セルフリーダーシップ:セルフリーダーシップとは何か、チームのポテンシャルを高めるためにどのように活用できるか

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これまで私たちは、リーダーシップについて、チーム全体と、チームにおけるリーダーの役割に焦点をあてて議論してきました。しかし、私たちの中心的な主張のひとつは、リーダーシップの価値とスキルは、チームメンバー全員が学ぶべきものであり、学ぶことができるものであるということです。

今回のブログでは、その一つの方法として「セルフリーダーシップ」という概念を通して考えてみたいと思います。これは比較的新しい概念で、リーダーシップのスキルを基礎として、個人のモチベーションや自己実現に焦点を当てたものです。

伝統的なマネジメントスキルと自己啓発の哲学を融合させた興味深いアプローチであり、日常生活や個人の目標など、誰にでも、さまざまな場面で応用できるものです。

しかしここでは、チームメンバーの潜在能力やチームの目標を達成する能力を高め、「自分もチームをリードしている」という意識を持たせるために、セルフリーダーシップがチームでどのように活用できるかに焦点を当てます。是非参考にしてみてください。

リーダーシップ vs. セルフリーダーシップ

その前に、セルフリーダーシップとは何か、その発想の原点はどこにあるのかを見てみましょう。リーダーシップとその起源については、これまで多くの説があります。昔は「リーダーシップは生まれつきのもので、一部の人のみが持っている資質に基づく」と考えられていました。しかし、現在では多くの理論が「グループやチームの構造力学、権力と影響力、状況力学がリーダーの出現に大きく関連している」ことを強調しています。(この点については、私たちも同じことを述べてきましたね)。

しかし、これらの理論が正しいとしても、なぜ特定の人がリーダーとして「ステップアップ」していくのかという疑問が残ります。そこで登場するのが「セルフリーダーシップ」です。なぜ特定の状況下では、特定人たちがリーダーになりやすいのか、という疑問に答えてくれるでしょう。その特性は生来のものであるとか、遺伝的なものであるとか、そういうものではないのです。

むしろセルフリーダーシップは、リーダーシップから逆算して、良いリーダーシップを発揮するために必要なメンタルや自己調整能力を明確にするものであると考えられます。つまり、成功したリーダーを見て、その共通点を探り、誰にでも共有できる教訓を導き出すというものです。

セルフリーダーシップから見えてくる興味深い点は、良いリーダーになるためには、まず自分自身をマネジメントできるようにならなければならないということです。これは権力や影響力、共感といった考え方の中で、しばしば見失われがちなものでもあります。しかし結局のところ、優れたリーダーとは、自分自身を導くことに長けていて、それによって他の人をも引き上げることができる人物なのです。

セルフリーダーシップの行動例

セルフリーダーシップには、さまざまな考え方や行動が含まれます。しかしその核となるのは、自分の行動や振る舞いについて、より自覚的で意図的になることです。また、自己改善のための目標を設定し、自分自身と目標達成能力を向上させることでもあります。

以下は、「セルフリーダーシップ」に関連する行動の一部を取り上げたリストです。

  • 自分の人生や仕事の目標を立てる習慣をつける。
  • 他人を敬い、尊重する。
  • 新しい経験やアイデア、機会を受け入れる。
  • 簡単なことではなく、正しいことをする。
  • 大胆不敵である。
  • すべての人の中に、そして自身を取り巻く世界に美しさと良い点を見出す。
  • 積極的に悲観主義を否定する。
  • 自分に責任を持つ。
  • 他人を思いやる。
  • 何事も疑ってかかる。
  • ロールモデルになる。
  • 恐れることなく自身を批判してくれる指導者やメンターを周囲に置く。

このように、自分を高めるための行動と、他者との関係性を高めるための行動の両方が含まれていることが分かるかと思います。セルフリーダーシップでは、優れたリーダーシップとは、対人関係と自身の精神内の両方を管理することであると提唱しているため、この点は重要なポイントです。

つまり「チームは人間関係で成り立っている」という考え方です。そうすると、チームを「チームメンバー個人」、「そのチームメンバーが他のチームメンバーと持つ関係」、「個人とチーム全体との関係」の3つの要素に分解して考えることがイメージできるようになるでしょう。 

