スーツケース・ミステリーの起源 Part2

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今回はスーツケース・ミステリーの起源シリーズの後編です。前編では、スーツケースミステリーに繋がる、有名ファッションブランド企業向けのプログラムを成功させたところまでをお伝えしました。今回はいよいよスーツケース・ミステリーの誕生秘話をお話しします。

帰って来たファッションブランド

私たちにとっての一番の喜びは、お客様が戻って来てくださり、より良いプログラムを新たにご提供できることです。


有名ファッションブランドのチームビルディングプログラム(前編参照)を作成してから1年余りが経過した頃、同じブランドから前回とは少し違うグループの社員を対象としたイベントのご依頼がありました。


昨年の成果と来年の目標を中心とした年次研修の一環として、私たちの遊び心のある刺激的なアクティビティを採用していただけたとのこと。参加したメンバーが一人ひとりの重要性を再認識し、彼らの貴重な貢献が会社をより強く、より大きな成功に導くというメッセージを伝えることが今回の目的です。

前回の参加者は会社に慣れている社員ばかりでしたが、今回のターゲットは新入社員です。入社間もない社員に重要なメッセージを伝えるにはどうすれば良いでしょう?


年齢を問わず、新入社員にとって新しい仕事を始めることは多くの不安を伴います。良い仕事をしたい、早く社風に馴染みたいと思うのは当然のこと。しかし仕事を楽しんだり、自分が働いているビジネスの楽しい起源に誇りを持つことは、時に難しいことになりがちです。そこで私たちがやるべきは、最初に作ったプログラムを新しい世代のためにリミックスすることだと考えました。

新たなアプローチ

謎解き脱出ゲームの世界では、多くのビジネス分野と同様、制限されるのは時間とお金だけです。デザイナーは想像力を働かせることで、様々なコンセプトを実現することができます。ハリウッドのアドベンチャー、土曜朝のミステリーアニメ、スパイ小説など、ポピュラーカルチャーにはインスピレーションの源となる空想上の旅がいくらでもあります。物語の中のちょっとした魔法で本棚が隠し階段になったり、レーザーで泥棒を捕まえたり、鏡が過去を明らかにしたりと、可能性は無限大です。


しかし当然このような瞬間を現実に作り出すのは莫大な費用がかかったり、複雑すぎたり、何より不可能だったりします。そして質の高い体験を提供するためには、チャレンジとスリルの最適な組み合わせを考えるために何ヶ月もの計画とテストが必要です。また一度しか遊べないゲームだからこそ、過度に高価で複雑な要素を盛り込まないことが重要になります。謎解きの醍醐味は、シンプルで巧妙、かつ意外性のあるものを発見することにあるのです。

前年の1回目のプログラムでは、クライアントと密接に協力することで、既存の家具やファッションサンプル、ディスプレイケースなどからパズルや鍵付きの容器をイベント用に作ることができたのは幸運でした。しかし2回目のプログラムではそうはいきませんでした。毎回安定したゲーム要素を提供できるかどうかがここからの鍵となります。


それに加えて今回は、プレイヤーが何かを壊したり傷つけたりしなくても、課題をクリアできるようにしたいと思いました。風船で部屋を埋め尽くすのは楽しいですが、それは1回限りの手段でしかなく、次のプレイヤーのために毎回リセットするのは現実的ではないためです。

スーツケースは…どう?

そこで出てきたスーツケース案!プログラム全体をスーツケースに収めることができれば、魅力的な課題とクライアントのターゲットメッセージを、持ち運び可能なコンパクトなパッケージで提供することができ、テーブルしか置かれていない会議室でも実施が可能なものになります。

ファッションのコンセプトのいくつかは前年のプログラムから引き継がれていますが、ゲームの幅を広げ、スーツケースのコンセプトに合うようにするためにも、「旅」に繋がることは自然な流れでした。スーツケースといっても現代的なものではなく、アンティーク調の木製スーツケースを組み合わせて、それぞれを開くと別の層が現れるような構造に決定。そして付属するすべてのパーツのデザインは、ヴィクトリア朝時代の美的感覚に基づいたもので統一しました。

