2023年の始まりです。つまり、チームの目標を設定する時期とも言えるでしょう。しかし、どのような方法で目標を設定すればよいのでしょうか。ここでは、新年度やその先の未来に向けて、チームが新たな目標を設定する際に意識すべき重要な事柄を紹介します。
新年を迎え、多くのチームが2023年の成功に向けて新たな目標を設定し、計画を立てようとしています。しかし、その際に見落とされているのが、そもそも目標をどのように設定するかという点です。それは見た目ほど簡単なことではありません。そしてそれは、自分自身の目標を作ろうとしたことのある人なら、驚くことではないのではないでしょうか。
チームとして、より多くの意見や変数に悩まされることがあります。また、目標達成への意欲が偏っていたり(よく「バイイン」と呼ばれるもの)、チームの進むべき道が明確でなかったりすることもあるでしょう。さらに、個人であれば、目標に到達できなかった場合の責任の所在がわかりやすいものですが、チームではそのような責任や説明責任は、より分散されたものになります。
しかし、それを差し引いても、チームの目標設定は個人の目標設定よりはるかに効果的である可能性を秘めています。なぜなら、他の人と一緒に働き、お互いに支え合っているからです。つまり、達成可能な目標を設定する能力が圧倒的に高いのです。もちろん、その前にやるべきことがたくさんありますが…。
そこでこのブログでは、チームの目標設定がなぜ効果的なのか、そのためには何が必要なのか、そして、目標設定プロセスをより簡単に、より生産的にするために、あなたとチームが取るべきステップについて説明します。
チームの目標設定が効果的な理由:チームの力
先に述べたように、チームが目標設定に効果的なのは、チームには力があるからです。チームは互いのモチベーションを高め、サポートし合い、責任を負い合い、アイデアやリソースを共有することで、目標の設定と達成を支援することが可能となります。
このことは、一般的にチームがなぜそれほど強力であるかの本質を突いています – より多くの人がいれば、より多くのことをすることができます。つまり、人数が多ければ多いほど、より多くのことができるようになるのです。目標を立て、それを達成するのは、チームに支えられているとき、そして自分の個人的な目標とチームの他のメンバーの目標を組み合わせるときに、はるかに容易になるのです。
目標を達成するだけでなく、目標を立てるという行為自体も、チームの方がやりやすくなります。より多くのアイデアが飛び交い、どのように進めていくかの戦略に取り入れる人がそこにいるのです。
そしてさらに、違うエネルギーもあります。自分ひとりで目標を立てるということが、いかに孤独なことであるかは、あまり知られていないのではないでしょうか。ストレスも大きく、自分一人で考え込んでしまったり、自信をなくしてしまったりすることもあります。そのため、多くの心理学者が、自分の目標を声に出して他の人に伝え、無理があるときはアドバイスや助けを求めることを勧めています。
一方チームでは、お互いの話を聞き、物事を進める上での感情を共有できるコミュニティが自然に存在します。孤独なプロセスを共同作業に変えることで、より取り組みやすくなり、目標を達成するための行為もより効果的なものになるのです。
しかし、目標設定においてチーム本来の利点を活かすためには、チームの環境と目標設定プロセスにおいて、次の3つのことを確立する必要があります。
チームの目標設定の3本柱
1)信頼
「信頼」はチームビルディングにおいて非常に重要な基盤ですが、ここでも同様です。
チームメンバーが目標を立て、未来を描くためには、お互いを信頼し合えることが必要です。必要なときにサポートを受けられること、バカにされたり嫌がらせを受けたりすることなく自分の考えや気持ちを聞いてもらえること、そしてチームの他のメンバーと調和させるために自分のビジョンや目標をオープンに共有できることを信頼する必要があるのです。
2)チームの一体感
効果的なチーム目標設定のもう一つの大きな前提条件は、チームの強い一体感を持つことです。なぜなら、チームとして目標を設定するためには、共通のビジョンと共通の原動力が必要だからです。チームの一体感は、チームの目標設定の他の部分にも強く影響します。例えば、全員が意見を出せるようにすることや、目標達成プロセスにおける役割を平等に分配することができるようにすることなどが挙げられます。
3)コラボレーション(協働作業)