個々のメンバーに自分、他人、環境との関係を管理することを教えることで、チームを構成する関係ネットワーク全体を指揮できるメンバーを育てることができるようになります。このように、セルフリーダーシップはパブリックリーダーシップと直結しており、セルフリーダーで成り立つチームは、リーダーが集まったチームになることができるのです。

セルフリーダーシップの価値観

それでは次は、セルフリーダーシップの考え方をコアバリューとして抽出し、それをチームに浸透させていきましょう。

1. 自己認識

自分自身が何者であるか、自分のニーズや目標は何か、改善するために何ができるかを意識することです。自己認識とは、自分の限界や弱点を理解することでもあり、事実上、自分自身に対して正直であることを意味します。

2. 自己規制

自己認識力が高まれば、自分自身をより規制することもできるようになります。自己規制とは、自己検閲や過度に厳しい行動を自分に課すことではありません。時間をどのように使うか、何に集中するかをある程度コントロールすることを意味します。その場その場でやりやすいことではなく、最も重要で意味のあることに集中することで、時間をうまくコントロールし、より意味のある決断をすることができます。 

3. モチベーション

自分の仕事とやっていることに情熱を持つこと、つまり、自分が引き受けた仕事には、できるだけ多くのエネルギーを注ぐということです。そして、もしその仕事にやる気が出ないのであれば、その理由を考える時間を持つことも含まれます。

4. 献身

モチベーションと同様、献身とは、自分のしていることに時間と敬意を払うことです。引き受けるからには、手を抜いたり、楽な道を選んだりしないように、自分の行動に考えと注意を払うことを指します。上達する唯一の方法は、腰を据えて仕事をすることです。また、献身的であることは、チームメンバーのために一貫して行動すること、つまり、チームと仲間が目標として受け入れたものに対する忠誠心を持つことでもあります。

5. 意思決定

自分で決断できることは、セルフリーダーシップの重要な要素の一つです。自分で決断することができれば、自分の能力について内面的に知ることができ、何があっても自分の決断を貫く自信が生まれます。また、自立した思考力を示すことにもなります。

6. 共感 

セルフリーダーシップでは、対内的な関係と対人的な関係の両方が重要だということを先程説明しました。そのため、他者を思いやり、信頼を示し、相手の気持ちを尊重し、生産的な方法でアイデアを議論するなど、他者と接する際には共感が必要不可欠です。 

7. 影響力

私たちは皆、生活の中で様々なレベルの影響力を持っています。それを理解することは、集団力学の基本を理解することの一部です。自分が持っている影響力を認識すれば、それを高めるために努力したり、仕事やチームの環境に影響を与えるのが上手くなるといった変化が生まれるでしょう。

8. 管理責任

自分にも他人にも責任を持たせる覚悟を持つことは、「セルフリーダーシップ」の重要なステップです。これは自分の行動や間違いに責任を持つこと、また、ある人の行動があなたや他のメンバーを軽視していることを示している場合には、その責任を追及する覚悟を持つことも意味します。

SOARモデル」で振り返りを実践する

セルフリーダーシップの最後の大切な要素は、「振り返り」です。行動や言動を振り返ることによってより良い自分になり、改善に取り組むことが重要なのです。

そのためには、以下の「SOARモデル」を使うことをお勧めします。

  • Self…自分が何者であるかを理解する。
  • Outlook…自分は世界をどのように見ているかを考える。
  • Action…その結果を踏まえて行動を選択する。
  • Reflection…自分の行動を振り返ることで、そのプロセスをやり直し、継続的な成長を促進する。

SOARモデルは、有名なPDCA(Plan, Do, Check, Adjust)モデルに似ています。どちらも、成長・向上のために、考え、反省し、行動を調整するプロセスを継続的に行うものです。

つまり重要なのは、自分自身は常に新しいことを学び、成長することができるということを理解することであると言えます。このことを意識し、時間と労力をかけて変えていくことが、セルフリーダーシップを育み、生産的で積極的なチームメンバー、リーダーとしての継続的な可能性を生み出すのです。