入社に対して不安や悩みを抱えていると言われており、内定後のフォローをどのように行うかが重要なポイントになります。

コロナ禍での就職活動では、実際に会社を訪問したり、社員や同期と直接話をする機会がないため、不安感がより高まる傾向にあるようです。オンライン面接の場合、企業に対するイメージがさらに不透明となり、想像していた環境と現実のギャップが大きいため、決断を躊躇する人が増える可能性があります。
こうした問題を解決するためには、同期となる内定者同士が知り合う機会を設けるとともに、仕事のイメージを膨らませることが効果的です。
また、内定者が抱えるもう一つの課題として、「絶対にこの会社で働きたい」という強い意志を確立できていないことが挙げられます。その理由のひとつは、内定者自身が、この会社で働くことで何を実現したいのか、入社後どのように成長できるのか、どのようなキャリアを描けるのかなど、具体的なイメージを持っていないことにあります。
内定者研修の目的
内定者研修の主な目的は、次の3つに分けられます。
1. 内定者の不安を解消する。
内定者の多くは、内定をもらえたことに嬉しい気持ちがある反面、中には本当にこの企業を選んでよかったのかといった悩みを抱き、入社に対して不安を抱えている学生もいます。内定者研修の開催によって会社についてより深く理解するとともに、どんな人たちと一緒に働くのかなど職場の雰囲気を知ることができれば、内定者が抱える不安は解消され、安心して入社してくれるでしょう。
また、同僚となる内定者同士の仲を深めることも、内定者の不安解消に繋がります。内定が出たら、できるだけ早い段階で内定者同士のコミュニティを作ることをお勧めします。内定者同士のチームワークを高めるような楽しいチームビルディングアクティビティがおすすめです。
2. 社会人としての基本的スキルを身につける。
内定者が社会人としての心得やビジネスマナー、文書や基本的なツールの使い方などのOAスキルを身につけることで、入社後スムーズに職場に馴染むことができます。また、事前に基礎を理解しているため、現場での指導の負担が軽減され、即戦力として期待することができます。
内定者によってはスキル面で不安を感じることもあるため、入社前の内定期間中に学ぶ機会を設けることは、自信を持って社会人としてのキャリアをスタートしてもらうために効果的です。
3. 内定者フォローで内定辞退を抑止する。
優秀な学生が複数の企業から内定をもらうことが当たり前になり、内定後の辞退は、企業の採用活動において喫緊の課題となっています。
内定辞退を防ぐためには、内定者が入社するまでできるだけ高いモチベーションと帰属意識を保つことが重要です。入社前に何の連絡もない場合、内定者はやる気や不安を感じ、そうなるとモチベーションが低下してしまうケースもあります。
内定者は定期的に情報を受け取ることで、安心感や、組織の一員であることの自覚を持つことができます。複数の内定を得た学生は、研修などの入社前イベントがない企業には興味を失ってしまうことが多いようです。
内定者研修の中で、今後一緒に働くことになる内定者同士が協力し合い、仲間意識を高める機会を設けることは効果的です。チームとしての一体感が生まれ、仕事へのモチベーションも自然と高まります。
また、入社前に会社や先輩社員、同僚となる内定者と接することで、入社後の具体的なイメージを形成することができます。内定者フォローには、内定者の入社意思を固める効果もあり、先輩社員がコミュニケーションを図ることは、内定者のモチベーションを上げる効果があることは間違いありません。これにより、モチベーションを高めながら入社時のギャップを減らすことができ、内定辞退や入社後の早期退職を防ぐことができるのです。
内定者のエンゲージメントを高める楽しい研修アイデア
内定式直後は、内定者同士が仲間との親睦を深めることのできる、楽しく盛り上がるアクティビティを取り入れた研修がお勧めです。仲間との相互理解により心理的安全性が高まり、入社後の業務や人間関係の構築が容易になります。徐々にネットワークを強化していくことで、入社後に困ったことがあったときに相談できる力を身につけることができます。
次に、内定者のエンゲージメントを高める楽しく盛り上がる研修アイデアをご紹介します。
1. アイスブレイクゲーム
楽しいアイスブレイクゲームは、初めて会う内定者同志の緊張を解き、打ち解け合うのに役立ちます。特別な準備は必要なく、オフィス、会議室、会場など、どこでも簡単に短時間で開催でき、参加者の交流を活性化することができます。少人数から大人数のグループまで対応可能です。内定者同士のチームワークを高め、絆を深める手軽な方法です。
他己紹介インタビュー
