本社と2つの地方拠点をつなぐ、ハイブリッド型チームビルディングの設計

本社と2つの地方拠点をつなぐ、ハイブリッド型チームビルディングの設計

ハイブリッド型のチームビルディングは、しばしば技術的な課題として捉えられがちです。どのツールを使うか。画面をどこに配置するか。その場にいない参加者をファシリテーターがどう支えるか。これらはいずれも大切な点ですが、設計上もっとも重要な判断ではありません。

多くの場合、本当に重要なのは次の問いです。

「リモートで参加する一人ひとりを、どのチームに所属させるべきか。」

あるお客様のケースでは、この問いがプログラム全体を方向づけました。お客様は東京本社と2つの地方拠点を持ち、3拠点それぞれに対面とリモートの社員が混在していました。複数回の開催にわたって一貫したチームビルディング体験を提供しつつ、現場の人間関係に即した、実用的で公平な内容にしたい——それがご要望でした。

本記事では、そのプログラムをどのように設計したのかをご紹介します。

3拠点で実施するハイブリッド型チームビルディング

A facilitator plans a hybrid team building program on a whiteboard, showing Tokyo HQ, two regional branches, remote participants, and puzzle activity materials.
Planning the team structure for a hybrid team building program across one head office, two regional branches, and remote participants.

今回のお客様がご希望されたのは、3拠点・約60名を対象としたハイブリッド型のプログラムです。

  • 東京本社
  • 地方拠点A
  • 地方拠点B

参加者は対面とリモートでほぼ半数ずつに分かれていました。また、シフトの都合から、全員が同時に参加する形ではなく、3回に分けて実施することになりました。

ここでの主な課題は、同じアクティビティを複数の場所で実施すること自体ではありませんでした。チーム構成をどう設計するかが、本当の論点でした。

同じ部屋に集まる参加者もいれば、ビデオ通話で参加する参加者もいます。弊社のファシリテーターは東京本社には立ち会いますが、地方拠点には立ち会いません。

そこで一つの重要な判断が必要になりました。地方拠点のリモート社員を、ファシリテーターがサポートしやすい東京のチームに加えるべきか。それとも、日頃から一緒に働いている同僚とともに参加させるべきか、という点です。

設計全体を左右した問い

このプログラムは、3つの拠点、それぞれ異なる会場環境、そしてファシリテーターによる支援の度合いの違いを踏まえて成立させる必要がありました。

東京では、ファシリテーターがチーム間を回りながら、質問に答えたり、進行の速さを調整したり、その場で参加者を支援したりできます。

一方、地方拠点にはInvite Japanのファシリテーターは立ち会いません。各チームは基本的に自分たちでアクティビティを進め、本当に問題が生じたときにのみオンラインでサポートを受ける形になります。

お客様が当初お考えだったのは、地方拠点のリモート参加者を東京のチームにまとめるという方法でした。サポートの観点から見れば、自然な発想です。ファシリテーターが進行を見守り、必要なときに手助けしやすくなるからです。

しかし、チームビルディングの観点からは、ここに一つの問題がありました。

地方拠点の社員は、普段から同じ拠点の同僚と仕事をしています。東京に足を運ぶ機会がほとんどない方も少なくありません。ファシリテーターがいるからという理由だけで東京チームに組み込んでしまうと、運営はしやすくなる一方で、参加者にとっての意味は薄れてしまいます。

目的は、アクティビティをこなすことではありません。実際の業務上の関係性を深めることにありました。

リモート社員を地方拠点チームに残した理由

弊社では、リモート社員を実際に一緒に働く同僚とともに参加させることをご提案しました。つまり、各拠点がそれぞれのチーム構成を保つということです。

  • 東京の参加者は東京の同僚と
  • 地方拠点Aの参加者は地方拠点Aの同僚と
  • 地方拠点Bの参加者は地方拠点Bの同僚と

リモート社員は、日頃の職場の人間関係に結びついたチームに加わりました。

これが、本プログラムにおいてもっとも重要な設計上の判断でした。

地方拠点のリモート社員を東京チームに入れたほうが、運営は楽だったかもしれません。しかし、優先すべきは利便性ではありませんでした。チームビルディングは、イベント終了後にも続く人間関係をアクティビティが映し出しているときにこそ、もっとも効果を発揮します。

日々ともに働く社員同士であれば、アクティビティの中でも、課題を解決し、意思疎通を図り、一緒に意思決定をする機会を持つべきだと考えました。

スーツケース・ミステリーを選んだ理由

suitcase mystery close up

今回、弊社が「スーツケース・ミステリー」をご提案したのは、こうした複数拠点のハイブリッド形式に適したアクティビティだからです。

スーツケース・ミステリーは、室内で行う謎解き型のチームビルディングです。少人数のチームが、実際の道具が入ったキットを使いながら、いくつかの謎を順番に解いていきます。各チームはテーブルを囲み、キットを開け、手がかりを調べ、意見を出し合いながら、協力してストーリーを進めていきます。

ハイブリッド形式では、各チームに次のものが必要です。

  • テーブル1台
  • スーツケース・ミステリーのキット1セット
  • ノートパソコンまたはモニター1台
  • リモート参加者をつなぐビデオ通話環境

この構成がうまく機能するのは、テーブルを中心とした、話し合いを軸とするアクティビティだからです。リモート参加者は、その場にいるメンバーの様子をただ眺めるのではなく、同じ意思決定のプロセスに加わることができます。