パズル制作を成功させるには

最初のパズルは、アンティークな世界地図、船団、国旗、時計などで構成されています。4つの独立したパズル要素と全体的なデザインの美しさから、チームが最初から圧倒されるようなスタートになってしまいました。しかしそれがこのゲームを特別なものにもしています。


このゲームでは、どのパズルも「あっ!」と思う瞬間が一度だけではありません。何通りもの組み方がある中で、どれが正解なのか分からない。試行錯誤が必要で、一人では最終的な答えを出すことが難しいため、チームワークが重要になります。

私たちがクライアントに提示したバージョンの「スーツケース・ミステリー」は、約60分でプレイヤーが解けるように7つ程のパズルステージが用意されていました。1チーム4〜5人で、スーツケースが置かれたテーブルを囲みます。椅子を用意しなかったのは正解でした。プレイヤーは立ったまま、パズルの様々な要素に積極的に取り組むことができたからです。

このゲームの醍醐味のひとつは、24枚の大きなポストカードのコレクションを組み合わせることだと思います。しかしテーブルの上ではスペースが足りず、床を使うことになりました。このステップはとても楽しく、ゲームが物理的なタスクに変化し、プレイヤーは一緒に話し合いをしなければならないのです。これは明らかに普通の会社の会議ではありません。

フィナーレの誕生

このゲームの最後のステップは、将来の多くのクライアントが、独自のメッセージを伝えるためにカスタマイズできることが特徴となっています。前年のプログラムでは、最後のメッセージはファシリテーターがプレーヤーに語りかけるものでしたが、このバージョンでは、プレーヤー自身がメッセージを解読して書く必要がありました。この魅力的なステップにより、最後のメッセージの内容は、音声によるメッセージにはない、より粘りのあるものになりました。

また前年のバージョンでは、ゲーム終了時に各チームに対して同じメッセージが表示されました。残念ながらこのような終わり方は、グループ全体が共通の目標に向かって協力するという考えに反して、競争的な側面を強めてしまいました。しかし私たちはこのステップをさらに発展させ、チームがお互いに「勝つ」ために競争するという期待を断ち切ることができるでしょう。


全てのチームが同じ最終メッセージを得るのではなく、もっと長いメッセージ、ミッションステートメント、クレドなどの一部だけを得ることになります。そうすると、あるチームがゲーム中にふと顔を上げた時に、自分たちのメッセージがそれだけでは意味をなさないことに気が付くのです。プログラムを完成させるためには、全てのチームが「勝つ」必要がありました。最終的には、チームは雑然とした、個別のバナーを作成し、ゲームの終わりにはそれらを持ち寄ることで全員で祝うことができるようになっていたのです。

最後に:A star is born 


クライアントはその結果にとても満足していました。私たちは、このプログラムを60分のゲームだけでなく、より伝統的なチームビルディングのワークショップを加えて実施しました。このワークショップでは、より多くのチームゲームと、機能的なチームのメンバーが持つべきさまざまな役割についてのプレゼンテーションが行われました。この内容は、「スーツケース・ミステリー」をプレイした直後に行われたため、実際のチームワークとの関連性が明確になりました。最終的には情報量が多く、より実践的で記憶に残る、楽しい3時間のプログラムとなりました。


私たちはその後、何百ものチームに「スーツケース・ミステリー」のプログラムを実施することになりました。このゲームは現在でもイベントのオプションとして人気があり、クライアントはオフィスや大きなボールルームでの対面式のイベントに活用しています。コンベンションで会議開始時のアイスブレイクとして、午後の市役所で気分転換として、また一日の終わりにメンバーへの楽しいご褒美として…様々な場面でこのプログラムは有効です。

私たちはこのプログラムを制作することで多くのことを学びましたし、お客様からはさらに多くのことを求められるようになりました。だからこそ今、続編を作るべきだと思ったのです…。

「スーツケース・ミステリー2」のエキサイティングな展開について、今後の新しい記事をお楽しみに!

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