リモートワークとハイブリッドワークについての最新情報(2022年後半版):現状と今後の展望

2022年の最終章に突入する前に、リモートワークとハイブリッドワークの現状について考えてみたいと思います。そして、この2つの新しいワークスタイルが今後も続いていくとするならば、今後の展望はどのようなものになるのかを考えてみます。

一年前と比べると、ずいぶん変わったと言ってよいでしょう。確かにパンデミックはまだ残っており、長引く存在感を示しています。しかし、国境は開かれ、生活はより 「普通」に向かっているように見えると言えるでしょう。

とは言え、長期間に及んだ外出禁止から開放され、また、オフィスへの復帰が容易になったにもかかわらず、リモートワークやハイブリッドワークは依然として残っています。以前ほど必須なものでないように見えますが、パンデミックの結果として非常に普及したこの2つのワーク形態は、すぐになくなることはないでしょう。少なくとも一部の人にとっては、この2つの形態がワークカルチャーにさらに深く浸透しているとさえ言えます。

つまり、少なくない人がリモートワークやハイブリッドワークを好み、ポスト・パンデミックな世界へ向けてさらに前進していく中でも維持したいと望んでいるようなのです。現在、私たちは2つの世界(あるいは2つの世界観)が交差する地点に居ると言えるでしょう。

一方には伝統的なオフィスの世界があり、そこには確固とした構造、スケジュール、社交のしやすさなどがあります。そして、もう一方にはリモートワークやハイブリッドワークという、柔軟性、開放性、機会を備えた(まだ新しく、やや理想的な)世界も存在するのです。

この2つの世界は流動的で、一方は革新を、他方は伝統的な仕事の側面を維持するよう、互いに圧力をかけているのが現状です。また、この2つの世界のどちらかが優位に立つという状況でもありません。

このように常に進化し続けるワークライフの状況は、見ていてとても魅力的です。そこで、約3年前のパンデミック開始以来、ハイブリッドやリモートワークの文化がどのように変化したのか、或いは変化しなかったのか、また、この状態がどこに向かいそうなのかをリサーチする機会を設けてみることにしました。

それが、今回のブログでご紹介する内容です。このブログでは過去にもハイブリッドワークやリモートワークについて何度も話してきました。そこで、このワークライフにおける重要なトレンドを振り返り、私たちが学んだこと、そしてすべてのチームが知っておくべきことについて、最新情報をお伝えしたいと思います。

リモートワーク/ハイブリッドワークのメリット

まず、リモートワークとハイブリッドワークのメリットからご説明し ます。時間が経過した今、この2つの働き方の利点とワーカーが好む傾向について、より多くのデータが出てきました。

スタンフォード大学の経済学者で、リモートワークの研究をパンデミック以前から行ってきたニコラス・ブルーム氏が最近行ったインタビューによると、リモートワークの主な利点として、労働者の定着率の向上、生産性の向上、多様性、公平性、包括性の向上、オフィススペースの節約という4点を挙げています。

1. 従業員の幸福度、定着度、柔軟性

ブルーム氏によると、リモートワーカーの退職率は35%程度に減少しており、これはかなり大きな減少と言えます。これはリモートワークやハイブリッドワークが一般的に労働者にとって幸せであることを意味するだけでなく、離職率が低く、有能な社員を確保できる雇用主にとっても良いことです。

働く人の幸福度が上昇した大きな理由のひとつは柔軟性です。ブルーム氏は話題となった「Slack Future Forum」から多くのデータを引用し、リモートワークやハイブリッドワークについて多くの情報を集め、それに対してワーカーがどのように反応しているのかについて述べています。

この調査で最も明らかになったことのひとつは、ワーカーがリモートワークの持つ柔軟性を好んでいるということです。リモートワークでは、自分のスケジュールを管理し、自分のワークフローをコントロールすることができます。さらに、家族や介護者としての役割とキャリアを両立させるチャンスでもあるのです。

しかし、この考え方はある意味で非常に急進的なものであるため、繰り返し説明する価値があります。長い間、会社では役員や権力のある人だけが、自分の仕事のスケジュールやワークフローを自由に決めることができました。多くの人がこのような働き方を経験した今、なぜ多くの人がそれを手放したくないのか、なぜフルタイムでオフィスに戻ることに抵抗があるのか、理解することは難しくないでしょう。

