チームでの意思決定に関するシリーズの最後となる今回のブログでは、チームビルディングと意思決定がどのように結びついているかを見ていきます。チームビルディングは、チームが自分たちの意思決定プロセスに気づき、それをより良いものにするために役立つものです。
この1ヶ月間、私たちは意思決定に焦点を当てたブログをお届けしてきました。チームにおける意思決定の様々なモデルや、意思決定に影響を与えるバイアス、そしてチームが意思決定プロセスをより円滑に進めるためのテクニックなどがその内容です。
このテーマの最後のブログでは、チームビルディングと意思決定の関連性について見ていきます。インバイトジャパンはチームビルディングの会社として、コミュニケーションや課題解決、チームワークといった分野でチームの能力を向上させるための様々な異なるプログラムやアクティビティを開発してきました。
しかし、チームビルディングはチームの意思決定能力を向上させる上でも非常に有効なものです。チームビルディングで用いられる課題は、チームに意思決定プロセスをリアルタイムで、しかも時間制限付きでテストする機会を与えてくれます。そのため、チームは何が間違っているのか、どうすればより効率的な意思決定ができるのかを知ることができるのです。
さらに重要なことは、チームビルディングは意思決定の実験場として、リスクを抑えた環境を提供してくれるということです。つまり、チームビルディング用の課題は仕事のような結果をもたらさないので、チームはよりオープンになり、解雇や重要な業務上の失敗を心配することなく、新しい意思決定の方法を試すことができるのです。
そこで今回の記事では、チームビルディングと意思決定の関係について、また効果的、包括的、かつ生産的に意思決定を行う方法について、チームがチームビルディングから学ぶことができる最も重要な学びをご紹介します。
チームビルディングと意思決定:7つの学び
1. その場で決断する
人は皆、意思決定に好きなだけ時間をかけたいと願っているものですが、当然ながら時にはそれが叶わないこともあります。チームとして厳しい決断を下す必要がある場合もあります。しかし、このような判断をチームワークを保ちながら行えることが、強いチームの証なのです。
チームビルディングは、チームに迅速な意思決定と、その意思決定において柔軟性を維持する方法を教えてくれます。なぜなら、インバイトジャパンがご提供するようなチームビルディングのアクティビティには通常、時間制限が設けてあるからです。つまり、チームは決められた時間内にすべての課題をクリアしなければならないということです。
そのため、チームはかなり迅速に物事を決定しなければならない状況に置かれます。議論に費やす時間はあまりないので、チームはできるだけ早く計画を立て、実行に移さなければならないのです。
しかしチームは同時に、素早く方向転換する方法も学んでいます。時には、自分たちが下した決断が期待したほどには上手くいかないこともあるもの。そのため、チームは柔軟性を保ち、うまくいかない場合に決断を修正する必要に迫られます。これは実社会でプレッシャーにさらされながらも、効率的に厳しい決断を下さなければならないときの練習にもなります。
2. リアルタイムで振り出しに戻る方法を学ぶ
意思決定を柔軟に行うとともに、時には振り出しに戻ることも必要となります。意思決定では、フィードバックを認め、意思決定の効果を測定することが重要だからです。
チームビルディングでも、チームが振り出しに戻らなければならないときがあります。その判断がうまくいかず、課題解決のためにもっと情報を集める必要がある、あるいは、もう少し練り直したほうがいいという状況に直面することも少なくありません。
このようなことをタイムリーに行う方法を学ぶことは、チームにとって良い教訓になります。より良い決断をするために、チームはより良い結果を生むのであれば、決断を手放してゼロからやり直すことができるようになる必要があるのです。そして、チームビルディングの環境は、この重要な意思決定のスキルを実践するのに最適な場所なのです。
3. 思い込みを検証し、必要なら壊す
この点に関連して、多くのチームが意思決定の際に犯してしまう間違いのひとつに、意思決定の前に問題の枠組みを決めてしまうことが挙げられます。問題に対して先入観を持つと、必然的に意思決定の選択肢が狭まり、その結果、より良い別の道を見過ごすことになる…という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
この問題を避けるために重要なことは、ある方法で問題を構成する前に、自分の仮定を検証し、疑うことです。なぜそのように考えるのか、その仮定は正しいのか、他の視点を取り入れることはできないか、といったことを考えるのです。
チームビルディングは、あなたのチームが仮定をテストするための完璧な機会を提供します。インバイトジャパンのチームビルディングのアクティビティは、チームに既成概念にとらわれず、別の考え方を考えさせるようにデザインされています。これにより、チームを先入観の枠から引きずり出し、より建設的、創造的、生産的な意思決定を行うことができるのです。
4. 近道はない
人生と同様に、意思決定においても、近道はありません。特に重要な決断について近道をしようとすると、長い目で見るとチームの意思決定が悪くなり、恨みを買ったり、メンバーの意見を無視したりすることになりかねないのです。