実物のキットがあることで、アクティビティに明確な中心が生まれます。参加者は画面越しに会話するだけでなく、共通の道具を使い、共通の目標に向かって、チームとして一緒に判断を重ねていきます。

そのため、スーツケース・ミステリーは3拠点すべてで無理なく実施できました。大きな会場や特別な設営、各部屋へのファシリテーター配置を必要としないからです。

各テーブルでのハイブリッド設営

Invite Japan hybrid setup

チーム構成が決まると、あとの段取りはそれに沿って進めていけました。

各拠点には、開催前にそれぞれのキットをお届けしました。東京本社と2つの地方拠点へ別々に発送し、初回の数日前までに確実に届くよう手配しました。

この余裕をもったスケジュールは重要でした。各拠点が、到着の確認、中身の点検、そしてアクティビティ前の会場準備を落ち着いて行えるからです。

各チームの準備はシンプルです。

  • 対面の参加者はテーブルを囲んで着席する
  • リモートの参加者はビデオ通話で参加する
  • キットは対面メンバーが扱える位置に置く
  • 画面はリモートメンバーが話し合いを追える位置に配置する

リモート参加者が、実物の道具を直接扱う必要はありません。その役割は、状況を観察し、内容を読み解き、アイデアを提案し、前提を問い直し、チームの意思決定を後押しすることにあります。

この区別は大切です。ハイブリッドの謎解きでは、リモート参加者を受け身の観客として扱うべきではありません。実際にキットに触れていなくても、考えるプロセスの一員として加わってもらう必要があります。

また各回の開始前には、アクティビティの進め方、謎解きの流れ、そして対面メンバーとリモートメンバーのあいだのコミュニケーションの取り方について、各チームに事前説明を行いました。

現地ファシリテーターなしでの拠点サポート

Suitcase Mystery hybrid preparation

地方拠点にはインバイトジャパンのファシリテーターが立ち会わないため、事前の準備がとりわけ重要になりました。

アクティビティの開始前に、各拠点のグループには次の点をわかりやすくご説明しました。

  • プログラム全体の流れ
  • 謎解きの構成
  • 時間配分の進め方
  • 意見が分かれたときの対応
  • チームとして粘り強く取り組むべき場面
  • 弊社に連絡すべき場面

あわせて、キットの部品の不足や技術的なトラブルなど、本当に困ったときにすぐ連絡できる窓口もご用意しました。

ねらいは、アクティビティから難しさをすべて取り除くことではありません。通常の謎解きとしての難しさと、運営上の実際のトラブルとの違いを、各チームに理解していただくことにありました。

謎解きの難しさは、チームで力を合わせて乗り越えていくものです。一方、部品の不足や技術的な不具合は、弊社にご連絡いただくべきものです。

この線引きがあることで、地方拠点のチームは、放っておかれていると感じることなく、自分たちで進めることができました。

これは、各チームが普段から働いている形を尊重するものでもありました。地方拠点では、本社の即時のサポートがなくても、実務上の問題を自分たちで対処することが少なくありません。適切な準備があれば、アクティビティにも同じように臨むことができたのです。

結果:現地サポートなしでの完遂

suitcase mystery hybrid success

プログラムは、3拠点・3回の開催すべてで滞りなく実施されました。

地方拠点のチームは、現地にファシリテーターがいない状態でアクティビティを最後までやり遂げ、緊急連絡用の窓口を使う必要もありませんでした。各チームは自分たちで進行を管理し、予定どおりの流れの中で、東京の構成に無理に組み込まれることなく、拠点ごとのチームとして参加できました。

そして何より、チーム構成がお客様の実際の業務上の関係性を反映したものになっていました。

リモート社員が、普段一緒に働く同僚から切り離されることはありませんでした。地方拠点が、本社より下に扱われることもありませんでした。それぞれのグループが、イベント後にも協力し合っていく相手とともに、アクティビティを体験できたのです。

これこそが、本プログラムの本当の成果でした。

アクティビティが滞りなく進んだだけではありません。お客様の日々の業務にとってもっとも大切な人間関係を、後押しするものになっていました。

他のハイブリッドチームへの示唆

ハイブリッド型のチームビルディングは、ファシリテーターを配置しやすい場所を基準に設計すべきではありません。企業が深めたいと考えている人間関係を基準に設計するべきです。

今回のケースで最も重要だったのは、リモート社員を実際に一緒に働く同僚とともに参加させるという判断でした。この方針が定まると、運営面の段取りはそれに沿って整えやすくなりました。

  • キットの配送
  • 会場の設営
  • ビデオ通話の配置
  • 各拠点への事前説明
  • サポート窓口
  • 各回の進行管理

段取りはもちろん大切ですが、それはチーム構成に従うものでした。これが、この事例から得られる主な学びです。

ハイブリッド型のチームビルディングを成功させるには、リモート参加者を本来所属すべき場所——すなわち、日々一員として関わっているチームの中に置くことが必要です。

複数のオフィスやリモートチームをまたぐハイブリッド型のチームビルディングプログラムをご検討中でしょうか。インバイトジャパンが、御社の目的に合わせて、最適な形式・チーム構成・実施方法の設計をお手伝いします。

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