他己紹介とは、自分自身ではなく、ペアとなった相手のことを、大勢の人に向けて紹介するアクティビティです。
他己紹介のプロセスは、まず紹介する相手の情報を収集することから始まります。紹介者は相手の情報を引き出し、その魅力を他の人に伝えなければならないため、ビジネスシーンでも重要な情報収集力とコミュニケーション力が求められます。出身地、好きな食べ物、趣味、血液型など、簡単に答えられる質問からスタートし、そこから話を広げていくとスムーズに情報を引き出すことができます。相手の答えにくい質問やプライバシーに関わるような個人的過ぎる質問は避けた方が良いでしょう。質問時間は5分程度が適しています。
それぞれの他己紹介が終わったら、傾聴者は拍手をして和やかな雰囲気の中で進めましょう。他己紹介は初対面の人同志の親睦を深める手法としてよく用いられており、緊張した雰囲気を和らげるのに効果的です。
◯◯な私
各自に自分の名前を紹介してもらうのですが、その時に、名前だけでなく、自分を形容する言葉で、なおかつ自分の名前と同じ文字で始まる装飾語を付け加えます(例:「きれい好きな、木村(きむら)です。」「からだが柔らかい、神田(かんだ)です。」等)
それぞれ自分の呼び名を名札に書き、他の参加者はその日一日、その装飾語を付けた名前で呼び合ってみましょう。一気に親近感が生まれます。
しりとり自己紹介
しりとり自己紹介とは、しりとりの要素を取り入れた自己紹介のことです。方法は簡単で、前の人の名前の「最後の文字」から始まる言葉で、自分の自己紹介を始めます。
例えば、「やまだ たろう」さんが自己紹介をしたら、次の人は「たろう」の最後の文字「う」から始まる言葉で自己紹介を始めなければなりません。「運動が大好きな、さとう はなこ です。」という具合です。1周だけではなく2周またはそれ以上でも楽しめるゲームです。
友達ビンゴ
友達ビンゴは、仲間に関する情報をもとに行うビンゴゲームです。
まず、参加者全員に、各ボックスに次のような条件が記載された5×5のマス目のカードを配ります。(例:「猫を飼っている。」「トマトが嫌い。」「血液型がAB型である。」「お菓子作りが趣味。」等)参加者が受け取る各カードはどれも同じではなく、様々な質問がランダムに含まれていると難易度が上がり、ゲームをより面白く、エキサイティングにすることができます。
スタートの合図とともに、参加者は周りの人に声をかけ、それぞれのマスの条件に合う人を探します。条件に合う人が見つかったら、そのマスにサインをしてもらいます。ビンゴの中に合う条件が複数あったとしても、サインできるのは1人1マスだけです。ビンゴを完成させるためには、積極的に声をかけ、行動しなければならないので、アイスブレイクに適したアクティビティです。
2. チームビルディング研修
とは、参加者の自主性を尊重しながら、レクリエーション活動を通じてチームとしての結束力を高めるプログラムで、参加者同士の交流要素が強く、近年多くの企業で取り入れられています。

初めて会う内定者同志が親睦を深め、お互いを理解するためには、チームビルディング研修のように、ひとつの目標に向かって行うアクティビティが効果的です。
NASAゲーム
NASAゲームは、NASA(アメリカ航空宇宙局)が宇宙飛行士の採用試験用に社会心理学者と開発したといわれる、グループワークで行うコンセンサスゲームです。
全体の流れは、まず各自が出した答えと意見を発表し、それをチームで議論して、メンバー全員で一つの結論を出すというものです。時には、意見が対立することもあるかもしれませんが、多数決やあきらめではなく、しっかりと議論して合意することが目的です。
【ルール】
1.ストーリーとアイテムが書かれた文章を読みます。チーム内で議論する前に、まずは15分ト間、自分なりの基準で考え、15のアイテムの優先順位をつけていきます。
2. 次に、グループワークを行ない、チームで相談しながら優先順位を決めます。相談時間は約20分〜30分間設けましょう。この時、チーム内で意見が分かれるはずですが、多数決で決めてはいけません。協調的に合意を形成するプロセスが大切です。
3. NASAの公式模範解答と比較し、チームが出した解答との差を計算します。例えば、模範解答の順位が1位で、チームで出した順位が5位の場合、差は「4」となります。差の合計を、他のチームと比べてみましょう。公式回答との差が最も小さかったチームが優勝となります。
【ストーリー】
あなたは宇宙船に乗って月面に着陸しようとしている宇宙飛行士です。
月面には母船が待っていますが、機械の故障で母船から約200マイル(約320km)離れた所に不時着してしまいました。不時着時の衝撃で、宇宙船はほとんど壊れて動きません。