2. 労働者の生産性

繰り返しになりますが、データは以前に比べて非常に増えました。ですから、リモートワークやハイブリッドワークの結果、労働者の生産性が3〜4%上昇したという事実を指摘することができるようになったのです。これは決して大きな数字ではありませんが、ブルーム氏が言うように、良い方向に向かっていることは間違いありません。

以前、これについてのある仮説を書きましたが、その内容は今でも有効だと思われます。それは、結局のところ、労働者は気が散らないので「ハードワーク(仕事の主要部分や雇用の理由となった業務)」をより速くこなすことができる、という内容です。

この仮説と一致するのは、ブルーム氏が、リモートワーカーはトイレやコーヒーの休憩が少なく、昼食休憩も短い(オフィスでの昼食休憩が約1時間なのに対して、リモートでは20〜30分程度)ことを発見した点です。

その理由は、「一人の時間」の必要性、そして仕事における重要性にあると思われます。オフィスでは人に囲まれている状況が常です。これはいろいろな意味で有益なことではありますが(後述します)、一方で、自分自身の思考や集中力を制限してしまうこともあります。

また、オフィス空間の物理的な性質(明るい照明や、無色で無個性な内装など)も、そこから逃れるために長い休憩を取っていた理由と関係がある可能性があります。したがって、予想に反して、自宅やカフェ、さらには共有のワークスペースなど、より快適な環境が、ワーカーの集中力を高め、より刺激を与えるのかもしれません。

3.  多様性、公平性、包括性

このリモートワークやハイブリッドワークの側面は、先に述べた、ワーカーが自分のスケジュールに対してより柔軟で主体性を持つということと関連しています。このことは、より多くのタイプの、さまざまなライフスタイルを持つ労働者が、以前は不可能だった企業でのポジションを見つけることができるようになったということを意味します。

そこには、幼い子どもを持つ人や、病気や障害を抱える親族、或いは高齢の大切な人を介護している人も含まれます。また、病気や障害を持つ人自身も、毎日オフィスに通う必要がなくなります。もちろん、オフィスや都心から離れた場所に住むワーカーも、遠距離通勤や引っ越しの必要がなく、オンラインで仕事にアクセスすることができます。

このようにワークライフバランスに対するオープンな考え方が広まったことで、多くのチームが女性や母親、マイノリティの人たちから恩恵を受けています。つまり、リモートワークやハイブリッドワークという働き方は、企業がよく言うような多様で包括的な環境を作るのに役立ち、ひいてはより多様な意見やアイデアを育むことができるのです。

4. スペースの節約

リモートワークとハイブリッドワークの最後のメリットは、企業の収益に大きく関係するものであり、それはオフィススペースの節約です。リモートワークの場合、当然ながら企業はワークスペースにそれほど費用をかける必要がないため、企業にとって大きなコスト削減効果が期待できます。

しかし、このコスト削減は、ハイブリッドワークの場合、実際にはワーカーが出勤できるようなオフィススペースを確保する必要があるため、少し難しくなるでしょう。

現在のオフィスの役割とは?

ここで、リモートワークやハイブリッドワークが提起している、フルタイムの対面型も含めたすべてのワークスタイルに関わる大きな疑問が生まれます。今 、オフィスは 何のためにあるのでしょう?

以前このブログで、ハードワークとソフトワークの違いについてお話しました。ハードワークとは、その人が雇用された理由となる業務のことであり、ソフトワークとは、仕事をより円滑に進め、創造性を刺激するとされる政治的な活動やオフィスでの社交など、ハードワーク以外のすべてのことを指します。

振り返ってみると、これは必ずしも正しいとは言えません。アン・ヘレン・ピーターソン(Anne Helen Peterson)氏は最近、パンデミック後の新しい労働文化の再編成に焦点を当てていますが、企業が労働者をオフィスに戻らせるために作る「言い訳」の多くは、実際にはそれほど良いものではないと論じています。

このような「言い訳」のひとつに、オフィスでは「廊下でのおしゃべり」や「カフェテリアでの出会い」といった非公式な社交によって、より創造性が刺激される、という考え方があります。理にかなった内容に聞こえますが、実際にはこれは良い言い分ではありません。なぜなら、このようなことがオフィス内で(あるいは常に)発生しなければならない理由はないからです。

