「頼る」とは、強力かつ効果的なチームの重要な側面であり、また、チーム環境全体における「信用」の量に大きく影響するものです。「頼る」とは何か、そしてチームメンバーがより機能的な方法でお互いを「信じること」を学ぶにはどうしたらよいのでしょうか。今回は、チームにおける「頼る」について考えてみましょう…
先週の「チーム有効性モデル」に関するシリーズでは、多くの興味深いアイディアが出てきましたが、その中でも私は特にある点に注目しました。多くのモデルが、効果的なチームの主な要素や構成要素として「頼る性」を挙げていた点です。
そこで私は「頼る」という概念と、それが実際に何を意味するのか、特に「信用」という概念との関連について考えるようになりました。私たちは、これまでもこのブログで「信用」について多くを語ってきましたが、「頼る」についてはまだ探求していません。
それは「頼る」という言葉に重い意味があるからかもしれません。私たちは(私個人も含めて)仕事でもプライベートでも「自分は自立していて、頼りになるのは自分だけだ」と思いたい傾向があります。「頼る」は、想像しているほど自分たちが「強くない」「能力が高くない」ことを暗示しているのかもしれません。
しかし、そのような考え方は実は真の「信用」が生まれるのを妨げているのかもしれません。言い換えれば、健全な「頼る関係」に不可欠な「脆弱性」は、実は強固で「信用」できるチーム環境を構築するための基本的な側面なのかもしれないのです。
そこでこのブログでは、「頼る」とは何か、「信用」とはどのような関係なのか、そして、より生産的な「頼る」を促進するためにチームメンバーができることは何かについて考えてみたいと思います。
「頼る」とは何か?
「頼る」とは、単に誰かや何かを必要とすることと考えることができます。私が誰かに頼るとき、私はその人のサービス、行動、あるいはその人の存在を必要としていることを意味します。パイプを修理してくれる配管工、郵便物を配達してくれる郵便局、または精神的な幸福のために友人や家族に頼ることもあるでしょう。
また、スマートフォンは情報やコミュニケーション、世界とのつながり(銀行、道案内、ショッピングなど他のサービスも増えています)のために「頼る」しているものの良い例です。
このように、新しい技術に過度に頼っている(そしてそれを意識している)ためか、私たちは時に「頼る」という概念に違和感を覚えることがあります。そして実際、健全な頼ると不健全な頼るの区別は必ずしも明確ではありません。
「頼る」は「信用」との関連性を抜きにして、単独で定義するのは難しい概念です。そこで、この2つの関係を見て両者の違いを確認し、「頼る」とその重要性について一定の洞察を得ることができればと思っています。
「頼る」と「信用」:その違いは?
ここで「頼る」と「信用」の概念的な枠組みを見て、今後の議論に役立ててみましょう。哲学者のアネット・バイヤー氏は、「頼る」に特有な「のれん」の概念を引き出して、「頼る」と「信用」を区別しています。
「頼る」とは、習慣や従属性に基づく継続的な関係のことを指します。しかし、「信用」とは、相手への好意から生まれる「頼る」の具体的な形でもあります。そのため、人間関係から生まれる好意を呼び起こすことができないテクノロジーは、決して「頼る」できるものではないのだというのが、バイヤー氏の主張です。
この違いは興味深いもので、私たちのモノに対する関係や依存性と、人に対する「頼る」や「信用」は実は違うのだということを考える上で、関連性があるように思います。「好意」は、倫理的・道徳的基準に基づくギブアンドテイクを連想させますが、それは(今のところ)人間関係においてのみ起こりうるものです。
しかし、「好意」は他の抽象的な概念に頼るしすぎていると思うのです。では、「依存性」とは何なのでしょう?また、「習慣」をどう定義するべきであり、「好意」と「信用」はどう違うものなのでしょうか?