しかし、次の15アイテムは壊れずに残っていました。母船に無事たどりつくために、これらのアイテム全てに重要度の高いものから順位をつけなさい。
【15のアイテム】
・マッチ(箱付き)
・宇宙食
・15mのナイロン製ロープ
・パラシュー
・ソーラー発電式携帯用ヒーター
・45口径のピストル2丁
・粉ミルク、1ケース
・45kgの酸素ボンベ2本
・月面用の星座表
・自動で膨らむ救命ボート
・方位磁石
・20リットルの水
・照明弾
・注射器の入っている救急箱
・ソーラー発電式FM送受信機
【NASAの模範解答と解説】
第1位:45kgの酸素ボンベ2本(酸素の無い宇宙で生存するためには最も重要です。重力が小さいため重さは考慮する必要がありません。)
第2位:20リットルの水(水も人が生きていく上で絶対に必要です。特に日光があたる月面では大量の水分が失われるので水分補給が欠かせません。)
第3位:月面用の星座表(現在地を確認し、進む方向を決めるために必要です。)
第4位:宇宙食(エネルギーを補給し、生き延びるために必要です。)
第5位:ソーラー発電式FM送受信機(母船との通信に使うことができます。ただし、近距離でのみ使用可能です。)
第6位:ナイロン製ロープ(崖の高さを測定したり、負傷者の運搬に使うことができます。)
第7位:注射器の入っている救急箱(宇宙服の特殊孔からビタミン剤や薬を注入することができます。)
第8位:パラシュート(物を運ぶ時や太陽光を遮断するのに利用することができます。)
第9位:自動で膨らむ救命ボート(運搬や日よけに使ったり、炭酸ガスボンベが推進力として使えるかもしれません。)
第10位:照明弾(母船が見えた時に、遭難信号を送ることができます。)
第11位:45口径のピストル2丁(ほとんど役に立ちませんが、発射の反動でほんの少し前進できるかもしれません。)
第12位:粉ミルク(エネルギー補給という点では、宇宙食と同じですが、宇宙食よりかさばります。使うには水が必要です。)
第13位:ソーラー発電式携帯用ヒーター(月面の表面温度は、昼間は110℃なのに対し、夜間はマイナス170℃。陽が当たらないときのみ有効です。)
第14位:方位磁石(月面では磁気がないので方位磁石は全く役にたちません。)
第15位:マッチ(箱付き)(酸素が無い宇宙では使えません。)
謎解き脱出ゲーム
謎解き脱出ゲームは、知識を必要とせず、提示された情報を分析する力と「ひらめき」に頼って謎を解くゲームなので、誰でも簡単に参加することができます。

脱出ゲームの謎を解いていくうちに、気がつけばゲームに熱中し、初めて会う内定者同士の交流が自然にできます。
会社の会議室やレンタルスペースなど、机を設置できる場所であれば、手軽に開催できる屋内型の謎解き脱出ゲームもあります。遊びながら、チーム内での役割分担や情報共有など、チームビルディングのスキルを体験することができます。作り込まれたゲームキットのアイテムは、オフィスにいながら非日常感を演出します。チームメンバーで協力してクリアしていくので、チーム内のコミュニケーションも活発になります。
クラシックでミステリアスなスーツケースに隠された謎を解き明かす、謎解きパズルゲーム
特徴
・思考力・ひらめき力を駆使し、チームの問題解決力を鍛えることができる
・チームメンバーの多様な個性を結集させて課題に取り組むことが成功の秘訣
・5~6人の少人数から200名を越える大人数までフレキシブルに対応
・日本語と英語のバイリンガル対応
・会社の理念・メッセージなどを謎に仕込むことが可能
・日本全国、お好きな会場で開催
・最短10分で準備完了するため、研修の合間に組み込みやすい
★対応人数:5~6人の少人数から200名を越える大人数までフレキシブルに対応
★所要時間:90分
【街歩き謎解きゲーム】

日本の街角に魅力的な「謎」を散りばめて、手がかりを探し求めることでまるで宝探しのように謎を解いていくのが『街歩き謎解き』です。仲間と夢中になって謎を解くうちに、自然と会話が活発になり、協力しあって問題解決した成功体験がこれから一緒に働く仲間との親睦を一気に深めます。
★特徴
・屋外でおこなうため、少人数から大人数までフレキシブルに対応可能
・青空の下で街を散策しながら行なうため、リフレッシュになります
・今まで知らなかった街の歴史やスポットなど、新たな発見がある
・地図を読む人、対象物を見つける人、タイムマネージメントをする人など、それぞれの得意分野に合わせて誰もがチームに貢献できる
・ルート設計がしっかりされているイベントなら、全員が同じスポットに集まることなく、スムーズな周遊が可能。コロナ禍で開催するイベントでも、密を回避できる!
