優れたリーダーの資質とチームにおけるリーダーシップの役割

前回のブログで、リーダーシップは資格ではなく、資質で決まるというお話をしました。また同時に、リーダーシップとは「与えられた状況において、特定の目標の達成に向けて、他者の行動や仕事を指示、指導し、影響を与えること」という定義もしましたね。

続く今回のブログでは、優れたリーダーとはどういうものか、その資質について掘り下げて考えてみたいと思います。とはいえ、一概に資質だけを見れば良いというものでもありません。リーダーが実際にチームのために何をしているのか、その主な行動は何なのか、という点も見ていく必要がありますので、参考にしてみてください。

優れたリーダーの基本的な資質 

実は、「一般的なリーダーの資質」というのは語るのが難しいものです。前回の記事で述べたように、最高のリーダーとは、自分独自のスキルや資質を駆使して先導し、さまざまな状況に適応していく人たちを指します。ですから、優れたリーダーの資質には数多くの可能性があり、そのすべてを挙げるのは果てしない作業となるのです。

しかしその中でも、すべてのリーダーに共通する基本的な資質というものは存在し、その資質を基に他の多くのリーダーを育成することが可能です。以下に挙げてみましょう。

  • ビジョン…チームをどうしたいのか、どう変えたいのか、それを実現する方法を明確に思い描くことができる
  • コミュニケーション…そのビジョンをチームに伝え、メンバーから意見や支持を集めることができる
  • 知識・知性…チームとチームの仕事に関する徹底した知識と、自分がリードするプロジェクトやタスクに関する情報を収集し、整理することができる
  • 責任感…自分の仕事とチーム全体の幸福に対して責任感を持つことができる(これはリーダーとしての自分の行動に責任を持ち、チームを目標に導くために時間とエネルギーを犠牲にすることを厭わないということでもあります。)
  • 共感…チームメンバーを個人として捉え、彼らの立場を理解することができる(チームメンバーが問題を抱えている時には、思いやりを持って接し、相手の話に耳を傾け、チーム全体を俯瞰することも必要です。)

チームにおけるリーダーの役割

リーダーの基本的な資質が分かったところで、次はリーダーがチームにおいてどのような役割を果たすかについて説明します。そのためにここでは、リーダーが行う主な行動を挙げてみましょう。上の項目と同様、このリストはそのすべてを網羅したものではありませんが、優れたリーダーが実行する行動の中心的な要素です。

ここで重要なのは、リーダーシップとは「やること」であるという点です。誰がリーダーとして指名されるかということではなく、「リードする」という行為に注目しましょう。つまりチームメンバーなら誰でも、課題やタスクに応じて、いつでもリーダーになることができるということです。

さらに上に挙げた資質は、ある意味、以下の行動から派生するものでもあります。リーダーとしての資質を身につけ、リーダーとしての才能を発揮するのに必要なのは、これらの役割に踏み出すという行為なのです。

1. 行動を開始する

リーダーシップの役割として、おそらく多くの人が知っているのは、「チーム内で行動を開始すること」でしょう。リーダーはチームの他のメンバーを巻き込みながら、ボールを回していくことが求められます。つまり、リーダーはロールモデルとして機能し、プロジェクトやタスクに対する行動基準や取り組み方を示すことで、他のメンバーを巻き込んでいく必要があるということです。

とはいえ、リーダーが最初のアイデアやプランを出す人でなければならないということではありません(勿論同じ人でも構いません)。むしろ、そのアイデアやプランを思考の領域から、実際の具体的な行動に移すプロセスをスタートさせるのが、リーダーなのです。

2. モチベーションを保つ

リーダーがチームを巻き込む方法のひとつに、「モチベーション」があります。モチベーションとは、目標やタスクを達成するために、チームをワクワクさせることです。そのため、チームに目標を売り込むと同時に、メンバー間の関係を構築して、効果的に協力し、それを楽しむことができるように働きかけることも、この役割に含まれます。

モチベーションは、新しいプロジェクトや目標の初期段階において特に重要ですが、優れたリーダーは、そのプロセス全体を通じてモチベーションが果たす役割の重要性を理解しているものです。特に、チームが予想外の課題に直面した場合、モチベーションは常に低下する可能性があります。そこで、チームビルディングアクティビティや娯楽的なイベントの企画など、チームのモチベーションを高めるための方法を考えて、困難な時期を乗り切り、無気力状態を防ぐことに積極的に取り組むことがリーダーの役割となるのです。