しかし、彼女はオフィスが存在すべき2つの正当な理由も指摘しています。それは「親しみやすさ」と「コラボレーション」です。

1. 親しみやすさ

インフォーマルな社交は、お互いをよく知るために有効です。これは、新しい環境にあまり慣れていない若手社員にとっては特に重要で、ベテランのチームメンバーや上司と1対1で交流することは非常に有益なものとなります。

しかし、これも必ずしもオフィスで行う必要はありませんし、毎日行う必要もありません。例えば、オフサイトのチームビルディング・セッションやハッピーアワー、近所のカフェでのコーヒータイムなど、この種の社交を誘発するもっと革新的な方法を考えられる可能性は他にもあるでしょう。

2. コラボレーション(協働作業)

もうひとつ、オフィスが得意とすることは、コラボレーションのためのスペースを提供することです。コラボレーションとは、クリエイティブな思考を必要とする共有プロジェクトに一緒に取り組み、一緒に意思決定を行い、ブレインストーミングを行うことを指します。オフィスでは同じ空間に全員がいるため、特に最後の「ブレインストーミング」を促進するのに適しています。ブレインストーミングのセッションでは、しばしば長時間の「反復」が必要となり、お互いのアイデアをぶつけ合うことになりますが、オフィスではそれが容易になるのです。

しかし、繰り返しになりますが、企業はこの分野でイノベーションを起こす方法、あるいは古いことを新しい方法で行う方法を常に模索すべきなのです。オンラインが必ずしもその答えではありませんが、技術は需要に応じて急速に向上しています。したがって、企業は「完璧な解決策」は見つからないかもしれないと知りつつも、今新しいことを試すことに前向きであるべきなのです。

もうひとつ、ハイブリッド・チームとの関連で言えば、チームメンバーやオフィスのメンバー全員がすべてのブレインストーミング・セッションに参加する必要はない、という事実もあります。実際、あるプロジェクトで一緒に仕事をしているチームメンバーだけが、ある特定の日にオフィスに行く方が良い場合もあるでしょう。そうすれば、チームメンバーが生産的な理由でオフィスに集まり、「ゾンビオフィス効果(オフィスに来ても誰もいないので、結局一日中ズームミーティングに費やすことになる)」を減らすことができます。

「組織的なハイブリッド」を目指して 

このことは、全社的なレベルでもチーム単位でもより組織化する必要があること、そして、企業がリモートワークやハイブリッドワークの体制をどのようなものにし、実際に達成させたいのか、明確な目標が必要であることを示しています。

このモデルを「オーガナイズド・ハイブリディティ(組織的なハイブリッド)」と呼ぶ人もいます。リモートワークやハイブリッドワークについて行き当たりばったりになるのではなく、「組織的なハイブリッド」は各チームのニーズを見て、そのニーズに合った計画を立てることを強調しています。

これには確かに多くの作業が必要ですが、それだけの価値があるのです。現在のハイブリッド型ワークスタイルに対する不満の多くは、明確な方向性や安定性が十分でないこと、オフィスに出社することに意味がないこと、そして、従業員と雇用者の間に信頼関係がないこと(雇用者は従業員の生産性が実際に高まっていることを「信じる」ことが難しい)などが挙げられるでしょう。

より組織的なハイブリッドワークシステムを構築することは、これらの問題を解決するのに役立つ可能性があります。リモートワークとオフィスワークの区別を明確にし、実際に一緒に働く他のチームメンバーと会うことを保証し、より良い信頼関係を構築することに繋がります。

最後に:より意図的になる

次回は、組織的なハイブリッドワークと、リモートワークやハイブリッドワークを導入する際に企業が犯している多くの間違いを解決する方法についてご紹介します。しかし、今のところ、1つの明確な指針をお伝えしたいと思います。それは、「どのような仕事体制でも、意図的に決めるべき」ということです。

リモートワークやハイブリッドワークの素晴らしいところは、特にオフィスの機能や必要性に関する、もう適用できないかもしれない古いパラダイムから企業やチームを解放してくれることです。今こそ、自分たちの仕事とオフィス文化をどのように整理するか、自分たちで決める時なのです。

何をするにしても、その背後に意図があることを確認してください。自分の目標、チームのニーズ、そして一人ひとりのニーズについて、明確に考えてください。そして、私たちが望むと望まざるとにかかわらず、やってくるこの勇敢な新世界にどのように前進したいかを考えてください。 

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