今回のブログは、ご好評いただいている「リーダーシップ」シリーズの続きです。初回と二回目は、リーダーシップとは何か、良いリーダーとはどのような人物なのかについてお話しし、前回は、チームメンバー全員がリーダーとなれるようなリーダーシップ文化をチームに構築する方法について考えました。そして今回は、チームビルディングがリーダーに与える教訓と、チームビルディングがチームにリーダーシップをどのように教えるかについて見ていきます。
チームビルディング会社としての長年の経験を通じて、私たちは様々な企業やチームと仕事をする機会に恵まれてきました。このような経験を通じて、私たちは、チームがどのように運営されているのか、また優れたリーダーとはどのような人たちなのかを直接目にすることができています。
ここ1か月、リーダーシップについて深く議論することができているので、チームビルディングから得ることができると思われる教訓を共有する良い機会だと思いました。チームビルディングは、チームがこれまで直面したことのないような課題を、興味深くてリスクの低い環境で提供するため、チームだけでなく、そのリーダーの度量も試されるのです。
そこで今回は、リーダーがチームビルディングから学べる最も大きな教訓をご紹介します。
1. 最も大切なことは「聴くこと」である
以前から申し上げているように、リーダーができる最も重要なことは「聴く」ことです。私たちが開催するチームビルディングのイベントでも、リーダーが最もよく話を聞いているチームが、最も良い結果を出しています。それはなぜでしょうか。リーダーは時として、会話を支配する傾向があります。また、チームメンバーもリーダーを尊敬していたり、反対意見を言うことを躊躇って、黙ってしまうこともあるでしょう。
しかし、困難な状況に陥った時、チームはできるだけ多くの意見を集めることが重要です(詳しくは後述)。また、チーム内の力学的な問題に気を配って、指導やサポートを行うことも求められます。そのためには、リーダーは一歩下がって、チームメンバーが感じていることや話していることを受け止める必要があるのです。
2. コラボレーションが鍵である
これと同じように、チームにおけるコラボレーションも重要です。リーダーはチームを導き、サポートし、場合によってはより直接的なコーチングや指導を行うという重要な役割を担っていますが、実は殆どの場合、チームがリーダーに求めているのは、単純にコラボレーションのプロセスを円滑にすることです。
チームビルディングのアクティビティで課題を解決する時、一度にたくさんの声が出ることがよくあります。参加者の多くは興奮していますし、できるだけ早く最後までやり遂げたいと思うものですからね。しかしそんな中でも、優れたリーダーはさまざまなメンバーに意見を求めたり、今後の進め方について意思決定のための短い議論を誘導したりして、チーム内のコラボレーションを促していることを、私たちは経験上知っています。
このようなコラボレーションは、チーム内の摩擦を和らげ、全員が参加していると感じられるようにします。そのため、たとえ全員でコラボレーションするのに時間が掛かっているように感じても、実際にはこういったより協力的なチームをより高みに押し上げることになるのです。
3. さまざまな選択肢があることは、常に良いことである
次のような状況をよく見かけます。チームの一人のメンバー(ほとんどの場合、公式または非公式のリーダー)が、課題の解決方法について意見を述べると、他のメンバーはすぐにその意見にうなずく。そして、そのアイデアを試してみて、うまくいかないことに気づく。それで、また最初からやり直す。
これは意思決定をする上で自然なアプローチと言えるでしょう。しかし、一度に一つの選択肢しか提示されないので、欠陥があります。では、別のやり方を見てみましょう。あるチームが課題に直面し、さまざまなメンバーがアイデアを出し合い、簡単なブレーンストーミングを行った後、1つのアイデアを選びます。
前回と同じで、アイデアが上手くいかない。しかし、今回はすぐに頼れる他のアイデアがあります。あるいは、上手くいかないアイデアと別のアイデアを組み合わせて、正しい解決策を見出すこともできるでしょう。
どのようなチャレンジでも、最も成功するチームは大抵、何をすべきかについて最も多くの選択肢を持っているものです。このようなチームは、自分たちのスキルを組み合わせ、協力し合っているため、このようなプロセスを経ることが可能になります。優れたリーダーは、このことを意識し、常にできるだけ多くのアイデアを奨励すべきなのです。
4. リーダーシップとは、いつも一番大きな声を出すことではない
