離れていても、一緒に成長を:分散型(リモート)チームを開発するためのヒント

数年前まで「分散型チーム」という言葉は、ビジネス評論家や企業内研修の講師など、これからの働き方について「知っている人」だけが使っていた言葉でした。しかし、今では誰もがこの言葉を「リモートチーム」として知っています。

これはリモートワークやハイブリッドワークがいかに進歩を重ねて常態化し、ある程度制度化されてきたかを物語っていると言えるでしょう。そしてそれに伴い、「100%オフィス勤務」という文化にはもう戻れないと多くの人が考えています。

もちろんこれには賛否両論がありますが、従業員にとっては活用できる時間が増え(年間約13週間分とも言われる)、自由度が増す(可能性がある)ことなど、多くのメリットがあることは明らかです。また、企業やチームにとっても、オフィススペースを確保するための費用が不要になるといったメリットがあります。

なぜ分散型チーム開発なのか?

しかしそれと同時に、リモートやハイブリッドな働き方にシフトした場合、雇用者とチームメンバーの両方が失うものの1つとして、「チームの発展」が挙げられます。つまり、共に成長するプロセスを共有することができないということです。

多くのチームがリモートワークの環境の中でも成長を重ねています。しかしこの成長は想像以上に不均一なものであるということを主張させてください。オンラインでは常に全員の状況を把握することが難しいために、チームが一緒に成長することが難しくなっているのは事実なのです。

ソフトワークとハードワークの概念については、他のブログ記事でも触れていますので、興味がある方はご確認ください。リモートモデルへの移行は、つまりソフトワークの場であるオフィスのようなスペース(交流、コミュニケーション、アイデアの共有、そして共に学ぶための空間)を手放すことを意味します。(対照的に「ハードワーク」とは、報告書の提出、プロジェクトの完了、取引の締結などといった仕事の側面。)

チームを引き離すこのような力に対抗するためには、リモートチーム全体としての育成をより意識的かつ積極的に考えるとともに、各メンバーが必要とするトレーニングや育成を受けられるような環境にすることが必要です。

これは抽象的な成長、学習だけではありません。最終的には、共に成長するチームは、より強く結束することになるのです。さらにトレーニングや指導、開発といった機会を得たメンバーは、そのチームにより大きな価値を感じ、チームに留まる可能性が高くなります。つまりチームの成長は、チームの維持と結束にも多大な影響を及ぼすということです。

分散型チーム開発の3原則

分散型チームの開発をオンラインチームビルディングの中でより顕著にするための指針として、ここでは考慮すべき3つの大原則をご紹介します。

1) 公平性

チームの公平性とは、すべてのチームメンバーが成功と繁栄に必要なリソースに同じようにアクセスできることを意味します。そしてチーム開発の文脈においては、チームメンバーが可能な限り共に成長し、学習すること、そしてトレーニング、開発、指導のための機会を各メンバーに平等に与えるということを意味します。

リモートチームではチームメンバーが物理的に同じ空間に居ないため、チーム開発の面で公平性を確保することはさらに難しくなります。しかし、現在はオンラインクラスやコミュニケーションツールなど、リモートチームを支援する多くのリソースがオンラインで提供されています。また、メンタリングも適切な準備と計画があれば、オンラインで簡単に行うことが可能です。

ということは、公平な分散型チーム開発における主な障害は、単純に「意識」とも言えるでしょう。誰が何を感じているのか、どのようなトレーニングを必要としているのかを十分に知ることができていないだけなのかもしれないのです。

2) 交流

これが次の原則である「交流」につながります。より頻繁かつ定期的にチームで交流を行い、その中でコミュニケーションを取って共有することによって、お互いの意識を高め、チームメンバーがお互いの開発目標やニーズに気づきやすくすることができます。

分散したチームでの交流は、週に一度のチェックイン(連絡を入れて状況確認をする)程度の簡単なものでも構いません。また、数日間のオンライントレーニングやチームビルディングのイベントのように、より計画的で形式ばったものも活用できるでしょう。

いずれにしても、「交流」は分散型チームの開発には欠かせないものです。リモートチームには、オフィスで自然に発生するソフトワークの交流のような余裕はありません。そのため、チームが互いに交流する方法を増やすために、特別な努力と時間を費やす必要があるのです。

