「タイムマネジメント」の注意点:ストレスを感じず、時間を有効に使うために、実は大切なこと

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「タイムマネジメント」は、現代の私たちの仕事と生活の文化において、強迫観念のようなものになっています。しかし、「タイムマネジメント」をするとき、実際には何をしようとしているのでしょうか。また、チームメンバーにストレスを与えずに時間を最大限に活用するにはどうしたら良いのでしょう。

現代社会では、人々の生活はかつてないほど多くの物事に追われ、多忙を極めています。プライベートと仕事、リアルとオンラインの生活、そしてそれぞれに付随する多くのタスクのバランスをとることは、時に圧倒的な負担に感じられるものです。その上、以前の記事でお話ししたように、テクノロジーの目覚ましい発展によって、気が散ったり、集中力を欠いたりする理由はますます増えています。

だからこそ、特にここ数年は「タイムマネジメント」の重要性が高まっているのです。世の中に、時間をスケジュールして「コントロール」し、1日に重要なことをすべて集中してこなせるように整理する方法についての情報、アプリ、プログラムがあふれているのもその証拠でしょう。

また、多くのチームがより高い効率性と生産性を達成するために、「タイムマネジメント」戦略を採用しています。それは言うまでもなく、チームが可能な限り集中し、協調することは有益だからです。

しかし、問題なのは多くの「タイムマネジメント」法が皮肉にも、心配事を増やし、ストレスを増やすことに繋がるという点です。ToDoリストをより効率的に終わらせる方法を追加しても、実際にはより忙しくなるだけですし、すべてを終わらせることができるという期待自体が、より多くの不安に繋がってしまう可能性さえあります。

「タイムマネジメント」をめぐる現在の言説には、もうひとつ困った側面があります。それは、「タイムマネジメント」をうまく行う上で、個人とその人の欠点に焦点が当てられてしまいがちだということです。これはチームメンバー個人に大きなプレッシャーを与えてしまい、チーム全体が持つ力、つまり、メンバー全員のやる気を引き出す効果的な職場環境を作るということを軽視していることになります。

そこで今回の記事では、チームにおける「タイムマネジメント」について、また、共同作業やコラボレーションによって時間を最大限に活用する方法について、いくつかのアイデアをご紹介したいと思います。ここでも、個人の戦略や行動というよりも、チームメンバーがお互いにどのように影響を与え、職場環境に影響を与えることができるかに焦点を当てますので、是非参考にしてください。

「タイムマネジメント」 の本当の意味とは

まず、「タイムマネジメント」とは何を意味しているのかを問うことが重要です。結局のところ、オリビエ・バーカーマン氏がその著書『Four Thousand Weeks』の中で述べているように、私たちは時間をコントロールすることはできませんし、管理することさえできません。時間は好むと好まざるとにかかわらず流れていくものであり、自分の意思で形作ったり曲げたりできるものではないのです。むしろ、このコントロールできない無限の時間こそが、私たちの人生に意味を与えてくれるのかもしれません。

この洞察の哲学的な意味はさておき、この洞察は「タイムマネジメント」について、そして私たちがここで本当にコントロールしようとしているのは何かについて、より興味深いことを明らかにしてくれています。私たちがコントロールしたいのは、時間そのものではなく、その時間で何をするかということなのです。 

つまりこれは、私たちの実際の行動についての話なのです。さらに掘り下げると、意味や目的を与えるような行動ということになります。 つまり、「タイムマネジメント」を実現するためには、優先順位を考えなければならないのです。

優先順位の決め方

優先順位とは、私たちの生活や仕事において最も重要なことを定義するものです。そうすることで、何に時間を費やすべきか、その理由は何か、より整理して考えることができるようになります。つまり、優先順位は私たちの大きな目標や、私たちに意味をもたらしてくれるものと結びついているのです。

優先順位について考える良い方法は、バークマン氏が書いているように、「この選択は私自身を縮小するか、それとも拡大するか?」という問いかけをすることです。これは意図的にオープンエンドな(回答の制限を設けない)質問となっています。世界観や目標、夢などを考えると、答えは人それぞれでしょう。しかし、「タイムマネジメント」が本来あるべき姿の核心を突くには、「自分にとって大切なことをする」というのは良い方法なのです。

目標設定や時間の使い方を決めるのに、さまざまな方法を試すこともできるでしょう。しかし、最終的に私たちは選択を迫られます。その選択は私たちに意味を与え、人生を豊かにするものに基づいて行う方がはるかに優れてたものになることは明白です。健康、人間関係、知識、あるいは何らかの分野での成功など、どれを重視するにしても、自分の根本的な価値観や目標を知ることで、自分の道を歩み続け、時を超えて楽しく前進し続けることができるのです。

チームでの優先順位の決め方

これはチームでも同じです。チームも個人と同じように、目標やそれを達成するための最適な方法について重要な決定を下す必要があります。また、チームは目標を達成し、義務を果たし、成長し続けることができるという評判を得たいという意味で、「自分たちを縮小するもの、拡大するもの」に関心を持つ必要があります。

その違いは、チームというものがそれぞれのスキルや個性、そして目標さえも持った多くの個人によって構成されているという点です。しかし、それこそがチームの力でもあります。なぜなら、チームはこれらの資質をすべて組み合わせて、部分の総和よりも大きなものを達成することができるからです。

これは優先順位の設定や「タイムマネジメント」にも同じことが言えます。しかしそのためには、何を重視すべきか、どこに優先順位があるのかを理解しやすい環境を整えることが必要です。そこで、チームでの優先順位設定を改善するために、注目すべき点をいくつかご紹介します。

