ワークショップを徹底解説:チームビルディング・ワークショップの種類とそれらがチームにどのように役立つか

ワークショップを徹底解説

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チームビルディングというと、各種のアイスブレイクゲームや脱出ゲーム、トラストフォールなどのアクティビティを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。確かに、これらのアクティビティはチームビルディングで最もよく使われるものであり、参加者の記憶に強く残りやすいものです。

最近のチームビルディングプログラムには、これらのアクティビティに加えて、ワークショップの要素を加えるケースも多くあります。特にチームビルディングにおけるワークショップの役割は、メインのアクティビティの補足的なプログラムとして行われます。これはセミナーを短く凝縮したようなもので、チームビルディングやチームの役割に関するトピックの講義と、それに関連した追加のアクティビティで構成されます。

ここでは、様々なワークショップのトピックについてご紹介します。ご覧の通り、多くのワークショップでは、組織論や認知心理学に基づいたチームビルディングのモデルを扱っています。また、チームがより創造的でオープンになれるよう、新しいフレームワークやメソッドを用いて行うものもあります。

今回ご紹介するこの記事が、チームにとって最適なワークショップを選ぶ際に少しでも参考になれば幸いです。しかし、チームによってニーズが異なり、またチームの発展段階も異なることを覚えておくことが重要です。「完璧な」チームは存在しないように、同様にすべてのチームに対応可能な「万能な」ワークショップも存在しません。

それぞれのワークショップ/モデルには、独自の強みと盲点があります。ワークショップはチームの助けにはなりますが、すべての問題を解決できるわけではありません。目指すのは、ワークショップが提示したモデルやアプローチを、チームの持つ構造と統合し、チームを前進させることなのです。

1.ベルビンのチームロールモデル

対象:チーム全体のダイナミクスを評価する。チームメンバーでさまざまな役割を試す。

Raymond Meredith Belbinは、1980年代にチームロールモデル(チームの役割)の指標を発表した研究者・経営コンサルタントです。彼のモデルでは、チームを下記の9つの役割に分類し、チームの構成と個人の役割を評価する方法を示しています。

  1. 資源探索者:新しいアイデアやプロジェクトを模索する。
  2. プラント:創造性に富み、自由で革新的な解決策を生み出す。
  3. シェイパー/形づくる人:チームの集中力・推進力の維持を促す。
  4. チームワーカー:チームの結束力を高め、対立する事なくチームの問題を解決する。
  5. モニター評価者:意見や行動、プロジェクト経過を公平に評価し、冷静な判断力を持つ。
  6. 実行者:プロジェクトを完成させるための戦略を立て、チームが実行するのを支援する。
  7. コーディネーター:全体像を把握し、能力に基づいて仕事を振り分け、チームをまとめることができる。
  8. スペシャリスト:プロジェクトの特定の専門分野について詳しい知識を持っている。 
  9. 補完的完成者:プロジェクトの最後に品質管理を行い、最後の仕上げを確実に行う。

それぞれの役割には、長所と短所があります。例えば、プラントは創造性に富み、アイデアを出すのが得意ですが、コミュニケーションが苦手で、ぼんやりしていることもあるでしょう。スペシャリストは、チームが成功するための重要な専門分野に精通していますが、技術的な知識が多すぎたり、視野が狭かったりするかもしれません。

それぞれの役割の強みと弱みを評価することで、チームメンバーは自分がどのような役割を果たしているかを認識し、また、必要に応じて役割を変更して別の役割を試したりすることもできます。

ベルビンのモデルは、性格に基づいたモデル(下記MBTI参照)とは異なり、先天的な特性に関係なく、誰でもこれらの役割を担うことができます。 実際、Invite Japanでは、アクティビティの中でチームメンバーに様々な役割を試してもらうよう勧めることがよくあります。

しかし、このモデルの弱点の1つは、それぞれの役割は各々の持つ認識により左右されることです。例えば、ある人は自分のことを「シェイパー」と思っているかもしれませんが、他の人からは「チームワーカー」と認識されている可能性もあります。

これに対抗するには、この認識のギャップに傾倒することです。匿名のアンケートを通じて、各メンバーの自分に対する見方と、チームの他のメンバーが自分をどう見ているかを比較することで、認識されている役割の違いを明確にし、議論することができます。これらの結果を評価することは、役割の不均衡とその解消方法を判断するのに役立ちます。

2. PDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善)​

対象:目標を達成し、成果を上げるために、優れたチームの習慣を確率することができる。

PDCAは、日本で1950年代後半に日本科学技術連盟で考案された反復型の方法論です。当時、生産ラインや供給ラインの無駄を省くことを目的とした「リーン生産方式」に関連しています。