最後に、チームの目標設定には、コラボレーションが可能な環境も重要です。コラボレーションは、チームがアイデアを共有するだけでなく、それを創造的に構築することを可能にします。また、コラボレーションには即興性があり、すべてのメンバーとそのアイデアに対してオープンであることが必要です。つまり、コラボレーショ ンができるチームは状況の変化に応じて目標や役割を調整し、公平で包括的な 方法で仕事を割り振ることができるのです。
チームの目標設定の基礎:SMARTゴールとロックの目標設定理論
さて、チームとして目標を設定することがなぜ効果的なのか、その根拠をいくつか述べてきましたが、この機会にチームの目標設定に関連する基礎的な考え方をいくつかお話ししましょう。それは、「SMARTゴール」と「ロックの目標設定理論」です。
この2つのチーム目標設定のフレームワークは、チームビルディングの世界では広く使われており、多くのチームの目標に対する考え方や作り方に大きな影響を与えています。
1. SMARTゴール
「SMARTゴール」とは、実際に達成できる目標を考え、設定する方法です。SMARTとは、以下の頭文字をとったものであり、具体性、測定可能性、達成可能性、関連性、時間軸があります。
- 具体的であること:具体的な行動に基づいて、できるだけ焦点を絞った目標を立てましょう。広範な目標や曖昧な目標では、達成が難しくなります。
- 測定可能であること:目標達成までの道のりを正確に把握できるよう、数値化可能な目標にしましょう(成長率○%、新規顧客数○人など)。
- 達成可能であること:たとえ困難な目標であっても、チームで達成できることを確認する必要があります。これを機会に、謙虚かつ誠実になりましょう。無理のない範囲でできること、できないことを把握し、長期的な目標に落とし込むことが必要かもしれません。
- 関連性を持たせる:自分の長期的な計画やビジョン、モラルに沿った目標を設定しましょう。「やるべきだから」「みんながやっているから」という理由だけで、目標を選んではいけません。自分にとって重要な目標であることを確認しましょう。
- 時間軸:自分やチームの目標を達成するための期限を決め、それを守りましょう。期限を設けることで、チームのモチベーションが上がり、目標達成への集中力が高まります。
このように、「SMARTゴール」のフレームワークは、チームでも個人でも使うことができます。また、「SMARTゴール」においては、短中期的な目標、つまり期限があり、より即座に行動できる目標の方が明らかに向いていることに注意しなければなりません。長期的な目標やビジョンは、チームとして別の考え方が必要であり、「SMARTゴール」に取り組む前に行うべきでしょう。
2. ロックの目標設定理論
エドウィン・ロック博士は、1950年代に「タスク・モチベーションとインセンティブの理論に向けて」という論文で、目標設定に関連する理論を打ち出しました。 ロック博士の研究は、SMARTシステム(定量的で具体的な目標を立てることがモチベーションを高める)の基礎の一部を構成する、画期的なものです。しかし、彼の焦点は私たちがここで興味を持っている「チーム」にあり、チームが一緒に目標を設定するために必要なステップをいくつか引き出しています。
目標はチームメンバーのモチベーションを高めるが、実際にモチベーションを高める目標を持つためには、その目標が必要であるというのが、彼の主な命題となっています。
- 明確であること:チームメンバーは何が目標で、何を求められているのかを理解する必要がある。
- 適切なフィードバックの仕組みがあること:チームは目標が達成されたかどうか、どのように進捗しているかを知る必要がある。
その後、ロックはゲイリー・レイサム博士と組み、ロックの原論をチームの目標設定に関する5つの原則に拡張していきました。
1. 明確さ – 目標は明確に理解されるべきである
2. 挑戦 – 目標は、チームに十分な挑戦を与えるものでなければならない。
3.コミットメント – チーム全体が目標達成にコミットする必要がある(ここでも “buy-in “が重要)。
4. フィードバック – チームや個々のメンバーが、自分たちがどのように行動しているか、どこを改善する必要があるかを自覚すること。
5.タスクの複雑さ – チームにとってゴールが難しすぎてはいけないし、メンバーがタスクに圧倒されるようなことがあってはならない。
その他、効果的なチームの目標設定を実現する方法