★20名~数百人までフレキシブルに対応
★所要時間:3時間
コロナ禍で社内イベント開催ができない場合や、内定者が遠方にいる場合には、ビデオチャットツールを用いたオンライン謎解きゲームという選択肢もあります。
オンラインならではの利点もあります。入社後は、社内でのミーティングや顧客との打ち合わせなど、オンライン会議を行う機会が出ると思われます。オンラインだと空気感が伝わらず、このタイミングで話してもいいのかなと悩んでしまいますが、オンライン謎解きを通じて、徐々にチームとの連携やコミュニケーションが取れるようになり、オンラインコミュニケーションのポイントがつかめるようになります。
3. オンライン交流
ジェスチャーゲーム
グループワークの定番であるジェスチャーゲームも、オンラインで盛り上がるにはもってこいの方法です。
まず、司会者がお題を決めてジェスチャー担当者に伝え、ジェスチャー担当者はそのお題を他のメンバーにジェスチャーで伝えます。分かった人は手を挙げて答えます。ジェスチャー担当は交代制でゲームを続けましょう。動きや表情で伝えるのは単純に面白いですし、メンバーの新たな一面を知る良い機会にもなります。
人狼ゲーム
人狼は会話型の心理ゲームです。
参加者は「人狼」と「市民」に分かれ、会話を通じて互いの正体を探ります。
市民には村人、占い師、狂人など様々な役割があり、人狼を見つけることができればゲームの勝利となります。ただし、毎晩1人ずつ誰かが犠牲になります。
人狼は市民全員を食い尽くせば勝利ですが、正体がばれないように立ち回らなければなりません。
人狼ゲームは、第3陣営(狐)を加えるなどして、大人数で遊ぶこともできます。お互いの腹の探り合いや騙し合いで、とても盛り上がるゲームです。
「かぶっちゃやーよ」ゲーム
「かぶっちゃやーよ」は、お題に当てはまるものを各自で紙に書き、一斉にカメラの前に見せて発表するゲームです。例えば、「3文字の花の名前」というテーマなら、サクラ、スミレ、ミモザなど。他の人と同じならポイントはもらえず、他の人と違うならポイントがもらえます。
ゲームの勝者は、他の誰とも同じでないアイテムを選ぶことができた人です。プレイヤーはお互いに何を考えるかを推測しながらゲームを楽しむことができます。
このゲームの逆バージョンで、他の人と同じものを当てるとポイントがもらえる「かぶってイエーイ!」というゲームも人気です。いくつかのチームに分かれて対戦すると、さらに盛り上がります。
オンライン謎解きゲーム
チームビルディングのために設計された本格的なオンライン謎解きゲームなら、楽しく力を合わせて謎解きするうちに、一気に内定者同士の連帯感が高まります。このレクリエーションは、「制限時間内に謎を解き、脱出する」という目標に向かって、協力や交流を促すことを目的としているため、内定者間の繋がりが強まり、信頼関係を強化する絶好の機会になります!
オンラインチームビルディングでは、従来の対面式研修のように参加者の隠れたスキルを発見したり、強みを更に磨いたり、チーム貢献してみんなで成果を出すことの喜びを実感できます。「もっと勝てるチームになろう!」という意欲が高まります。
Tabitanteiパズルツアー

【ストーリー】
考古学者のチームの一員であるあなた。発掘中の遺跡で見つけた不思議な力を持つ「土偶」が、ある晩突然話し出した!土偶とそのファミリーの願いを叶えるために、仲間と共に日本国内の各地を飛び回りながら手掛かりを探します!日本の歴史や神話をテーマにした謎解きアドベンチャー。
所要時間:90分
シークレットエージェント:ザ・ファーストミッション

【ストーリー】
世界的な諜報機関のエージェントとなるべく、最終試験を受けるあなた。そのミッションは「盗まれた名画の奪還」。組織に認められるには、チームワークと謎解き能力を発揮して、この難解なミッションをクリアするしかない!世界を舞台に謎を解き、絵画を取り戻して一流のエージェントを目指せ!
所要時間:90分
★沖縄アドベンチャー
沖縄を舞台にしたゲーム感覚で楽しめる新プログラム。前2作よりも、更にチームでの協力がないと前に進めない仕掛けが盛りだくさん。この秋リリース予定です。