その場その場で判断することも重要ですが、だからといって近道をして「一番楽な道」を探せばいいというわけではありません。決断は、たとえ迅速な決断が必要であっても、常に難しいもの。チームとして集中することで、初めて効果的かつ迅速な意思決定が可能になるのです。
チームビルディングにおいても、正解への近道はありません。私たちは常々、チャレンジの成功にはチームの協力が必要だと言っていますが、それは本当のことなのです。楽な道を探そうとしたり、一人にすべての仕事をさせようとすると、必ず失敗します(少なくとも、まずそこまで楽めないでしょう)。一歩一歩、前進あるのみです。
5. 選択肢は多いほど良い
意思決定に関して、チームビルディングから得られる最も重要な学びの1つは、それぞれの意思決定において、選択肢やオプションが多ければ多いほど良いということです。選択肢が多ければ多いほど、意思決定の窓口が大きくなることは想像に難くないでしょう。しかし多くの場合、チームはその窓口を自ら狭め、選択肢を制限してしまっています。これは先入観に基づく枠組みを設定してしまっていることや、他の視点を取り入れないことが原因です。
選択肢の幅を広げることは、創造性や開放性、包容力を鍛える訓練になります。問題をさまざまな角度から見るためには、できるだけ多くの視点を取り入れるのが良いでしょう。「Thinking outside the box」。つまり、既成概念にとらわれず、より創造的に考えることで、チームは別のアプローチを考え出し、盲点を克服することができるのです。
チームビルディングは課題に対する創造的なアプローチを鼓舞することで、チームがこの工程を実行するのをサポートします。優れたチームビルディングの課題では、チームは普段の日常生活とは異なる考え方をすることが求められます。それと同時に、ラテラルシンキングのようなあらゆる思考方法も必要とされるため、チームはさまざまなメンバーの長所やスキルを活用し、それぞれの決定に全員を参加させることを余儀なくされるのです。
6. 意思決定とは、伝えることである
そこで、チームビルディングと意思決定が大きく重なる部分として、「コミュニケーション」が挙げられます。チームでの意思決定には多くの人の意見が必要であるため、コミュニケーションは意思決定を行う上で非常に重要です。コミュニケーションがうまくいっているチームは、意見や批判を共有し、結果に不安を感じることなく率直に選択肢について話し合うことができるため、より良い、より効果的な意思決定ができる可能性が高くなります。
したがって、チームビルディングはチームにより良いコミュニケーションを教えるという面でも、意思決定を改善するための最適な方法であると言えます。チームビルディングの課題は、解決策を考えて意思決定をするために、グループで話し合うように仕組まれているのです。
多くのチームビルディングアクティビティでは、チームはより小さなグループに分けられ、その中にはあまり馴染みのないメンバーが含まれることもあるでしょう。このように、チームメンバーが入れ替わり立ち替わり参加することで、異なる視点からの意見を得ることができ、意思決定能力にも良い影響を与えることができます。
7. チーム「buy-in(バイイン)」の重要性を認識する
チームビルディングが教える意思決定に関する最後のキーポイントは、「buy-in(バイイン)」の重要性です。「buy-in(バイイン)」とは、チームメンバー全員が意思決定にコミットしていること、そして全員がその意思決定の利点を理解していることを意味します。
どんな決定でも、チームの賛同者が多ければ多いほど、チーム全体がそれを支持しているため、上手くいくものです。これはチーム内で一人の人間がすべての決定を下すことの問題点の一つでもあります。そういった意思決定は包括的ではなく、チームメンバーは意思決定のプロセスや、その意思決定がもたらす影響から排除されていると感じてしまうのです。
チームビルディングにおいても、バイインは同様に重要です。共に前進するチームは、そうでないチームよりもアクティビティから得るものが多く、結果的に成功するのです。そのため、チームビルディングでは、メンバー全員を巻き込みながら、グループとしての意思決定を自然に行うように誘導します。そして、最後に最も良い結果を残して喜ぶことができるのは、これを実行できたチームです。なぜなら、全員がその結果に貢献したと理解しているからです。
おわりに:チームビルディングとコラボレーションについて
結局、チームビルディングが意思決定に関してチームに教えてくれるのは、「コラボレーション(協働)」の力であると言えるでしょう。以前、意思決定のさまざまなスタイル(命令、協議、民主、合意、協働)について話したとき、「コラボレーション(協働)」がおそらく理想的であり、たとえそれが最も難しいものであったとしても、実現することは可能であると指摘しました。
「コラボレーション(協働)」とは、チームが共に意思決定を行うだけでなく、その結果に概ね満足することであり、チームが本当に協力し、コミュニケーションをとり、共に分かち合うときにのみ発生するものです。つまり、真のコラボレーションとは、創造性と生産性の合成であり、マインドとアイディア、そして心の融合なのです。
チームビルディングは、すべてのチームに1日でこれを達成する方法を教えることはできませんが、協調的な意思決定が持つ可能性にチームを開いてくれます。そして、より創造的で、より効果的で、より包括的な意思決定プロセスを行う能力を自分たちの中で開発するためのツールを提供し、目標に近づけてくれるのです。