どのようなモデルやフレームワークも完全なものではありませんが、チームの目標設定に関しては、この2つのシステムに欠けているものがあるように感じています。そこで以下に、チームに対する追加的なアドバイスを列挙します。これらの中には、チームの目標設定のプロセスに関連するものもあれば(プロセスは重要なものです)、チームが意識しておくべきこともあります。
1. ブレーンストーミングを行う
「SMARTゴール」や成果を数値化する方法を考える前に、まずブレーンストーミングを行いましょう。特に、チームが長期的な目標に問題を抱えている場合や、新しい目標を見つけたい場合は、このセッションが非常に重要です。
さらに、これらの目標が既に設定されているチームでも、ブレーンストーミングを行うことで、精神状態を確認し、「場の空気を読む」ことができるようになります。年度初め、あるいは目標設定中のどの時点であっても、ブレーンストーミングでチームの状態を把握し、数値化できない貴重な情報やアイデアを見つけ出しましょう。
2 プロセスを愛する
目標達成のためのプロセスを作成することは、チームが「SMARTゴール」を打ち出すのに役立つだけでなく、全員が統一され、同じ見解を持ち続けることにもつながります。先に説明したように、プロセスはチームの作業を効率化し、ワークフローを維持することで、各チームメンバーが何をすべきか、次のステップは何かを確実に理解できるようにしてくれるのです。
3. リーダーを見つける
チームの目標設定には、リーダーシップが重要です。しかし、必ずしもすべてのリーダーがトップから任命されなければならないわけではありません。たとえ正式な肩書きでなくても、やる気があり、自分のリーダーシップを試したいと思っている人を、目標のさまざまな側面について、チーム内で複数のリーダーを見つけましょう。そうすることで、より多くの賛同とモチベーションが生まれ、目標がより早く達成され、将来のプロジェクトのために新しいリーダーを育成することができるのです。そう、win-win-winなのです。
4. みんなから意見をもらう
ブレーンストーミングと同時に、チーム全体の目標に関連するアイデアやニーズについて、チーム全体から情報を得るようにしましょう。そうすることで、チームはより包括的になり、その結果、一体感が生まれます。また、チームメンバーから経営陣へ、そしてチームメンバーから他のメンバーへの適切なフィードバックの仕組みを作ることも可能です(経営陣からチームメンバーへのフィードバックと同じくらい重要なことです)。目標達成のプロセスが進むにつれても、同様に意見を聞き続けましょう。
5. チームメンバーを個人として扱うことを忘れない
チームの目標を設定する際、個々のメンバーが他のメンバーに吸収されがちです。しかし、チームメンバーも個人であり、それぞれのニーズや願望、そして目標を持っていることを忘れてはいけません。
ここで逆に、これを上手に利用しましょう。チームメンバー個々のモチベーションを高め、彼らの目標とチームの目標を調和させることができれば、真に効果的なチーム環境を構築するための道は開かれます。
ここでは、その方法を2つ紹介します。
- 個人の目標をサポートする:チームメンバーの個人的な目標に関心を持ち、それをチームの目標に収束させるようにしましょう。たとえば、自分のスキルを伸ばしたい人がいれば、目標設定の過程でその人に合った新しい役割を見つけるとよいでしょう。
- インセンティブ、トレーニング、メンタリングを提供し、褒める:目標を達成するためには、インセンティブが必要であり、最終的に何らかの利益が得られるものでなければならないことを忘れないでください。また、チームメンバーが必要とするトレーニングやメンタリングも提供しましょう。最後に、チームメンバーを励まし、自分の仕事が注目され、評価されていることを実感させるには、褒めることが効果的です。
6. 助け合う
最後に、チームの目標設定において、あなたの力はチームの中とメンバー同士がお互いをサポートする能力の中にあることを忘れないでください。このことをできるだけ奨励し、チームメンバーが安心して働き、共有し、共に学ぶことができるような、心理的に安全で、包括的で、協力的な環境づくりに努めましょう。
それは容易なこととは限りません。だからこそ、一貫したチームビルディングはチームの目標に再び焦点を当て、チームの環境における目標達成を妨げている弱点を突き止めるのに役立つのです。