心理的安全性とは? どのようにチームに役立つのかを理解するためのガイド

心理的安全性 part1

チームが前進するための適切な枠組みを提供するには、効率的なグループを構築する方法に関する新しいキーワードが助けになるかもしれません。今回のブログでは、そのキーワードである「心理的安全性」とは何か、そしてそれを現在多くの人が直面している働き方や社会の移行期にどのように適用できるのかについて、2回に分けてご紹介していきます。

まず私たちインバイトジャパンは、チームビルディングサービスを提供する企業として、アクティビティやプログラムだけでなく、チームビルディングに関連する理念や発想をお客様と共有することで、より効果的なものにしていきたいと考えています。その一つが、アクティビティやプログラムに追加することができる講義やワークショップです。

そういった理念や発想は私たち自身にも大きな影響を与え、新たに企画するアクティビティやプログラムに反映されています。インバイトジャパンはお客様に最新かつ適切な情報を提供するために、チームビルディングに関する新しい用語やモデルに常に注意を払っていることをまずお伝えしておきます。

そんな私たちが最近ワークショップに積極的に取り入れている言葉、「心理的安全性」。これはチームビルディングやチーム編成に関する今日の考え方の最先端を行く、比較的新しいものです。このキーワード及び理念は、現在の社会状況や今後の移行期にも応用が利くと考えられています。

我々がこのテーマに取り組むようになったきっかけであり、また心理的安全性が一般的にこれほどまでに注目されるようになったのは、Googleの「re:Work study」(職場環境をより生産的にする方法を学ぶために行われた社内調査、研究)に登場したことが発端です。

その研究では、チームメンバーは「心理的に安全であると感じたい」と考えており、その心理的安全感がより生産的で効率的なチームを作るという結論に至りました。 

心理的安全性とは?

Googleの研究では、心理的安全性は「チームメンバーが安心してリスクを取り、お互いの前で弱音を吐くことができる 」環境と定義されています。多くの職場環境、特にヒエラルキーの強い職場では、チームメンバーが自分の意見を言ったり表現したりすることに抵抗を感じることがあるでしょう。しかしそれにより、新しいアイデアが出にくくなったり、既に効果的ではなくなった手段や方針を批判することができずにチームが停滞するという悪循環に陥ってしまうのです。

心理的安全性を構成する主な要素に「信頼」と「直接的な表現力」があります。チームメンバーが互いに信頼し合い、互いの意見を大切にすることができていれば、自分が疎外されたり罰せられたりすることはないと分かっているので、積極的に自分の意見を伝えることができます。さらに仲間の考えや気持ちを理解しようと耳を傾けることもできるようにもなり、状況は大きく好転することでしょう。

心理的安全性に関する誤った認識

心理的安全性のより具体的な応用例については、もう少し後に説明します。その前に、心理的安全性をより明確に概念化するために、心理的安全性について誤解されることが多いポイントをお話ししておきましょう。

まず、心理的安全性というと、チームメンバーの心をよりオープンにしたり、外向的な態度を取らせようとすることだと思う人もいるかもしれません。しかし心理的安全性とは、個人の行動ではなく環境に関わるものです。つまり人を強制的に変えることを意味するものではありません。むしろ心理的安全性をツールとして使用することで、チームメンバーが本来の自分でいられるような環境を作り、その結果、チームが成功を収めることができるようになる、というものなのです。

もう一つの誤解は、心理的安全性とは、コンセンサスを得てできるだけ衝突を少なくし、誰もが常に快適に過ごせるようにすることだというもの。しかし心理的安全性に関する文献を調べていて印象的だったのは、心理的安全性では「衝突を歓迎する」ということです。

実際には、チームメンバーは相反する意見を持ち、必要に応じて互いに挑戦し、議論や論争を繰り広げることが奨励されています。しかしこうした議論が手に負えなくなったり、人間関係に影響を与えたりすることはなく、チームが議論をコントロールして、生産的な目的に導くことができる環境を目指しているのです。

最後に、心理的安全性があると基準が緩和されたり、職場環境が甘くなったりするのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし実際には、心理的安全性が高い環境ではチームメンバーが互いに信頼し合い、よりオープンなコミュニケーションができるようになるため、チームメンバーがより高い基準を達成することに繋がることが多いのです。確かに心理的に安全な職場を作ることは、それだけでは労働者のパフォーマンスを向上させるのに十分ではありませんが、それでも効率的な職場環境を作るために必要不可欠な要素の一つであることは間違いありません。

心理的に安全な職場を作るには?

ここからは具体的な話をしましょう。心理的に安全な環境では、従業員やチームメンバーは「力を与えられている」と感じ、物事に積極的に取り組み、新しいアイデアや意見に好奇心を持つ傾向があります。では、そのような環境を構築するにはどのような工程が必要でしょう?