現在、PDCA手法は、製造だけでなく、さまざまな企業や組織で採用されており、チームビルディングにも取り入れられています。プロセスと結果を注意深く観察するという点で、幅広く応用できます。

このメソッドは、非常に簡単な4つのステージ(Plan、Do、Check、Act)に分かれています。最初のステージ「Plan」では、目標を設定し、それを達成するための計画を立てます。「Do」のステージでは、チームはその計画を実行します。「Check」の段階では、チームはプロジェクトからデータを収集し、その結果を目標と比較します(ここが重要です)。最後の「Act」のステージでは、チームはこれらの結果に基づいて計画や目標を修正します。

このプロセスを何度も繰り返すことで、チームは毎回パフォーマンスとチームワークを向上させることができます。これは、チームにとって有用な手法であり、改善方法や効果的な方法を理解する上で大きな助けとなります。

しかし、PDCAには人間的な要素が欠けています。これは主にプロジェクトやチーム全体のパフォーマンスを向上させることに焦点が置かれています。そのため、人間関係の改善や信頼関係の構築に力を入れたいチームにはお勧めできません。

良好な関係を築いているものの、自分たちのメソッドについてもっと考える方法を学びたいと考えているチームにとって、このプログラムは素晴らしい補助プログラムになるでしょう。特に、チームに繰り返しメソッドを使わせるような複数のチームアクティビティと組み合わせれば、より効果的です。

3. GRPI(Goals:目標、Roles:役割、Processes:手順、Interpersonal relationships:関係性)

対象:チーム内の機能不全の領域と取り組むべき側面を評価する

GRPIとは、チーム内の問題を診断するための概念的なフレームワークです。組織開発分野の先駆者である組織理論家のディック・ベックハードによって開発されました。

このモデルでは、各カテゴリーをピラミッドのように表示し、一番上が「目標」、一番下が「関係性」(対人関係など)としています。チームが問題を抱えている場合、ピラミッドの上部から下部に向かって、それぞれのカテゴリーの中に問題があるかどうかを評価します。

問題の起こっている領域が特定されれば、チームはチームダイナミクスのその側面を修正したり改善したりすることができます。要するに、体系全体を壊すことなく、チームの構造を合理的に分解し、問題点や非効率性を見つけ出すための方法なのです。 

GRPIはどんなチームにも有効ですが、このアプローチにはいくつかの弱点があります。例えば、このモデルは、チームが時間とともに変化することには対応していません。このモデルは、ある瞬間のチームの姿を捉えているだけという意味で、静的なものです。

また、GRPIは、これらの領域が互いにどのように関連しているかを示していないようです。言い換えれば、GRPIは特定の問題に対して対処することはできますが、チームの発達の全体的でダイナミックな問題の機能としての改善はできません。

しかしながら、GRPIは課題や問題点を評価するためのエクササイズとして、非常に優れたツールであり、アクティビティ後のディスカッションでは、どこで問題が発生したかをチームが理解するのに役立つモデルとなります。

4. MBTI(マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標)

対象:チームメンバーの個性を評価し、個人の成長のためのツールを提供する。

MBTIはかなり昔から存在しています。この指標は、1944年にキャサリン・クック・ブリッグス(Katherine Cook Briggs)とその娘イザベル・ブリッグス・マイヤーズ(Isabel Briggs Myers)によって初めて発表されました。彼らは、女性が労働力となり最も快適な仕事を見つけるのを助けるために、この指標を開発しました。

マイヤーズ・ブリッグスの性格診断テストは、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。世界的にとても有名で、その結果や各性格タイプを理解するための書籍やウェブサイトが何百とあります。

MBTIは、16の個別の「タイプ」の性格で構成されています。これらは、4つの主要な心理学的機能に基づいており、カテゴリごとに2つの選択肢があります。

・外向性/内向性(興味関心の方向)

・感性/直感(情報をどのように取り込むか)

・思考/感情(どのように意思決定するか)

・判断/知覚(外界への接し方)

個人は、好き嫌い、習慣、趣味、知的探求心などについて様々な質問をするテストを受けます。これらの回答は、上記の好みのカテゴリーにマッピングされます。その結果、各カテゴリーから1文字ずつ、4文字の性格タイプが導き出されます。

例えば、「ENFP」タイプであれば、(一般的に)外向的であり、直感で情報や感覚を取り入れて判断し、知覚(共感など)によって外面的な生活を送ることを意味します。

もちろん、このことが個人にとって実際に何を意味するのか、そしてこの情報をどのように利用できるのかは、多くの場合直感的に理解できるものではありません。そのため、この手法とその結果を理解してもらうための補足資料がたくさん用意されています。