3. 調整する 

チームはもともと、それぞれ独自のスキルや個性、特性を持った、異なる複雑な個人で構成されています。そのためリーダーの大きな役割の一つは、そのすべての「可動部品」がチームの目標に沿って調和して働くように調整することです。

ということは、目標やプロジェクトに関する知識が必要となるのは明白でしょう。加えて、チームとそのメンバーについて、彼らがどのように機能し、どのように意気投合し、何が強みで何が弱みなのかについても、十分な知識が必要とされます。そしてこのような知識は、チームメンバーとの間に強い信頼関係を築くことによってのみ得ることができるものであることを忘れてはいけません。    

4. 耳を傾け、ガイダンスを提供する

優れたリーダーにとって、「聞く」ことは最も重要な任務の一つです。リーダーとは、いつも説教をしたり、命令を怒鳴りつける人だと想像されがちですが、リーダーの本当の仕事は、チームメンバーの話を聞くことにあります。つまり、現場の状況に耳を傾け、新しいアイデアに耳を傾け、批判や不満に耳を傾け、より信頼し合える環境を構築することです。

裏を返せば、「耳を傾ける」とは、ペラペラ喋るのではなく、聞いたことに基づいてガイダンスを提供するということです。これは次のステップをどうこなすかという指導であったり、チーム内の問題にどう対処するかという指導であったりもするでしょう。しかし繰り返しになりますが、良いリーダーシップとは、単に命令するのではなく、信頼関係を築き、指導を通じてサポートを提供することであるという点を肝に銘じておくことが大切です。

5. 自信を持たせる

前述した「チームのモチベーションを上げる」ことと同様に、もう一つの重要なリーダーシップの役割が、「チームとその仕事に対する自信を抱かせること」です。自信とは、チームメンバーが自分の役割とチームメイトの役割を理解し、仕事から達成感を得ていることを意味します。

また、自信は目的意識とも関連します。自分が何をしているのか、なぜそうするのかを正確に把握することは、効果的なチームにとって不可欠な要素です。そして、その役割を明確に定義して伝えるという点において、リーダーシップは大きな役割を担っており、またプロジェクトの大きな目的意識をチームに提供する際にも助けになります。

6. 健康的な職場環境を作る

心理的に安全であることが感じられる健全な職場環境は、チームの成功に不可欠です。そしてそのような環境をつくり、支えることも、リーダーの大きな役割の一つとなります。これも繰り返しになりますが、これは必ずしも方針を打ち出したり、こうあるべきという指示を出したりするという意味ではありません。

その代わりに、優れたリーダーは健全な職場行動や規約を効果的な模範とし、職場環境をより生産的で心理的に安全なものにするためのリソースを集め、影響力と指導力を発揮してより良い実践を行い、より支援的な環境を提供することが求められるのです。

7. レジリエンスを構築する 

リーダーがチームで果たす最後の大きな役割は、おそらく最も前向きなものと言えるものでしょう。そう、優れたリーダーは、チームが今取り組んでいる仕事や目標に集中することが重要です。それに加えて、将来に向けてどうすればチームがより強い力を発揮できるかを考えておく必要もあります。

そのためには、チームがどのように目標を達成しているのか、どのような強みと弱みを見せているのかを分析することが必要です。そしてチームの根本的な構造を見ることによって、チームワーク、コミュニケーション、信頼、団結などの面で、修復が必要な部分に気づくことも可能になります。

このブログでも何度も取り上げていますが、ここ数年、レジリエンスの重要性が特に高まっています。予期せぬ事態に備えることがいかに重要であるかを、身をもって体験している人が多いことがその理由でしょう。また、見落とされがちな問題や過小評価されがちな問題が、大きな危機が発生した時に再び私たちを苦しめる傾向があることも分かってきています。

そのため、チームは定期的にチームビルディングを行うなどして準備を整え、優れたリーダーシップの助けと指導のもと、よりレジリエンスを高める方法を常に検討する必要があるのです。

チームビルディング完全
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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。