1)恐怖心の軽減

職場でのネガティブな感情の主な原因は「恐れ」です。発言することへの恐れ、アイデアを共有することへの恐れ、批判されることへの恐れ…これら全てがチームメンバーを制限し、心理的に安全でないと感じさせる原因となります。だからこそ(後述するように、信頼に基づいた)人間関係の構築を優先すべきであり、それによってチームメンバーの恐怖心を和らげ、より積極的に参加する意識を育むことに繋がるのです。

このような恐怖心には、職場の構造も大きく影響します。先に述べたように、ヒエラルキー的な構造は、より恐怖心や不信感を生み出しやすいでしょう。しかし一見変えることが難しく思う大きな組織や伝統的な構造であっても、小さなチームや部署の中であれば、変えられる可能性は十分あります。

2)コミュニケーションと共有

繰り返しになりますが、心理的安全性は人々に「もっとオープンになれ」と強制するものではありません。むしろチームは、コミュニケーションと共有をより自由に行うことができる空間を作ることに集中すべきです。

 コミュニケーションは「聞くこと」でもあることを忘れてはなりません。互いの意見に耳を傾け、多くの視点から意見を聞くことで、チームはオープンになります。またコミュニケーションは会議の構成や誰に発言を許可するかにも関係します。そのため全員の声が聞こえるようにすることが重要であり、対立や議論を抑えた会議を行うことが大切です。

3)意見を求め合い、互いに感謝する 

建設的なフィードバックと感謝の気持ちは、人に「大切にされている」、「安全である」と感じさせます。自分が上手くいっている時も、改善が必要な時も、互いに意見を言い合える環境は、健全な人間関係の基礎となるでしょう。またチームメンバーが互いを信頼するようになることで、ストレスやリスクの高い状況に置かれた時にも、チームメンバーは正直に話し合うことができるようになります。

4)信頼の構築

信頼は心理的安全性の大きな要因です。チームメンバーがよりオープンになり、意見を共有するためには、お互いを信頼する必要があります。さらに上で話した「恐怖」の多くは、信頼の欠如に起因していることを認識しなくてはなりません。チームメンバー個人がお互いを信頼していない場合もあれば、チームとリーダーや上層部との間に信頼関係がない場合もあるでしょう。

信頼には双方の時間的な余裕が必要です。信頼を高めるための特効薬もなければ、信頼は魔法のように現れるものでもありません。信頼を得るために努力し、それを維持するために積極的に行動する必要があります。

チームビルディングの役割

チームビルディングは、チームメンバー間の信頼関係を構築し、関係を強化するのに非常に効果的です。なぜなら、これによってチーム内の心理的安全性を促進することができるからです。またチームビルディングは、チームに日常のスケジュールから離れて、目を逸らしていた問題に取り組むための特定の場所と時間を提供します。これにより、チームはこれまでとは違った考え方をする機会を得て、異なる視点からチームを見ることができるようになり、共有やコミュニケーションを深めるきっかけとなるのです。

インバイトジャパンでは、現代の社会やチームに必要な信頼関係を築くための様々なアクティビティを幅広く提供しています。また心理的安全性をテーマにした独自のワークショップもご好評頂いています。このワークショップでは、心理的安全性を高めるために、チームが職場環境について積極的に考えるためのレクチャーとディスカッションを行いますので、是非あなたのチームを一歩先へ進める手段としてご活用ください。

最後に

心理的安全性は、職場環境とその改善方法を考えるための新しい枠組みです。(少なくとも直接的には)実績や成績とったアウトプットではなく、チームメンバーが自分の考えや感情を伝え、共有する能力に基づいています。

私たちインバイトジャパンは、職場環境やチーム、人間関係全般について考える上で、この方法は素晴らしくポジティブかつ重要なものであると考えるため、積極的にプログラムやワークショップに取り入れています。

最後に、次回のpart2でこの議論をさらに深めるために、心理的安全性は今日起こっている非常に多くのことに応用が可能であることをお伝えしておきます。ワークライフバランスや仕事の性質の変化、テクノロジーの使用の増加、チームの結束力の低下、長期間の在宅勤務後のオフィス復帰などにより、多くの恐れや不安が生じています。チームが積極的に互いを安心させることができれば、それに越したことはありません。そして今、これらの問題に立ち向かうため、「互いを安心させること」はこれまで以上に重要なことなのです。

次回は、現在の社会や企業が置かれた状況に関連した心理的安全性と、現在チームが直面している多くの課題に対処する手段として心理的安全性を利用するための戦略についてお話ししたいと思います。このブログシリーズを通して、心理的安全性がチームを再び団結させ、ポストパンデミックモデルへの移行を実現するための素晴らしい枠組みとなる可能性を感じていただければ幸いです。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。