言うまでもなく、MBTIはグループよりも個人を説明するのに適しています。様々なカテゴリー、タイプ、そしてそれらがどのように相互作用するかを真に理解し習得するためには、多くの時間と勉強が必要です。

しかし、チームはMBTIを使って、チームメンバーの動機や行動の理由をよりよく理解することができます。MBTIと各メンバーのタイプについて一緒に学ぶことは、チーム内の理解を深めるための良いアクティビティとなります。

MBTIは、会社やチームの中で従業員をよりよく配置するための面接や採用プロセスにも使用されることがあります(特にアメリカではしばしば使用されます)。しかし前述のように、これを試みる前に、管理者が実際に方法を十分に理解する必要があります。

また、MBTIには、厳密な科学的裏付けがないことから反発する声もあります。MBTIは個別で行われるテストに依存しているため、個人の考え方やどう思われたいかによって結果が異なる可能性があります。また、人を「タイプ」に当てはめることで、自己実現的予言を生み出す可能性もあります。

私たちの提案は、MBTIを気軽に楽しみながら使用することです。チームメンバーのタイプを一緒に見つけ、それに基づいていくつかのアクティビティを実行することは、このモデルとその意味合いを探求する良い方法かもしれません。しかし、このモデルを一般的なチームビルディングの基礎として使用したり、自分のチームをどのように構成するかの手段として用いることは、更なる研究が必要かもしれません。

5.タックマンのチームの5つの発展段階

対象:規範を重視し、チームの寿命を考慮する

5つの発展段階とは、1965年にグループダイナミクスの理論家であるブルース・タックマンが考案したグループ開発をモデル化する方法です。タックマンは、パフォーマンスの高いチームが経験する5つの明確な段階をモデル化しました。

1. 形成期/Forming(フォーミング)オリエンテーションの時期 

2. 混乱期/Storming(ストーミング)対立と競争の時期

3. 統一期/Norming(ノーミング)対立の解消とコンセンサスの確立

4. 機能期/Performing(パフォーミング)協力的で機能的なチームが生まれる 

5. 散会期/Adjourning(アジャーニング)チームの目標が達成され、チームが作業を終えることができる期間

重要な変曲点は、ストーミングとノーミングの段階です。生き残り、成功を収めるチームは、対立や争いの時期をうまく乗り越えたチームです。モデルが示唆するように、そのための最良の方法は、コンセンサスを形成する方法としての規範を介することです。

GRPIがフレームワークとして非常に有用なのは、規範に焦点を当てているからです。多くのチームは、少なくとも意識的には、自分たちの行動やモチベーションのバックボーンや構造となるチームの規範について考えていません。

規範には、人々がどのように交流するか、意思決定がどのように行われるか、目標がどのように設定されるかなどが含まれます。このため、規範を中心に据えることは、具体的な内容にこだわらずにチームを語る上で生産的な方法となります。言い換えれば、目標そのものではなく、目標をどのように決め、どのように達成しようとしているかに基づいて、チームを評価できるということです。

GRPIモデルでは、チームの全寿命も考慮に入れています。多くのモデルでは、チームは必然的に終了するという事実に基づいて語っていません。プロジェクトが完了し、目標が達成されることで、チームは必然的に解散となります。

もしくは、現在構成されているチームが何らかの形で変化することもあるでしょう。チームメンバーが辞任するか、新しいチームメンバーが参加する可能性もあります。このような人事異動は、プロセスを最初からやり直すことにもなるので、チームの規範をそれらにどのように適応させるかについて意識する必要があります。

もちろん、これは限界と見なすこともできます。もしあなたのチームがすでに強力なサポートとなる規範を持っているなら、それに焦点を当てたワークショップは必要ないかもしれません。同様に、任期終了間近のチームにとって、チームの寿命をマッピングするワークショップはあまり役に立ちません。

6. 心理的安全性 

対象:信頼関係の構築とオープンなコミュニケーションを重視する 

心理的安全性は、比較的新しいチームビルディングのフレームワークで、特にこのリストに挙げられている他のフレームワークと比較すると、その特徴が際立っています。このフレームワークは、2010年代に初めて学術的に発表されました。その新しさゆえに誤解されることもありますが、それがかえってそのアプローチに新鮮さをもたらし、新しいチームビルディングのアイデアを求めているチームにとっては非常に価値のあるものとなるでしょう。