3) 学び

結局、分散型チームの開発とは、たとえそれが互いに関する学びであったとしても、それ自体が学習のプロセスであると言えます。特に、時間を有効に使わなければならないリモートチームにとっては、一発勝負の「やりっぱなし」ではなく、「プロセスとしての学習」というモデルが有効だと思います。

分散型チームは比較的新しいものなので、リモートで働くチームは一緒に旅をしているようなものであり、どうすればうまくやれるかをまだ模索している最中だということを忘れないでください。つまり、学習環境やセッションを追加することは有益な手段なのです。

例えば、テクノロジーや生産性に関する講義をオンラインで行うことも有効でしょう。インバイトジャパンで提供しているような、オンライン形式でアクティビティと講義を融合させたチームビルディングのワークショップもあります。そういったものに加えて、自己管理で学習を行うことも可能です。

つまり、チームとして毎週でもミニレクチャーやディスカッションを開催することができるということです。これは実際にインバイトジャパンでも取り入れており、ほぼ毎週、弊社代表がファシリテーターとなって、PX2やアンガーマネジメントなど、個人の成長モデルやチームビルディングモデルを使ったセッションを開催しています。

チーム開発を学習プロセスという観点から考えることで、チームの長期的な戦略を考えることができるようになり、また、チームの成功のためにモチベーションを高めるために、どのようなツールをレパートリーに加える必要があるのかを認識することができます。

分散型チーム開発のための3つのヒント

ここまで、目標や抽象的な理念など、チーム育成の計画を立てる際に意識しておきたいことを挙げました。最後に、チーム開発計画や学習計画を実行するためのヒントをご紹介します。 

1) チームの信頼関係を築く 

信頼はリモートや対面に関わらず、すべてのチーム開発の基礎となるものです。しかし特にリモートチームにおいては、その重要度はさらに上がります。リモートチームが共に成長し続けるためには、メンバーがお互いを信頼し、必要なときに補い合うことができると知る必要があります。

また、チームメンバーは自分の感情や意見を共有することが大切です。リモートでは、コミュニケーションツールの特性上、実際に感じていることを表現することが難しいのです。 

そんな時、オンラインのチームビルディングアクティビティは、チームの信頼関係を築き、共に学び、成長することを可能にします。また、オンラインチームの弱点を指摘することで、より信頼感を高めることにも繋がるのです。

2) 柔軟性を保つ

一般的にリモートチームは、生産性と成功を維持するために、非常に高い柔軟性を必要とします。チーム開発も同じです。分散したチームは、開発のための新しい手法やツールを試し、活用することに前向きである必要があります。

柔軟性は、チームが将来大きな課題や危機に直面しても大丈夫なように、レジリエンス(回復力)を高めるのにも役立ちます。つまり、チーム開発において柔軟性を維持することは、チーム全体の成功に役立つということです。

私たちは、オンラインと対面式のチームビルディングの両方を活用し、チームを飽きさせないために、様々なアクティビティを取り入れることを提案します。たとえば即興演技のアクティビティは、柔軟性を高め、チームメンバーが新しい状況に自発的に反応する方法を学ぶことができます。

3) 優先順位を付ける

効果的な分散型チームの開発には、時間とリソースの優先順位付けが必要です。リモートチームは何に焦点を当てるべきか、何が必要かを知らなければなりません。そこから、どのようなトレーニングや能力開発を実際に行うべきかといった決断を下すことができるようになります。

リモートチームにおいて、マイクロマネジメントは効果がなく、むしろ逆効果であることを示唆する研究結果があります。これは不信感という不健全な文化をもたらし、「過労」の感覚を助長し、分散型チームの利点のいくつかを打ち消す可能性があります。

したがって、分散型チームは自分たちの開発のどの側面が最も重要であるかをよく観察し、チームが自立的に開発できるスペースを増やすよう努める必要があります。適切な開発ツールやチームビルディングアクティビティを見つけることは、常にこのプロセスの最も重要なステップであるということです。

最後に

分散型チームの開発は一見難しそうに見えますが、適切な姿勢、意識、リソースがあれば、チームは物理的に離れていても、共有された学習プロセスを積極的に作り出すことができます。

インバイトジャパンはあなたのチームの育成をサポートします。アウトドアゲームから完全オンラインのアクティビティまで、複数のチームビルディングを体験していただくことが可能です。また、教育的な講義とインタラクティブなゲームを組み合わせたワークショップも開催していますので、詳細につきましてはお気軽にお問合せください。

チームビルディング完全
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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。