そこで、バイヤー氏が指摘した「人への頼る」と「物への頼る」を、よりシンプルな答えに置き換えて考えてみましょう。
「頼る」と「信用」:「行動」と「感情」
私が考えるに、「信用」は特定の種類の「頼る」ではなく、むしろそれを補完するものです。どちらも他者と協力し、コミュニティを形成するという人間の欲求という、いわば同じものの異なる形態なのです。
まず、「頼る」から始めましょう。「頼る」とは、そのような関係を作る「行動」です。「信用」を表す行為とも言えるでしょう。
ある要求を満たすために誰かに頼るとき、私はその人に手を伸ばし、その人を必要としていることを認めていると言えます。当然ながら、その要求を何らかの形で満たしていない人を頼ることはできません。つまりその行為には、誰かに手を伸ばす人物と、誰かが伸ばした手を掴み上げる人物の両方が必要なのです。
このように、「頼る」関係には、ある種のビジョンの共有が必要であり、その責任は双方にあると言えます。最初は一方がビジョンを作り、もう一方がそれに取り組む(サービス業のような関係)形かもしれませんが、最終的には、頼る側も頼られる側も、そのビジョンを完成に導く責任があるのです。
一方「信用」とは、「頼る」という感情、あるいはその状態のことを指します。自分が誰かを頼りにして、相手がその役割を果たしたとき、それは相手に対する「信用」感を得たときです。そうすることで、関係が安定します。その「信用」感が、その人に対する私の気持ちにも浸透し、その結果、私はその人を「頼り続ける」ことができるのです。
また、「信用」は時に事前に感じられることもあります。もし誰かが「信用できる」という評判を持っているとしたら、それは他の人々が彼らを頼りにしている状況で、その関係の役割を果たしていることを意味します。
人は時に、「信用できるように見える」ことがあります。ここでも、「頼りになる」という感情が存在しています。そして、このような場合にも、その「信用性」は実際に「頼る」ことで証明される必要があるのです。
このように、「頼る」ことと「信用する」ことは相互に補強し合っているのです。私たちは、相手が何かしらの要求を満たしてくれるとき、頼るためにその相手をより「信用」します。また、私たちは、その人への「信用」が高まれば高まるほど、その人を「頼る」ようになるのです。
チームにとっての意味
では、これらはチームにとって現実的にどのような意味を持つのでしょうか。また、チームワークと生産性の向上につながることが分かっている、より多くの「信用」を生み出すためにどのように考えるべきでしょうか。
ひとつ目に、「信用」を高めようとするチームは、より多くの「頼る」ための機会を作り、チームメンバーがより多くお互いを「頼る」よう促す必要があります。「信用」が「頼る」という感情や状態であるならば、チームメンバーが互いに頼り合うことが、この「信用」の醸成につながることを忘れないでください。
それは「頼ること」につきまとう汚名と、私たちのエゴを手放すことを意味します。人を「頼る」には脆弱性(=一人ですべてを行うことはできないと認めること)が必要です。これは良いことです。異なるスキルを持つ人が周りにいることは良いことです。何かできないことがあったときに、他の人に助けてもらうことができるのは良いことです。
実は、これこそがチームの基本なのです。チームとは、それぞれのスキルや個性、ユニークな視点を持った個人の集まりです。そして、その個性をコミュニティやチームという形で結集することで、その総和を超えた大きなものを生み出すことができるのです。
しかし、そのためには「頼ること」と「信用」が必要です。しかし、私たちは「頼る」というものを、他人に手を差し伸べたり、誰かを必要とするという弱い立場に自分を置くときに発展するものではなく、時間をかけて自然に発展するものと考えがちです。
もちろん、無理に誰かを頼らせることはできません。しかし、そのための環境づくりは可能です。例えば、心理的に安全な環境では、メンバーは感情をよりオープンに共有することができます。そうすることで、チームメンバーも自分たちが圧倒されていることや助けが必要なことを素直に認めることができ、より「頼る」関係を築くことができるのです。
また、協力的な環境は、「頼ること」と「信用」をより高めることができます。一人一人ができることや、個人の才能や業績に注目するのではなく、チームができること、チームがどのように機能しているかをもっと考えましょう。一緒に仕事をすること、アイデアを共有すること、プロジェクトでスキルを共有することにもっと焦点を当てれば、より「頼ること」ができる空間が生まれるでしょう。
「頼ること」とチームビルディング
そしていつものように、トレーニングが役に立ちます。「信用」を築き、よりオープンに人を頼れるようになるには、時間と練習が必要です。強制されるものでも、義務づけられるものでもありません。
インバイトジャパンのようなチームビルディングのアクティビティは、お互いを頼る練習をするための空間と時間をチームに提供します。また、アクティビティが魅力的で楽しいものであれば、参加者はリラックスして警戒心を解き、より簡単に仲間を頼れるようになります。
最後に、チームビルディングはチームに異なるスキルや視点を活用させるものです。そして、チームビルディングはチームメンバーそれぞれが単独では、互いに頼るし合い、協力し合ったときほどうまくいかないことを、穏やかな形で気づかせてくれます。
最後に
このブログから、「信用」はそれ自体で得られるものではないということがおわかりいただけると思います。「頼ること」は、チームメンバーが一緒に仕事をし、相互に強化し合う関係を形成するために必要なものです。しかし同時に、「頼る」とは、チームメンバーが自身の弱さを理解し、自分たちだけですべてを行うことができないことを認める必要があることを意味します。
これは大変なことです。だからこそ、オープンで正直、かつ協力的なチーム環境は、チームとして最高のものであり、私たちはその実現に向けて全力で支援します。