1. コミュニケーションを図る

コミュニケーションはすべてのチームにとって第一の中心的な要素です。チームが効果的に機能するためには、意見や感情をオープンに共有できることが必要です。これは目標に関しても同じです。目標(チームと個人の両方)については、オープンな対話とコミュニケーションを奨励し、それについてのフィードバックを行う必要があります。そして、チームメンバーがこのプロセスに参加することで、目標やチーム全体への賛同が高まります。

2. 協働作業をする

一緒に仕事をすることで、目標について語りたいという気持ちが自然と強くなります。チームメンバー間でアイデアや考え、意見を共有し、仕事のやり方を確立しているオープンなコラボレーションは、チームがより良い結果を出すために何をすべきか、時間をより有効に使うべきかを強く意識することに繋がります。

3. 長期的な視点で検討する 

目標の話なので言うまでもないことですが、チームの「タイムマネジメント」では、最小限のタスクであろうとなかろうと、最後の1つまでやり遂げようとすることがよくあります。そして、メールの返信や会議への参加のような最小限のタスクで丸一日終わってしまうということが起こるのです。この対策として、(上層部だけでなく)チーム全体が長期的な視点で考えるようにしましょう。チームの長期的なビジョンに向けて本当に必要なタスクは何か、減らすことができるタスクは何かを考えるのです。また、チームの長期的なビジョンに関連して、物事を成し遂げるためのプロセスを考えてみてください。

優先順位のマトリックスと “No “と言うこと

現実には、多くのチームが緊急事態や予期せぬ出来事によって、長期的な目標に向かって構築する優先順位やタスクを延期せざるを得ない状況に追い込まれていることが多くあります。繰り返しになりますが、これは選択の問題であり、時にはチームの力ではどうにもならない出来事も当然ながらあるのです。

不測の事態に対処しながら、タスクを継続する方法のひとつに、「優先順位のマトリックス」というものがあります。このマトリックスはタスクを緊急性と重要性で分類するものです。緊急性の高いタスクとは、期限が迫っているものであり、重要性の高いタスクとは、チームの長期的な目標にとってより重要なものを指します。

このモデルがうまく機能しているということは、緊急のタスクがすべて重要であるとは限らないということです。確かに、現代の仕事ではさまざまな要求をバランスよくこなす必要がありますが、これらの要求のすべてが同じレベルの重要性を持っているわけではありません。チームとしての仕事にとってそれほど重要でないことや、長期的な目標の達成に役立たないことは、先送りしても良いのです。言い換えれば、「ノー」と言っても良いということです。

一緒に過ごす時間をスケジューリングし、同調する

最後に、チームにおける「タイムマネジメント」の重要なポイントとして、一緒に過ごす時間を大切にし、より多くのメンバーが一緒に過ごせるようなスケジュールを組むことを挙げたいと思います。

バークマン氏の本に戻ると、彼は「時間を管理する最良の方法のひとつは、他人と一緒に過ごすことである」という重要な見解を示しています。これは単に他人を通して意味を見出そうというメッセージではありません(確かにそれもありますが)。むしろ、他の人と一緒に時間を過ごすことで、文字通り時間をうまく管理できるようになるということなのです。

彼はソビエト連邦の事例を用いて、これを強調しています。ソ連の初期に、政府は伝統的な週7日制を廃止する制度を実施しました。その代わり、週休4日制とし、その後に1日の休息日を設けたのです。さらに、労働者は5つのシフトグループに分けられており、全員が同じ週4日労働と休息日を共有することはありません。これによって、休憩時間が増えて混雑が緩和され、一週間を通してより安定した労働力が得られると考えたのです。

しかし、バークマン氏が指摘するように、この政策は不満と鬱病を広めることになりました。友人や他の家族と同じように休みを取ることができず、一貫した社会生活を組織する術がなかったのがその原因です。つまり、周囲の人と時間の使い方が違うので、モチベーションが下がってしまったのです。これは、自分の時間をどう整理するかには、他人が深く関わっており、それこそが重要であると言い換えられるでしょう。

そのため、チームは「タイムマネジメント」の重要な現場となります。チームをまとめることで、同じスケジュールをこなすことができるのです。これは、大きな目標を達成するために他の人々と同調するという、チームの内部論理を強化することにもなります。

とは言え、特に現代では、このような同期性を実現するためには、チームは積極的に働きかける必要があります。ハイブリッドチームやリモートチームでは、チームが同調し、全員が同じスケジュールで仕事をすることは難しくなっています。しかし、チームが成功するための結束とコラボレーションを維持するためには、ある種の「タイムマネジメント」とスケジュールの安定性が必要なのです。

そこで、オフィスデイ(出社日)やブレインストーミングなど、意識的に共有する時間を増やすことが重要になります。チームメンバーに同じ休憩時間を取るように促すだけでも、チームメンバーはスケジュールを同期させることができ、その結果、よりやる気を感じることができるようになるのです。 コーヒーブレークやハッピーアワー、定期的なチームビルディングのアクティビティなども、チームで一緒に過ごす時間を確保し、共通の一体感を確立して、チームのモチベーションを高める良い方法と言えます。

最後に

このように、「タイムマネジメント」は個人だけのものではありません。チームとして「タイムマネジメント」を意識するということは、チームメンバーが最も重要なタスクに集中できるような環境を整えるという意味でもあります。そのためには、コミュニケーションやコラボレーションを活発にして、目標を明確にし、広く考えてもらうことが必要です。また、社内だけでなく、チームビルディングのような社外でのアクティビティを通じて、チームが同期できるようなスケジュールを意識して組むことも大切でしょう。たとえ慌ただしい世の中でも、時間を管理することも含めて、チームであれば何でもできるのです。