心理的安全性は、職場における恐怖、不信、不安を、尊敬、信頼、オープンなコミュニケーションに置き換えることを目的としています。心理的に安全でない環境は、チームメンバーに過度の負担をかけ、エネルギー、生産性、創造性を低下させます。したがって、心理的に安全なチームを作ることで、チームの結束力と相互理解を高め、チーム全体で改善を図ることができます。

心理的安全性に関するよくある誤解の1つは、対立を全面的に否定しているのではないかということです。しかし、心理的安全性を実現するためには、チームメンバーが報復を恐れることなく率直に意見を交わすことが必要であり、対立は実は不可欠なものなのです。また、チームの心理的安全性を維持するためには、批判的なフィードバックも重要となります。

しかし、心理的安全性の枠組みでは、対立は管理されているという点で異なります。対立は、議論を深め、相互理解を深めるために利用されますが、制御不能になることは許されません。

心理的安全性の欠点は、チームの有効性を本当に変えるためには、高い基準と組み合わせる必要があることです。心理的安全性だけでは、達成すべき課題や高い目標がなければ、チームが自己満足に陥る可能性があります。

それでも、心理的安全性は生産性の高いチームに成功するための強力な基盤を提供し、すべてのメンバーにとって職場環境をより健全にする方法を考える機会を与えることができます。

また、心理的安全性は、アンガーマネジメント、コンフリクト・レゾリューション、エフェクティブ・コミュニケーションなどの他のトピックと簡単に組み合わせることができ、チームにとってより有用な特定の側面に焦点を当てることができます。

総体的に、心理的安全性は信頼関係を築き新しい方法でコミュニケーションを考えるための素晴らしいフレームワークと言えます。

7. インプロ 

対象:チームに自分の足で考え、創造的に考えるように教える

インプロ(即興)は、何年も前から行われている俳優養成の手法です。最近では、チームビルディングにも応用されています。チームが自発的に考え、創造性を発揮できるようにするための方法であり、楽しみながら自己解放を促すことができます。

インプロワークショップでは、一般的に様々なアクティビティを使用しますが、その中には演技をより直接的に扱うものもあります。どのアクティビティも、それ自体が「演技をする」のではありません。むしろ、与えられた状況やパートナーとの関係性の中で、自然かつ迅速に反応することを目的としています。

例えば、「イエスレッツ(Yes Let’s)!」というゲームがあります。このゲームでは、チームメンバーが「Let’s….」と叫び、その後に具体的な行動(例:「アイスクリームを食べよう」)を示します。やりたいメンバーは「Yes let’s!」と元気よく返事をして、その動作をマネします。そうでない人は、大きく転んでゲームから抜けます。

ご覧の通り、インプロゲームは複数のレベルで機能します。その場で行動を考え、他のチームメンバーに熱心かつタイムリーに対応し、アイデアを受け入れる/拒否することなどを考えなければなりません。これらはそれぞれ、独自のワークショップやチームビルディングのためのアクティビティになります。

インプロは、チームビルディングに役立つ多くのアイデアを1つにまとめたものです。しかし、インプロの最もユニークな利点は、創造性と自発性を引き出すことです。インプロは、通常とは異なる方法で頭を働かせ、参加者は安全な空間で仲間とこの創造性を共有することができます。もちろん、その過程でコミュニケーションスキルも向上し、チームメンバーは変化する状況に適応する方法を学ぶことができます。

ただし、インプロ・ワークショップは、アクティビティをベースにした自由なデザインのワークショップです。このリストの他のワークショップのように、必ずしも従うべきモデルや理論はありません。そのため、より具体的な指示やガイダンスを必要とするチームには使いにくいものとなっています。 

そのため、インプロワークショップは、信頼関係(と心理的安全性)の基礎がきちんとできているチームにお勧めです。また、クリエイティブな面で「閉塞感」を感じているチームや、新しいプロジェクトやアイデアを求めているチームも、インプロ・ワークショップから大きな恩恵を受けることができるでしょう。

まとめ

ワークショップは、チームビルディングのアクティビティを補足し、教育的な要素を加えて背景と深みを与える優れた方法です。ご覧のように、世の中には様々なワークショップがあり、それぞれのワークショップには長所と短所があり、チームによってうまくいったりいかなかったりします。

ワークショップを選ぶ際には、チームのニーズと、組み合わせるチームアクティビティを意識することが重要です。自分たちのチームを知り、さらに発展させるためには何が必要かを知ることも、このプロセスの不可欠な要素です。

チームに知的な刺激やインスピレーションを与えたいとお考えの方は、次回のチームビルディング・イベントにワークショップを加えることを検討してみてはいかがでしょうか。

インバイトジャパンでは、チームビルディングのアクティビティと合わせて、様々なワークショップをご用意しています。 詳細とご相談はお問い合わせください!

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