誤解のないように言っておきますが、リーダーは「コーチング」や「セールス」の機能を果たす必要がある場合もあります。チームをやる気にさせ、全員がチームの進むべき方向性に賛同し、興奮するように仕向ける役割です。
しかし、リーダーの役割はそれだけではありません。時には、それが他のチームメンバーや彼らのアイデアの妨げになることもあると知っておく必要があります。残念なことに、「常に自分が主導権を握っていることを示す必要がある」と感じているリーダーを見かけることがありますが、これは良くても「不必要」、最悪の場合は「支配的」と思われかねません。
状況によっては、リーダーは一歩下がってメンバーを励ましたり、後ろから指導したりした方が良い場合もあります。そうすることで、他のメンバーが能力を発揮し、ステップアップすることにも繋がるのです。
5. リーダーはチームの一員である
ここで、非常に重要なポイントがあります。それは、リーダーもチームの一員であるということです。リーダーは、チーム内で一定の役割や影響力を持つことはあっても、最終的には他のメンバーの上に立つ存在ではありません。なぜなら、チームビルディングにおいても、人生と同じように、リーダーの成功はチーム全体の成功にかかっているからです。
だからリーダーは、いわば泥臭く、チームと関わらなければならないのです。インバイトジャパンのチームビルディングのアクティビティでは、リーダーが横に立っていたり、単に命令しているだけでは、自分自身をチームと切り離していることになります。チームと関わり、一緒に笑い、他のメンバーと同じように行動するリーダーは、通常、アクティビティの課題で最も成功するチームに所属しています。なぜなら「全員」が積極的かつ平等に参加しているからです。
6. 失敗する方法
チームビルディングが提供できる最高の教訓の1つは、失敗する方法です。ちょっと待って。勝ち方を学びに来たんじゃなかったっけ?リーダーシップってそういうものでしょ?と思われるかもしれませんね。しかし、多くの研究者や哲学者が言っているように、最終目標は成功だとしても、そこに至る過程では失敗が必要なのです。
リーダーシップそのものが、どうしても失敗を招きます。毎回勝てる訳ではないのです。しかし、失敗に対処する方法と、失敗してもチームを継続させる方法を学ぶことはできます。チームビルディングでは、自分のチームだけではどうしても解決できない課題があったり、ゲームの最後まで辿り着けなかったりすることがよくあります。
しかしそれでも何も問題はありません。なぜなら、教訓は勝利そのものではなく、むしろその過程にあるからです。失敗には、謙虚さ、弱さ、回復力、冷静さなど、チームの全員がより良いリーダーになるために学び、理解しなければならない貴重な教訓があるのです。
7. 状況を読む
前回のブログで、リーダーシップを発揮する際の「状況認識」について触れました。基本的に良いリーダーシップとは、状況を把握し、それに合わせたリーダーシップの取り方をすることです。例えば、新入社員や若手社員の研修のように、声を出して直接的に指示を出す必要がある場合もあれば、逆に手を抜いたり、権限を委譲したりする必要がある場合もあるでしょう。
これらの異なる役割をシームレスに移行することは容易ではなく、ある程度の訓練と実践が必要となります。そして、チームビルディングはそのための良い方法の一つです。各課題はそれぞれ違った趣向を凝らしてあるため、チームは課題ごとに少しずつ異なる状況に放り込まれることになります。ということは、リーダーはこれらの状況を読み取り、それに合わせてリーダーシップの方法を変える練習をすることができるということです。
例えば、チームにとって負担の大きい課題であれば、リーダーが指揮を執ったり、助けを求める決断をしたりすることができます。また、チームにとって達成しやすい課題であれば、リーダーは議論を円滑に進め、できるだけ多くの声や意見を取り入れるよう努力することもできるでしょう。
最後に:リーダーシップのためのチームビルディングの利点+おまけの教訓
このように、チームビルディングはチームの状態だけでなく、リーダーの状態も確認することができる優れた方法です。リーダーはチームビルディングから、より良いリーダーになる方法や、チームを導き育てる方法、そしてさまざまな状況下でリーダーとしてどのように対応すべきかなど、多くのことを学ぶことができます。
ここで紹介した7つの教訓は、私たちが長年に渡ってチームビルディングアクティビティやチーム向けの脱出ゲームを運営してきた中で導き出されたものです。もちろん、学ぶべきことは常にもっとたくさんあります…これはチームビルディングの究極の教訓と言えるかもしれませんね。リーダーとして知らないことはいつまでもあるものですが、オープンマインドで常に学び続けることが、何よりも大切なのです。